注文は手話で、ろう者が働くハノイのカフェ

2022/02/06 10:46 JST配信

 別の常連客であるズン・アインさんもまた、初めて来店したときはフオンさんと同じように感じた。アインさんは特に、訪れた全ての客が聴覚障がい者のスタッフとコミュニケーションを取る機会を持つことができるというカフェのコンセプトが気に入っている。アインさんは今後、多くの友人や生徒・学生グループにこのカフェを紹介するつもりだ。

イメージ画像
イメージ画像

 人々がこのカフェのサービスや商品を選択するのは、障がい者への同情ではなく、サービスや商品自体に価値があるからだ。これは、同社の取締役会長であるファム・ベト・ホアイ氏(男性・49歳)の願いでもある。

 ホアイ会長は7歳のときに事故に遭い、脚に麻痺が残って車椅子生活となった。ホアイ会長は、障がい者が常に自信を欠き、自分は不幸だと感じていることを深く理解している。こうした障壁は全て、家族や社会の彼らに対する同情から生じているという。

 2013年にホアイ会長が社会的企業を設立するにあたり、社会の障がい者に対する認識を変えることに少しでも貢献したいと考えた。「障がい者は哀れで重荷になる存在ではなく、労働意欲があり、サービスや商品を通じて社会に貢献したいという思いを持っています。もっとシンプルに言うと、店を訪れる客にはスタッフのことを『聴覚障がい者』ではなく、『耳が不自由な人たちのコミュニティ』と呼んでほしい。私たちは障がい者ですが、私たちが作る商品を『障がい者の商品』にしたくないんです」と、ホアイ会長は活動のモットーについて教えてくれた。

 手工芸品工場を立ち上げた後、カフェや見学スペースを新たに取り入れたのは、商品を多様化し、より多くの障がい者の雇用を創出するためだ。ホアイ会長によると、現在ベトナムには潜在的労働力となる200万人の聴覚障がい者がいる。

 彼らにとって唯一の障壁はコミュニケーションだが、コミュニケーションをサポートする手段さえあれば、その障壁は簡単に取り除くことができる。現在、3店舗のマネージャーはディンさん1人だけで、その他の全ての従業員には自分の仕事を決定する権限が与えられている。

 キムベトスペースでは、2020年からハドン区バンフックシルク村のツアーを組み合わせて、数百人の見学者や体験者を受け入れてきた。ここでは手話を学んでスタッフと交流するだけでなく、土産物作りを体験したり、ドリンクや郷土料理を楽しんだりすることもできる。

前へ   1   2   3   次へ
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市ハイバーチュン区テーザオ(The Giao)通りにある、小じんまりとした静かなカフェ「フロウィー(f...

新着ニュース一覧

 9月2日はベトナムの建国記念日(国慶節)です。今から81年前の1945年9月2日、故ホー・チ・ミン主席が「独...
 東京・芝公園で10月24日(土)・25日(日)の2日間、「ベトナムフードフェスティバル2026(Vietnam Food Fes...
 米系経済誌フォーブス・アジア(Forbes Asia)はこのほど、アジア太平洋地域の注目の中小企業・新興企業1...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナムでは、旧暦7月は「孤魂」、すなわちベトナム語で「さまよう魂」を意味する「コーホン(cô ...
 全国の20以上の空港を管理・運営するベトナム空港社[ACV](Airports Corpo
 東北部地方クアンニン省で28日、同省を母体として中央直轄市「クアンニン市」を設立する国会決議の公布...
 南中部地方ダナン市で、ベトナム初の自由貿易区(FTZ)「ダナン自由貿易区」のインフラ開発プロジェクト...
 東北部地方クアンニン省リエンホア街区(phường Liên Hòa、旧クアンイエン町)のク...
 外務省のファム・トゥー・ハン報道官は28日、ベトナムが領有権を主張する南シナ海のホアンサ諸島(英名...
 文化スポーツ観光省傘下の体育スポーツ局は、9月に日本で開催される第20回アジア競技大会(ASIAD 20)に...
 北中部地方クアンチ省人民委員会、同地方フエ市人民委員会、およびベトナム国家鉄道グループ(Vietnam N...
 神奈川県とベトナムの相互理解の促進や交流を目的としたイベント「ベトナムフェスタin神奈川2026」が、...
 ハノイ市、北中部地方フエ市、南中部地方ダナン市は、建国81周年(1945年9月2日~2026年9月2日)にあたる...
 レ・ホアイ・チュン外相は26日、ミャンマーを公式訪問し、首都ネピドーで同国のミン・アウン・フライン...
 国際通貨基金(IMF)は2026年4月版の「世界経済見通し(WEO)」で、ベトナムの名目国内総生産(GDP)が2030年...
トップページに戻る