ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第8回】大気汚染~工事現場からは有害物質も【VIETJO LIFEコラム:気になる医療の話@ベトナム】

2018/04/17 12:00 JST配信

(本記事は、2018年4月16日付け「VIETJO LIFE」で配信されたものです。)

ハノイやホーチミンのような大都市に住んでいると、大気汚染は避けて通れない問題です。ホコリ、煙、排気ガス・・・。往来が激しい道路や工事現場の側に住んでいなくても、有害物質にさらされ、鼻炎、咳、眼の炎症などに悩まされる人が多くなっています。

ある実験で、自分の住む環境がどれだけ大気汚染にさらされているかを簡単に調べることができます。コピー用紙を1枚、自宅の棚の上に触れずに放置します。4~5日間、毎日紙の写真を撮ると、日に日にチリやホコリが積もっていく様子がよく分かります。

家のそばで工事をしていたら・・・

もし自宅近くが工事中の場合、わたしたちや子どもの健康にはどのような影響があるでしょうか?騒音だけでなく、やはり大気汚染が身体への最も深刻な問題となります。工事現場から発生する大気汚染の原因や健康被害には以下のようなものがあります。

<チリ>
どこの家でもあるような普通のホコリだけではない。工事現場から出るチリには、セメントや重金属類、合成繊維、おがくず、さらには、肺がんの原因となることが知られているアスベストや慢性肺疾患の原因となるケイ素に至るまで、実に多くの種類の化学物質が含まれている。

<排気ガス>
工事現場の中や周辺の自動車、トラック、ブルドーザー、発電機、その他の石油を燃料とする機械類の排気ガスは、わたしたちが吸い込む空気を著しく汚染する。

<ラドン>
放射性のガスで、土壌から放出される。工事現場では、大気中に放出されるので、そのレベルが高くなる傾向にある。ラドンは、喫煙に次いで肺がんの代表的な原因の一つ。

<アスペルギルス>
真菌類(カビ)の一種で、土壌中のどこにでもあるもの。工事や、建物の改装、取り壊しによって大気中に容易に拡散し、近隣住民に呼吸器系の問題や慢性的なアレルギー症状を引き起こす可能性がある。

<ネズミ・害虫>
工事現場では、ネズミやゴキブリなどの発生が助長される。これらの有害生物は、外皮を撒き散らすことがあり、アレルギーや喘息の引き金になる。

<化学物質>
工事現場から出る化学物質や重金属類は、近隣の土壌や用水に吸収され、さらなる汚染や健康被害を引き起こす可能性がある。また、化学物質やチリ、ホコリは、空気により伝播され、肌や眼のかゆみ、皮膚炎(肌の炎症)、眼の感染症(麦粒腫、結膜炎)の原因にもなる。

工事現場がすぐ隣ではなく、たとえ数百メートル離れているだけでも、わたしたちの健康に甚大な被害を及ぼします。学校や幼稚園の近くにある場合も同様です。

<著者紹介>
ジョナサン・ハレヴィ医師
ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市

小児科
小児科医として17年の経験をもつ。2005年から7年間にわたりファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市クリニックに勤務。その後、オーストラリアの小児科医療の最高峰、ロイヤル小児科病院(メルボルン市)小児科集中治療室に勤務し、小児科集中治療分野の経験を積み、再びファミリーメディカルプラクティスに帰任。1児の父。ベトナム語の育児本も執筆している。
ジョナサン医師の詳しい経歴は こちら


本文の続きはこちら → VIETJO LIFE「【第8回】大気汚染~工事現場からは有害物質も
コラム「気になる医療の話@ベトナム」の一覧はこちら → 「気になる医療の話@ベトナム

著者紹介
ファミリーメディカルプラクティス
20年以上の実績を持つ、インターナショナル・クリニック。ホーチミン市、ハノイ、ダナンの3都市に、5つのクリニックを開設。

日本人医師、日本人スタッフも常駐。日本語ホットラインは救急時24時間対応。

救急医療・搬送サービスも提供。救急医療 専用番号 *9999
気になる医療の話@ベトナム
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
マン常務国会副議長が新国会議長に就任、国会で宣誓 (16:04)

 20日に開幕した第15期(2021~2026年)第7回国会で同日午後、18日にベトナム共産党中央執行委員会によって第15期の新国会議長候補として推薦されたチャン・タイン・マン常務国会副議長が、新国会議長に正式に選出...

