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【第6回】ベトナムのバイオマス燃料ビジネスに好機到来:バイオマス発電の可能性【図解で分かるベトナムビジネス】

2020/05/23 06:30 JST配信
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 バイオマス発電は再生可能エネルギーの1つであるが、ベトナムでは潜在的なエネルギー量が大きいと評価されており、近年は国内外の投資家からの関心が高まっている。

バイオマス発電への投資を積極的に誘致するベトナム政府

 ベトナム政府は2014年3月24日付けの首相決定(第24号/2014/QD-TTg)においてバイオマス発電投資への優遇措置を定めていたが、2020年3月の首相決定(第08号/2020/QD-TTg)により改定され、新たなFIT制度が制定された。

 この新たな制度によれば、コージェネ発電の場合、バイオマス発電の新しいFIT価格は1634VND/kWh(7.0Sセント/kWh相当)となり、旧FIT価格1220VND/kWh(5.8セント/kWh)と比べて大幅な引き上げとなった。また、コージェネ発電以外の場合のFIT価格は1968VND/kWh(8.47セント/kWh相当)と定められている。なお、この価格には付加価値税は含まれていない。

 ベトナム商工省によれば、この改訂はより多くの投資家からのバイオマス発電への投資、特にサトウキビ残渣(バガス)を燃料として活用したコジェネ発電への投資、収益性の向上を促すものであるとされている。

 バイオマス発電とは、動植物などから生まれた生物資源「バイオマス」を活用して発電する仕組みのことで、再生可能エネルギーの1つである。自然界には多種多様なバイオマスが存在する。例えば、樹木、産業用樹木、藻類やその他の植物、農業系残渣(サトウキビ残渣、稲わら、籾殻など)、林業系残材・残渣・廃材(木材チップ、木材廃材など)や、ごみ処理施設、排水処理場で発生するメタン、家畜ふん尿といったものが代表的な例として挙げられる。

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ドイツ国際協力機構(GIZ)はベトナムにおけるバイオマス発電開発を長年支援

 ドイツ開発協力機構(GIZ)は、今回のバイオマス発電におけるFIT制度改定について、ベトナム政府がバイオマス発電への投資をより多く誘致するために非常に重要な規定であると高く評価している。この改定は改定第7次国家電力マスタープラン(改定PDP7)で定められた開発計画を達成することを目的としているという。2020年、2025年、2030年におけるバイオマス発電開発の計画をそれぞれ、660MW、1200MW、3000MWと定めているものの、2019年時点ではわずか175MWの設備容量のみがグリッド接続されている状況であり、目標値を大きく下回っている。

 これまで数年にわたり、GIZは「EU-ベトナム技術支援プログラム」を通じて、国際的な経験の蓄積と国内外におけるバイオマス発電への評価に基づいて、商工省によるFIT価格の見直しを後押ししてきた。

 同時に、同プログラムは農業系残渣といったバイオマス燃料を活用したコジェネ発電による売電価格の計算と計算モデルの設立、売電価格をバイオマス燃料の発電に適用する可能性を分析し、新たな買取価格の水準が小売価格に与える影響を評価するとともに、ベトナム政府による政策の策定や報告、最終的な決定を支援してきた。

 2019年以降、GIZは戦略的パートナーである再生可能エネルギー・電力局と協力して、ベトナムにおける持続可能なバイオマスエネルギー市場の発展を通じて、気候保護を実施し、発電や熱利用を目的としたバイオマス資源の持続可能な発展の促進を進めてきた。

 このプロジェクトはドイツ連邦共和国の連邦行政機関である「連邦環境・自然保護・原子力安全省」から資金提供を受けており、マスタープランの策定能力、専門技術、バイオマスエネルギーにかかわる各部門の計画能力の向上を目的としており、より効果的な投資の実行を目指すものである。

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バイオマス発電の開発は国内で増え続ける電力需要に応え、産業廃棄物の削減にも貢献

 GIZによるエネルギーサポートプログラム(ESP)において、再生可能エネルギー及びエネルギー効率プロジェクトのディレクターを務めるSven Ernedal氏は、ベトナムのバイオマス発電は非常に大きい発展の可能性を秘めていると述べ、発電を中心としたエネルギー利用に開拓できるとしている。

 今回の規定の改定により、温室効果ガスの削減、グリーンジョブの創出(※環境への負荷を持続可能な水準まで低減させながら、事業として採算がとれる仕事)、電力供給の質と安全性の向上、砂糖製造会社の競争力強化につながることが期待される。砂糖製造会社の収益増加のみならず、効率性向上、廃棄物の減少の効果が得られると期待される。同氏はバイオマスエネルギーは経済発展に伴い増加し続ける電力需要に応えることに役立つだろうと述べている。

 また、ESPにおいて持続可能なバイオマスエネルギー市場開発のプログラムのディレクターであるTobias Cossen氏は、最近のベトナムの再生可能エネルギー関連の政策はバイオマスエネルギーのみならず、太陽光エネルギー、特に風力エネルギーの将来的な発展の可能性に重点を置いていると述べている。

 同氏は、バイオマス発電のFIT価格引き上げは、サトウキビ残渣などの農業系残渣の活用により、将来のエネルギー開発によい影響を与えるということを積極的に示すベトナム政府からのシグナルであると評価している。

今後、ベトナムのバイオマス発電への投資機会が期待される

 商工省の統計によれば、6年後の2026年頃にはグリッド接続のバイオマス発電所の設備容量は、改定PDP7の2020年までの目標の約半分に相当する約350MWになると予測を立てている。現在、コジェネ発電の投資案件は10件あり、合計の設備容量は350MWに相当する。2つの発電所(19MW相当)は既に売電契約を締結済みであるが、未稼働であるという。

 今後もベトナム政府はバイオマス発電への投資を積極的に誘致していくとみられ、日本の投資家にとってもバイオマス発電への投資は大きなビジネスチャンスの1つとなるだろう。

 ベトナムのバイオマス燃料やバイオマス発電にご関心のある方はお気軽にご連絡ください。

著者紹介
ONE-VALUE株式会社 シニアアナリスト Kenya Miura
山形県山形市出身。筑波大学大学院 国際地域研究専攻 東南アジアコース修了。
ベトナムホーチミン市での留学後、日本の政府機関にて勤務。現在、ONE-VALUE株式会社にてベトナムの市場調査を主に担当。

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