元米軍兵士と戦争の落とし子、40年の時を経て再会

2014/06/15 08:16 JST配信

 1973年、ブランディと呼んでいたベトナム人の恋人が妊娠したため、二人は混乱した状況の中、結婚手続きを行う方法を探していた。だが当時、米軍兵士に帰国命令が出始めており、クインさんも帰国せざるを得なくなってしまった。

(C) VN Express, クインさんとブランディ
(C) VN Express, クインさんとブランディ
(C) VN Express, クインさんとファンさん
(C) VN Express, クインさんとファンさん
(C) VN Express, 息子ゲーリーさんと
(C) VN Express, 息子ゲーリーさんと

 「私は1年間、彼女に毎月100ドルを送り続けました。でも、彼女の手元に届いているのかどうかもわかりませんでした」。ブランディは彼に3枚の写真を残した。40年たった今、彼はその写真を会う人会う人に見せている。1枚は背の高い20歳前後の美しいベトナム女性のポートレート、1枚はアオザイ姿でクインさんと写っているもの、もう1枚は白いカーデガンを羽織っている写真だ。

 情報を何も得られず何日か過ぎ、クインさんが絶望を感じ始めた時のこと、クインさんたちがかつて住んでいた家の近くの麺屋の主人に会うことができた。彼女はアルバムのページをめくって眺めていたが、写真に写っていた別の女性を見つけて手を止めた。

 「彼女はこの辺に住んでいたよ。今はアメリカに住んでいるけど、時々ベトナムに戻ってくる。彼女の娘が昨日うちに食べにきたばかりだよ!」と言い、写真に写っていた女性と連絡を取ってくれることになった。

 麺屋の店主が店に呼びだしてくれたキムという女性は、米国人の夫と共に近くのホテルに宿泊していた。アルバムを見てもらうと、彼女はブランディの写真を見て叫んだ。「彼女と大の仲良しだったの! 彼女が男の子を出産するのを手伝ったのよ」。残念ながら、息子の名前までは覚えていなかった。

 クインさんは、目に涙を浮かべながら彼女の手を取ってこう言った。「私はもう二度と息子に会えないかもしれない。せめて、息子を抱いたことのある手を握らせてください」と嗚咽した。ベトナムの小さな麺屋で大きな米国人が女性の手を取って泣いている姿を周囲は驚いて見守る。このシーンで、クインさんの息子探しの物語は終わるかと思われた。

前へ   1   2   3   次へ
[Nhu Tam, VN Express, 29/4/2014, 15:34 GMT+7 S]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ベトナム戦争下の東南部地方ドンナイ省で交際し、その後生き別れとなっていた元米軍兵の米国人男性とベ...
 オーストラリア在住のシャンタル・デエクさん(女性)は今から40年前、米軍の「オペレーション・ベビー...
 北朝鮮最高人民会議常務委員会は2002年、夫ファム・ゴック・カイン(ベトナム国籍)と妻リ・ヨン・フイ...
 ベトナム戦争中の1972年4月16日、ハノイ市から50キロほど離れた地点の上空で米軍パイロットのダン・チ...
 ホーチミン市のタンソンニャット空港で7月27日、生き別れになっていた家族が37年ぶりの再会を果たした...
 全てはベトナム戦争終結間近の1975年3月から始まる。戦争で荒れ果てた国道7号線を1台のトラックが、焼...

新着ニュース一覧

 商工省と複数の省・市における太陽光発電事業を巡る違反事件で、ハノイ市人民裁判所は、ホアン・クオッ...
 国家主席府は4月29日、受刑者8055人と刑執行猶予中の1人の計8056人に対する国家主席の特赦の決定を発表...
 第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議が5月5日に開幕した。  今国会では、国家構造に関する201...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) ロンドン:歌謡曲でムードたっぷり、街角...
 ホーチミン市文化スポーツ局は、4月30日の南部解放記念日にサイゴン川沿いエリアで実施を計画していた...
 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)事業の一環で行われた軍事パレードを見物する...
 衣料の製造・販売を行う韓国のレシピグループ(Recipe Group)はこのほど、同社が展開するファッションブ...
 ルオン・クオン国家主席は4月28日、北中部地方ハティン省でラオスのトーンルン・シースリット国家主席 ...
 インボイスに関する政令第123号/2020/ND-CPの一部を改正・補足する政令第70号/2025/ND-CP(6月1日施行)...
 カナダの金融・保険サービス比較会社 「ハローセーフ(HelloSafe)」はこのほど、世界各国における株式市...
 ハノイ市人民評議会は4月29日、バイオテクノロジー分野に特化した「ハノイバイオハイテクパーク」の建...
 日本の経済産業省とベトナム商工省は4月28日、エネルギートランジションに係る二国間協力プロジェクト...
 東南部地方ビンズオン省のビンズオン新都市ワールドトレードセンター(WTC EXPO)で5月7日(水)から9日(金...
 イタリアのサンペレグリノ(Sanpellegrino)とアクアパンナ(Acqua Panna)が冠スポンサーを務める「アジア...
 日本の警察庁組織犯罪対策部はこのほど、令和6年(2024年)における組織犯罪の情勢(確定値版)を発表した...
トップページに戻る