駐ベトナム新大使、スアン国家主席代行に信任状奉呈 (15:40)

 伊藤直樹 駐ベトナム日本国特命全権大使は17日、国家主席府でボー・ティ・アイン・スアン国家主席代行に信任状を奉呈し、大使としての活動を開始した。  伊藤氏は、両国が2023年の外交関係樹立50周年を機に...

英MGモーター、6月からベトナムで「MG4 EV」を発売 (14:16)

 英国のスポーツカーブランドで、現在は中国・上汽集団(上汽集団=SAIC)の子会社となっているMGモーター(MG Motor)は6月1日から、ベトナム市場に電気自動車(EV)「MG4 EV」を投入する。これは、MGの国内各販売代理...

猛犬を訓練するドッグトレーナー、需要増で安定した収入源に (19日)

 最近、犬のしつけや訓練を専門に行うドッグトレーナーは、安定した収入が得られる職業となりつつある。ドッグトレーナーは、訓練だけでなく、繁殖やペット用品の販売でも大きな収入を得ることができる。  ...

アジア太平洋地域の航空会社定時到着率、ベトナム航空が5位 (14:06)

 航空データ分析大手の英国のシリウム(Cirium)が発表した2024年4月におけるアジア太平洋地域の航空会社定時到着率ランキングによると、ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)が5位に

チン首相が臓器提供ドナー登録、模範として国民に登録呼びかけ (13:36)

 ファム・ミン・チン首相はハノイ市のベトドク(越独)友好病院で19日、臓器提供ドナー登録を呼びかけるイベントに参加した。同イベントは、保健省、ベトナム赤十字中央委員会、ベトナムヒト組織・臓器提供運動協...

在ホーチミン総領事館、航空機内での窃盗被害に注意喚起 (13:18)

 在ホーチミン日本国総領事館は、航空機内での窃盗被害について注意喚起している。  最近、総領事館宛てに、旅客機内に持ち込んだ手荷物内の貴重品の盗難事案に関する報告が増えているという。  報告例...

ノイバイ空港、国際旅客ターミナル拡張案件を着工 25年末竣工 (6:56)

 ベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietnam)は19日、ファム・ミン・チン首相の立ち合いのもと、ハノイ市ノイバイ国際空港の国際旅客ターミナル(T2)拡張案件を着工した。

ホーチミン:路線バスにタッチ支払いシステム、3路線で導入済み (6:02)

 ホーチミン市人民委員会と地場ワンフィン・ベトナム(OneFin VietNam)は17日、路線バスのキャッシュレス自動運賃支払い

ホーチミン:中心部レロイ通りに外国人グラフィティ集団が出没 (5:54)

 このところ、外国人とみられる若い3人組の男女が塗料スプレー缶を使って路上の壁に落書きをしている様子を撮影した動画がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に投稿されて大きな話題となっている。ネット...

ダナン国際空港に授乳室が新しくオープン、母乳育児をサポート (5:22)

 5月19日の「世界母乳ドネーションデー(World Human Milk Donation Day)」にあわせて16日、南中部沿岸地方ダナン市ダナン国際空港の国際線ターミナルで、授乳室がオープンした。従来のベビールームのほかに、ベ...

タイビン省:道路の真ん中でヨガ撮影、14人に行政処分 (5:01)

 北部紅河デルタ地方タイビン省キエンスオン郡キエンスオン町(thi tran)人民委員会は19日、道路の真ん中に寝そべってポーズを取るなどしてヨガパフォーマンスの撮影をした女性グループに行政処分を下した。 ...

ベトジェットエア、オーストラリア路線で運賃0VNDキャンペーン (4:46)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、6月10日(月)まで、ベトナム~オーストラリア路線のエコクラスの往復運賃が0VND(税など含まず)からとなるキャンペー

総合機械商社の南陽、ハノイに子会社を設立へ (4:08)

 産業機器及び建設機械の販売・レンタルを行う総合機械商社の株式会社南陽(福岡県福岡市)は、海外子会社をハノイ市に設立する。  同社は、中国から生産拠点がシフトすることへの対応として、市場に潜在的な...

女子V1のPFUブルーキャッツ、ベトナムの国際大会で優勝 (3:44)

 南中部高原地方ダクラク省バンメトート市で開催されていた「第14回VTV9-ビンディエン国際女子バレーボールカップ2024」は19日に決勝が行われ、招待参加していた日本女子V1リーグのPFUブルーキャッツ(石川県)がL...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2024 All Rights Reserved