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【第20回】~子どもおもしろ白書~大スペクタルドラマ「工事現場」

2023/05/30 18:10 JST配信

 幼稚園前の道路工事が突然始まりました。大型トラックが砂利を運び、ローラーが何台も行ったり来たり、見たことのない形の工事車両も続々とやってきました。

 当初工事が始まると聞き、子どもたちの登降園に支障が出るかもという心配や、近くの公園への散歩ができなくなるかもという不安が先に立ちました。ところが、いざ目の前で工事が始まると、砂利がトラックから落とされる光景、大型ローラーが、何台も行き来する風景は予想外で、「危険」「心配」という気持ちは吹っ飛び、「面白い」「迫力」に変わりました。砂利が落ちる音や工事車両の油の臭いを感じながら、子どもたちは、その様子に釘付けになっていきました。

 朝、「ママにあいたい~」と泣きながら登園してきたA男。2階のベランダから泣きながら外を眺めるつもりが、工事現場を見て、すぐに泣き止み、凝視です。

 ある程度初期の行程が終わって、道路を歩けることを確認した後、公園への散歩を実施しました。工事の人たちも子どもたちが興味津々で通ることがわかるらしく、クレーン車のパフォ―マンスを見せてくれました。子どもたちの歓声が上がり、工事のおじさんも満足気でした。止まっているローラーに近づき実際の鉄のローラーの感触に驚きます。まだアスファルトになる前の道路の石ころ、ゴツゴツした感触を「隕石だ!」と断定するB男。大型トラックのタイヤの数が4個ではないことにこれまたビックリの表情。

 今回の工事現場は、子どもたちにとって驚きの連続でした。

保育者は、この工事現場が実際子供達にどう写っているかを確かめます。年長児が対象となりますが、実際間近で見た工事現場で印象に残った場面を描いてもらいました。こちらも一人ひとり見る観点が違うことがはっきりわかりました。自分の印象に残ったことというのは、絶対に同じではない。それに寄って表現される絵は、全員が異なりました。

 Ozora日本人幼稚園は「本物との出会い」を大切にしています。特に芸術面ではバイオリニストや、俳優のパフォーマンス、など綺麗な音、綺麗な色の出会いを教材、環境を通じて考えています。今回の「工事現場」はその域を超えた「本物」との出会いの場となりました。芸術は相手=鑑賞する人があっての見せ場となりますが、工事現場のような仕事の場面には見てもらう相手の意識はありません。つまりそこには真剣に「仕事」をしている人の姿や、それによって動く車や機械があって、子どもたちにはその点が魅力的に映るようです。

 幼稚園の保育は総合的教育です。小学校以上の教科とは全く違っていて、今回の工事現場のような場面でも、「工事現場を見る」だけではなく、たくさんの「学び」が含まれているのです。探求・観察→「表現」を引き出していくという教科からの学びとは違う「学び」がここにはあります。

著者紹介
多々内三恵子
おおぞら日本人幼稚園理事長・園長。

タオディエン日本人幼稚園園長。

静岡大学教育学部附属幼稚園・青山学院幼稚園教諭を経てホーチミンで日系幼稚園を開園。

日本の保育を真摯に、かつユニークに展開中。

子どもの世界の面白さを語ったら止まらない。

>> おおぞら日本人幼稚園ウェブサイト

>> タオディエン日本人幼稚園フェイスブックページ
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