中国に売られたベトナムの少女、9年越しの帰郷とこれから

2020/09/20 05:26 JST配信

 一方、キムさんがいなくなってから1か月後のベトナムでは、キムさんを売って地元に戻った身内が母親のオアインさんに、キムさんは皿洗いの仕事をするためラオスに渡り、年末に帰国する、と伝えていた。

(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 しかし、2度のテト(旧正月)を迎えてもキムさんは一向に姿を現さず、オアインさんは何か情報がないかとキムさんのことを伝えてきた身内を訪ねたが、この人物はすでに行方をくらましていた。

 キムさんがいなくなって3年目、オアインさんは、例の身内が不法に人身売買をしていたことを知り、自分の娘も売り飛ばされたのだということに気づいた

 オアインさんは娘を探しにラオスへ渡ろうとしたが、周囲の人々は、広大な国でキムさんを見つけられるはずもなく、幼い2人の子供の面倒も見なければならないのだから、と制止した。

 その後、今から3年前にオアインさんは麻薬中毒で刑務所に入った夫との関係を断ち、2019年に別の男性と新たな人生を歩み始めた。オアインさんは、いつか娘が実家へ帰ってきたときに迎えてあげられるようにと、男性には自分の家に入ってもらい同居した。

 一方の中国で、身分証明書がないキムさんは隠れながら生活していた。売り飛ばされてから4年が経ち、養父母はようやくキムさんが好きなところへ行くことを許可した。そこでキムさんは、労働者として働くために広東省へ行った。稼いだお金を養父母へ送ったが、養父母は受け取らなかった。

 キムさんは友人にベトナムに帰国する方法をたずねたが、友人は首を横に振るだけだった。「友人は、ベトナム人の知り合いもいないからと、中国の警察に行くよう私に勧めましたが、私は警察には行きませんでした」とキムさん。今から2年前、キムさんは服を売りに行く仕事を始めた。このころはすでに、ベトナム語もほとんど忘れてしまっていた。

 「誰も信用していませんでした。身分証明書もありませんでしたし、また売り飛ばされてしまうのではないかといつも恐れていました」。そして今年の5月になり、キムさんはSNSのウィーチャット(WeChat)でベトナム人を見つけ、家族を探すための情報をフェイスブック(Facebook)に投稿してほしいと頼んだ。

 「彼女は売り飛ばされたと言っていました。家や両親が恋しく、中国での暮らしも自由がなく家族のもとに帰りたい、と。キムさんの真剣な様子から、私はフェイスブックに情報を投稿しました。彼女を傷つけたくなかったので、多くはたずねませんでした」と、ウィーチャットを介してキムさんと知り合った中国在住のベトナム人のフオンさん(男性・22歳)は語った。

 たまたまSNSの投稿を目にしたターカ村祖国戦線委員会のクット・シー・オン副委員長は、投稿に書かれた情報の人物がキムさんであることに気づいた。オン副委員長はすぐに投稿者のフオンさんに連絡をとった。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 05:05 09/09/2020, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 東北部地方フート省刑事警察部は10日、人身売買の疑いでブー・バン・フオン容疑者(男・25歳)とグエン・...
 東北部地方カオバン省警察は4日、恋人の女性を売り飛ばしたとして、チエウ・ティエン・マイン容疑者(男...
 ベトナム女性連合会はこのほど、公安省と東北部地方ランソン省人民委員会と協力して、ランソン省ランソ...
 15日朝、北中部地方ゲアン省ギーロック郡ギーティン村にある民家は、中国に売られ行方不明だった娘と23...
 数か月前から中国で行方不明になっていたメコンデルタ地方カマウ省出身のブイ・ティ・モーさん(女性・2...
 メコンデルタ地方バクリエウ省ドンハイ郡ロンディエンドン村で22年前に行方不明になったグエン・キム・...
 「もう10年前のことになりますが、娘を探しに行ったあの旅を決して忘れることはありません」。ハノイ市...

新着ニュース一覧

 英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds=QS)が発表した最新の大学ランキング...
 世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム(Booking.com)」はこのほど、6月のプライド月間(L...
 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は
 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の...
 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)
 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)...
 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に...
 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地
 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行...
 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販...
トップページに戻る