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[コラム]

【第47回】ベトナムスタートアップ企業への投資動向を掴む:日本企業にとってのチャンスとは?【未来を創るベトナムビジネス】

2021/02/06 05:59 JST更新


 東南アジアのなかでもベトナムは近年になり、特にスタートアップ企業の数が増加している国である。今回はベトナムにおけるスタートアップ企業の動向について考察していきたい。日本企業によるベトナムスタートアップ企業への投資が、今後大いにポテンシャルがある領域であると筆者はみている。


東南アジア域内と比較してもベトナムスタートアップ企業への投資は増加

 オーストラリア貿易投資促進庁の統計によれば、ベトナムは東南アジアの中でも3番目の規模のスタートアップ企業数を維持している。ここで意味するスタートアップ企業とは、単に新規設立された企業ではなく、新しいテクノロジーを活用し、高い成長力を潜在的に有する企業と定義されている。

 ベトナム政府は、2016年には約40万社であった企業数を、「2020年までに100万社に引き上げる」ことを目標に掲げている。その結果、2016年から2018年の3年間で新規企業数は10万社を超え、2018年末にはベトナム全国での企業数は71万社まで増加した。

 これに伴い、ベトナムを含め、東南アジア域内でスタートアップ企業への投資が近年になり、盛んに行われるようになった。下記のグラフは2014年から2019年、東南アジア諸国におけるスタートアップ企業への投資動向(投資件数・投資額におけるシェア)を表している。東南アジア域内では投資件数、投資額においてインドネシアが高いシェアを占めていたが、近年になり、ベトナムのスタートアップ企業への投資が伸びていることが分かる。



スタートアップ企業への投資が盛んなセクター:小売、金融、不動産

 次にセクター別にベトナムのスタートアップ企業への投資動向を見ていきたい。下記のグラフはベトナムにおけるセクター別スタートアップ企業への投資額の推移を示したものである。ベトナムは他の南東アジア諸国と同様の傾向を示しており、小売セクターへの投資が大部分を占めているほか、金融、不動産、ロジスティクスなど、地域的にトレンドとなっているセクターにおいても、ベトナムスタートアップ企業への投資が進んでいる。

 こうしたデジタル企業への投資が進むにつれて、スタートアップ企業による事業領域も拡大し、今後数年間もスタートアップ企業への投資は増加していくものと考えられる。

 一方で、ベトナムの特徴として、 教育セクターへの投資が盛んに行われており、これは他の東南アジア諸国と異なる傾向である。また、ベトナム政府がデジタル決済に関するインフラ構築を推奨しており、電子決済を中心としたフィンテック領域への投資も進んでいる。


 下記のグラフは「ベトナムでスタートアップ企業への投資を行った国別ファンド数の推移」を示している。2013年から2019年までの推移を見ると、年ごとに増加傾向にあり、各国のファンドがベトナムスタートアップ企業への投資を進めていることが分かる。日本による投資は2018年を例外として大きな増加は見られないが、2015年以降は韓国、シンガポール、現地ベトナム企業による投資も増加しており、日本の存在感は大きくはないのが現状である。



ベトナムの巨大スタートアップ企業:ベトナムのテンセント?

 ベトナムには、多数のデジタル関連の企業が数多く存在しているが、その中で最もよく知られている企業の1つがVNGコーポレーション(VNG Corporation)である。同社はベトナムのテンセントとも呼ばれるテックジャイアント企業(ユニコーン企業)の1つだ。


 VNGを2004年に創業したレ・ホン・ミン氏は、オーストラリアのモナシュ大学に留学し、金融学を学んだ。ミン氏は2002年に韓国で開催されたeスポーツ世界大会にベトナムチームとして参加もしている。

 VNGの主要事業は「メディアとゲーム」「SNS」「ソフトウェア」「スマホ決済」である。メディアとゲーム事業で中心になっているのは、動画ストリーミングの「Zing TV」で、ベトナムのテレビドラマや映画、中国、韓国のドラマ、映画などが楽しめる。さらに、このZingシリーズとして、ニュースサイト、音楽ストリーミング、PC版SNSがある。

 SNSでは、スマホ用のSNS「Zalo」を提供している。2012年にサービスをスタートし、世界中に1億人の利用者がいる。Zaloは「WeChatペイ」と同様に、2017年に「Zaloペイ」というスマホ決済機能を開始した。2018年のテト(旧正月)には、中国の「紅包」と同じようにお年玉を配布するキャンペーンを行い、一気に普及した。

 Zaloペイはモバイル決済として、個人間の送金や対面決済に使われている。オンライン決済では、2010年から「123 Pay」を提供している。123 Payは、主にVNGのストリーミングサービスの料金の支払いやチケット購入などに使われる。ベトナム国内の銀行40行の口座と紐づけられるほか、VISAやMasterCardなどのクレジットカードとも紐づけられる。

 今後もベトナムスタートアップ企業への投資は進んでいくと予想される。既存の社会インフラが十分に整備されていないベトナムにおいては、先進国が歩んできた技術の発展を飛び越えて新しいサービスが一気に広まる可能性(リープフロッグ現象)を秘めている。日本企業によるベトナムスタートアップ企業への投資の余地も、ますます拡大していくだろう。 

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