ウクライナ在住ベトナム人のいま、戦地からの退避か滞留か

2022/03/06 10:45 JST配信

 ロシアによるウクライナ侵攻の真っただ中、ウクライナ在住ベトナム人のトゥー・トゥイさんと2人の子供たちは幸運にも戦地から退避するための列車に乗り込むことができた。

(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri

 しかし、移動中の危険を懸念してハリコフ(首都キエフに次いで2番目に大きい都市)に滞留することを選んだ人々もいる。

 ウクライナのベトナム人コミュニティは旧ソ連時代から形成され、2世代以上続く世帯が大半で、こうした人々はウクライナを第2の故郷としている。

 今、ウクライナを離れて近隣諸国へ退避するということは、多くの在住ベトナム人にとっては「しぶしぶ」の選択だろう。なぜなら、それは何十年も馴染みのある場所を離れるというだけでなく、長年にわたり築き上げてきたビジネスや自宅を捨てることを受け入れるということでもあるからだ。

 しかしながら、身の安全を守ることが最優先であるため、多くの人々が何とか列車に乗り込み、危険な場所から退避することを選んでいる。

 2022年3月1日のウクライナ時間午前8時(ベトナム時間午後1時)、ハリコフからポーランド国境に向かう列車が出発した。列車に乗ったトゥイさんと2人の子供たち、そして何百人もの乗客たちは、ようやく少し息をつくことができた。

 この情勢の中、列車の様子もいつもと違った。車内は混雑して窮屈だったが、安全な場所にたどり着くために誰もが耐えていた。乗客たちの顔には、疲れと不安がにじみ出ていた。

 「どの車両も混んでいて、キエフ駅に停車したときも全員が乗り切れないほどでした。キエフは危険な場所なので、なかなか発車できずとても怖かったです。列車に乗っている間も少し不安でしたが、ポーランドに到着すれば不安も解消するだろうと思いました」とトゥイさんは語る。

 トゥイさんが自分と子供2人の3人分の座席を確保するまでには、ただならぬ不安と苦労があった。都市部や隣国に向かう列車に乗ること自体も大変だが、駅に向かう車をつかまえることは、トゥイさんによれば「天に昇るのと同じくらい難しい」という。

 「早朝、私たち親子は交代しながら何とか車を呼ぼうとしましたが、だめでした。自家用車はあるので、危険を承知の上で、自分で運転して駅に向かおうかとも考えました。結局、幸運にも途中で親切なドライバーに出会い、時間通りに駅に到着することができました」とトゥイさんは振り返る。

前へ   1   2   3   次へ
[Dan Tri 08:54 02/03/2022, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって300日余りが経った。ウクライナ在住のチン・アイン・トゥアンさ...
 ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ロシア軍がハルキウ(首都キーウに次いで2番目に大きい都市)に侵...
 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、戦火を逃れてウクライナからベトナムに帰国した在外ベトナム人(...
 外務省は、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナから退避する現地在住ベトナム人らの帰国手配を...
 ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ在住のベトナム人を苦しめているばかりか、ロシアで暮らし働いて...
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、ロシアによる軍事侵攻を受けて
 グエン・スアン・フック国家主席は6日、国家主席府で会合を開き、ロシアによる軍事侵攻を受けているウ...
 ロシアによる侵攻を受けているウクライナには約7000人のベトナム人が居残っているが、いずれも無事だと...

新着ニュース一覧

 西日本鉄道株式会社(福岡県福岡市)は、地場不動産大手のナムロン投資[NLG]
 米国のS&Pグローバル(S&P Global)が先般発表した2025年4月のベトナム・PMI(製造業購買担当者指数)は45....
 商工省と複数の省・市における太陽光発電事業を巡る違反事件で、ハノイ市人民裁判所は、ホアン・クオッ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) ロンドン:歌謡曲でムードたっぷり、街角...
 国家主席府は4月29日、受刑者8055人と刑執行猶予中の1人の計8056人に対する国家主席の特赦の決定を発表...
 第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議が5月5日に開幕した。  今国会では、国家構造に関する201...
 ホーチミン市文化スポーツ局は、4月30日の南部解放記念日にサイゴン川沿いエリアで実施を計画していた...
 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)事業の一環で行われた軍事パレードを見物する...
 衣料の製造・販売を行う韓国のレシピグループ(Recipe Group)はこのほど、同社が展開するファッションブ...
 ルオン・クオン国家主席は4月28日、北中部地方ハティン省でラオスのトーンルン・シースリット国家主席 ...
 インボイスに関する政令第123号/2020/ND-CPの一部を改正・補足する政令第70号/2025/ND-CP(6月1日施行)...
 カナダの金融・保険サービス比較会社 「ハローセーフ(HelloSafe)」はこのほど、世界各国における株式市...
 ハノイ市人民評議会は4月29日、バイオテクノロジー分野に特化した「ハノイバイオハイテクパーク」の建...
 日本の経済産業省とベトナム商工省は4月28日、エネルギートランジションに係る二国間協力プロジェクト...
 東南部地方ビンズオン省のビンズオン新都市ワールドトレードセンター(WTC EXPO)で5月7日(水)から9日(金...
トップページに戻る