ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

人生の転機つかんだバクリエウ省の「エビキング」

2011/01/16 08:35 JST配信
(C) Lao dong, Nhat Ho
(C) Lao dong, Nhat Ho

 メコンデルタ地方で初めて独占商標権を取得した農民がいる。彼は技師でも科学者でもなく高校も卒業していないが、彼の経験を学びに多くの技師や科学者らが各地から訪れているという。現在57歳のボー・ホン・ゴアンがその人で、バクリエウ省の「エビキング」と呼ばれている。

 ゴアンはバクリエウ町の貧しい家庭で育ったため、高校を中退して働きに出なければならなかった。渡し船の助手や車の運転手として働き、その後乳牛の飼育を始めた。しかしやがてこれにも将来性が期待できないと感じ始め、これで自分の人生も終わりかと思っていたところに転機がやってくる。

 政府は2000年に生産効率の低い稲作地を水産養殖池に転換する政策を打ち出した。これを受けてゴアンは乳牛をすべて売り払い、ビンチャックドン村にエビ養殖用の土地を購入した。当時バクリエウではエビ養殖で成功した人はおらず、彼は頭がおかしくなったと陰口を叩かれた。

 ゴアンは当初、他の人の例にならって「高密度養殖」を試み結果も悪くなかった。しかしこの土地には化学物質を使わない「粗放養殖」の方が適していると思い付いたという。この方法に移行してからは、とんとん拍子で「エビキング」と呼ばれるまでになったが、それには偶然も手伝っている。

 コスト削減に頭を悩ましていたゴアンは、ある日故郷に里帰りした時、ジャンボタニシが増え過ぎて稲が被害に遭っていることを耳にした。「アヒルはタニシを食用にしている。きっとクルマエビの食用にも使える」。そう思い付き、タニシを買って帰りエビに与えてみると、結果は大成功だった。この「発明」は後にベトナム農民協会から表彰を受けている。彼はエビの病気に対する抵抗力を高める方法として、蜂蜜を飼料に混ぜる方法も発明している。

 こうしたエビ養殖技術は、エコロジカルなエビ養殖プロセスを形成していった。粗放養殖で、抗生物質を使わずバイオ的手段でエビを育てること。養殖池の水や土の管理を行うこと。品質のよい稚エビを選ぶことなど。これにはどんな時期にどんな飼料を与えればよいのか、1日のうちいつ飼料を与えればよいのかといった細かいことまで含まれる。こうして彼は「ベトナム・サウゴアン・エコロジカル・エビ養殖場」という商標を確立した。

 「サウゴアン」の養殖プロセスは、教えを受けたこの地の養殖業者たちの助けになっている。2010年は各地でエビの病気が広がって被害が出たが、「サウゴアン」養殖プロセスで育てたエビには何の影響もなかったという。

[Lao dong online, 30.12.2010 | 08:29 (GMT + 7), O].  © Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ホーチミン市、韓国サムスンE&Aと廃水処理で協力へ (17:36)

 ホーチミン市資源環境局は、エンジニアリング・調達・建設・プロジェクト管理(EPC&PM)を手掛ける韓国のサムスンE&A(Samsung E&A、旧社名:サムスンエンジニアリング)との間で、廃水処理分野における協力に関す...

ハノイ:美容注射で誤って洗顔料を注射 (16:06)

 ハノイ市バックマイ病院中毒センターは12日、スパで美容注射を受けようとした女性が、誤って洗顔料を注射される事故があったことを発表した。  北部紅河デルタ地方タイビン省に住む24歳の女性は、7日夜に洗...

日本の林野庁とベトナムの林業局、協力覚書に署名 (16:02)

 日本の林野庁とベトナム農業農村開発省傘下の林業局は14日、「森林及び林業分野における協力覚書」に署名した。  これは、持続可能な森林経営と森林資源の有効活用の推進を通じて、カーボンニュートラルに...

