カオラウはこんな麺
カオラウはホイアン特産の麺料理。米粉で作った麺の上には豚肉とお煎餅が載っていて、タレにからめて野菜と一緒に食べます。この麺料理は、真偽のほどは定かではありませんが、かつて朱印船貿易が栄えた時代にホイアンで日本人町が形成された際に日本人が伝えた「伊勢うどん」がルーツと言われています。
(C) NgBK, ホイアンのカオラウ
伊勢うどんは、たまり醤油ベースの濃厚なタレを太い麺絡めたものですが、カオラウもうどんのように太い麺を醤油ベースのタレに絡めたもので、国内では他に似たようなものが見当たらない独特の麺料理。また、カオラウの麺は米から作られたとは思えない歯ごたえがあり、ちょうど伊勢うどんのコシがさほど強くない麺に似ているように思います。
一方で、ホイアンには日本人以上に中国人が多数住んでおり、カオラウが中国語の「高樓」から来た言葉と思われることから、中国・福建の麺料理がルーツではないかという人もいます。ただし、「高樓」は高い建物という意味ですが、中国にこういう名の麺料理は見当たりません。名前については、ホイアンの日本人街が二階建ての家屋が並んでいて通称「高樓」と呼ばれており、これに由来するのではと推測されているそうです。
ホイアンの日本橋(来遠橋)
カオラウの製麺の秘訣は、ホイアンにある「バーレー(Bá Lễ)」という井戸の水。 この水にはラーメンを作るときにも使われるかんすいのようなアルカリ性の水で、この水を使って麺をつくることで、米麺にもコシが出るのだそう。カオラウの麺が黄色っぽいのもこのアルカリ性の水の作用によるものだそうです。かつては、この井戸のあるホイアン以外でこの麺は作れないとされていましたが、かんすいを使えばこの井戸がなくても同じような麺が作れるというわけで、現在ではホイアン以外にもカオラウを出す店が少しずつ増えています。
そこで、ホーチミン市内でカオラウを出すお店のうち、特に日本人の口に合うと思われるおいしいお店3店舗をチョイスしてみました!
まずは最も有名な「Faifo Phố Hoài」
カオラウが食べられるお店として外国人の間でも最も知られているお店は、おそらくFaifo Phố Hoài(ファイフォー フォー ホアイ) ではないでしょうか。
お店の名前のFaifoは、大航海時代にこの地に到達したヨーロッパの人々が呼んでいた名前と言われています。Phố Hoàiは、Phốが「町」、Hoàiはホイアン旧市街を流れる川の名前。「ホアイ川の町」という意味になります。実は、Faifoと呼ばれたのは、Phố Hoàiを逆にしてHoài Phốとも呼ばれていたので、これが訛ったものという説もありあます。
さて、そのFaifo Phố Hoàiは3区にある小さな路地を入って突き当たりの左手にあります。普通の住居を改築した感じ。緑が多くて、外の喧騒を忘れさせてくれる空間です。お店のオーナーが変わったようで、以前部屋の中が薄暗い感じだったのが明るい雰囲気になりました。
(C) VIETJO Life
このお店のカオラウはこんな感じ。値段は確か4万2000VND(約200円)だったと思います。
(C) VIETJO Life
以前はシンプルな陶器の器を使っていた記憶がありますが、おしゃれなガラスの器に変わっていてちょっとびっくりしました。でも、味は変わらずおいしかったです。少しタレが甘めの優しい味付けで、特に女性に好まれそう。
(C) VIETJO Life
麺がもちもちっとしていて、日本のおうどんに近い感じ。日本人のファンが多いのも頷けます。
(C) VIETJO Life, コムヘン(シジミかけご飯)
ほかにもコムヘン(シジミかけご飯)など中部料理がたくさんあり、メニューがかなり豊富。しばらく通っても飽きない感じです。
◇お店の詳細はこちら >> Faifo Phố Hoài
1区の老舗中部料理店「Faifo Quán」
こちらも同じく店名に「Faifo」の名が付けられた Faifo Quán(ファイフォクアン) 。Quánは「館」で小規模な飲食店の意味。ベンタイン市場南側の中心街に位置しています。以前は古い平屋の小さな小さなお店でしたが、繁盛したおかげなのかどうなのか、いつの間にか立派に建て替えられました。
(C) VIETJO Life
2階席までできてかなり立派ですが、内装はいたってシンプル。
(C) VIETJO Life
こちらのお店のカオラウはこんな感じ。1杯確か4万5000VND(約215円)。
(C) VIETJO Life
お肉がたくさん載っていて、ボリュームがあります。
(C) VIETJO Life
もちろん、お野菜もたっぷり。
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麺はかなりしっかりした歯ごたえで、タレは濃い目ですが、醤油の香りがとても香ばしくて、おいしいです!
なお、こちらのお店は中部の海から新鮮な魚介類を取り寄せているようで、夜は海鮮をあてにビールを飲むお客さんで賑わいます。海鮮好きの人にもおススメのお店です。
◇お店の詳細はこちら >> Faifo Quán
知る人ぞ知る「Quán Lối Nhỏ」
1区寄りですが間もなく5区という立地にあるお店 Quán Lối Nhỏ(クアンロイニョー) は、ベトナム人のグルメサイトで高い評価を得ているのを知って、試しに行ってみたお店です。
店名のLốiは「道」、Nhỏは「小さい」という意味。その名のとおり、飲食店が立ち並ぶ通りからさらに小さな路地を入った左手にあります。
(C) VIETJO Life, 路地の入り口に看板が出ている
住宅街の中に、ひっそりとたたずむお店。ホイアンを象徴する提灯が目印です。
(C) VIETJO Life, 路地の入り口に看板が出ている
こちらのお店のカオラウはこちら。値段は確か3万8000VND(約180円)だったと思います。
(C) VIETJO Life
少し甘めですが、しっかりした味なのに後味さっぱりで、この味付けは個人的にかなり気に入りました。麺はしっかりした歯ごたえ。
(C) VIETJO Life
ちなみに、鶏肉たっぷりのミークアンもおススメです。特に一緒に出されるお煎餅(Bánh Tráng、バインチャン)がものすごくおいしいです。
◇お店の詳細はこちら >> Quán Lối Nhỏ
以上、筆者がおいしいと思った3店を紹介しました。やはり本場の味にはかなわないと思いますが、食べたいと思ってもすぐに本場には行かれないですもんね。皆さんも、身近でおいしいカオラウ屋さん、探してみてください。
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