ディエンビエンフーの戦場で恋に落ちた兵士と少女の物語 (12日)

 2024年5月7日、ディエンビエンフー戦勝記念日70周年(1954年5月7日~2024年5月7日)を迎えた。  ディエンビエンフーの戦いは、1954年3月から5月にかけて、当時のフランス領インドシナのディエンビエンフー(西...

ホーチミンの埋め立て地にゴルフリゾート造成へ、韓国企業が推進 (13:44)

 韓国の不動産会社であるDSパートナーズ(DS Partners)は、ホーチミン市にある90万m2規模の埋め立て地にゴルフリゾートを建設する。  着工は10月の予定だ。建設予定地は、タンソンニャット国際空港から約10km...

資源環境省、国家環境観測ネットワーク運営センターを落成 (13:40)

 資源環境省は14日、ハノイ市バックトゥーリエム区で国家環境観測ネットワーク情報データ統合処理運営センターの落成式を行った。  同センターは、自動環境観測データ管理ソフトウェアを通じて、全国63省・...

オフショア開発の地場オミネクスト、大阪に新オフィス開設 (12:24)

 日本向けのシステム開発に特化したベトナムのオフショア開発企業であるオミネクスト(Ominext、ハノイ市)は15日、事業拡大の一環として、大阪に新オフィスを開設した。  新オフィスを開発センターおよびビジ...

Green Carbon、ゲアン省でカーボンクレジット事業展開を推進 (12:01)

 カーボンクレジット創出販売や農業、環境などの事業を手掛けるGreen Carbon株式会社(東京都港区)はこのほど、北中部地方ゲアン省農業農村開発局傘下のゲアン農業市場フォーラム(AMPF)との間で、農業由来の脱炭...

ベトナムの電動バイク・EV販売台数、36年に250万台へ (6:29)

 香港上海銀行(HSBC)が先般発表したレポートによると、ベトナムの電動バイクと電気自動車(EV)の販売台数の合計は2024年に100万台弱に増加し、2036年までには250万台超に達するものと見込まれる。  HSBCは、...

ベトナム、アジアのデータセンター市場の中心地に (6:01)

 米総合不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(Jones Lang LaSalle=JLL)が発表したベトナムのデータセンター市場に関するレポートによると、ベトナムはアジアにおけるデータセンター市場の中心地と...

チン首相、ズン労働傷病兵社会相にけん責処分 (5:59)

 ファム・ミン・チン首相は党機関の決定に合わせ、ダオ・ゴック・ズン労働傷病兵社会相にけん責処分を科し、ズン氏の前任者であるファム・ティ・ハイ・チュエン前労働傷病兵社会相を警告処分とした。  労働...

ホーチミン:サイゴン川に人工の庭園島建設を、コンサルが構想案 (5:56)

 ベトナム科学者・専門家協会(AVSEグローバル)とパリ地域研究所(IPR)からなるコンサルティング企業連合はこのほど、ホーチミン市のサイゴン川沿岸の開発構想案を発表した。  ホーチミン市建築計画局が3月上...

通信郵便技術学院、国内初の空間型AIセンターを開設へ (4:24)

 情報通信省傘下の通信郵便技術学院(PTIT)は14日、米イオン・リアリティ(EON Reality)のベトナム法人イオン・リアリティ・ベトナム(EON Reality Vietnam)との間で、ベトナムの教育におけるデジタル変革に関する...

ダナン:西側環状道路が開通、投資総額92億円 (4:12)

 南中部沿岸地方ダナン市の国道14B号線とホーチミン道路(第1期)を結ぶ西側環状道路が13日に開通した。  同環状道路は、全長19km、全幅15m、歩道幅5.5m、中央分離帯幅15mの4車線の道路となっている。  起...

車載用スプリングの愛幸発條、ベトナム進出 ハナム省に工場 (3:30)

 車載用スプリングの製造を手掛ける株式会社愛幸発條(愛知県日進市)はこのほど、ベトナムに進出し、北部紅河デルタ地方ハナム省の第3ドンバン工業団地に拠点を設立した。  ベトナム拠点「愛幸スプリング・ベ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2024 All Rights Reserved