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(本記事は、2018年3月8日付け「VIETJO LIFE」で配信されたものです。)
皆さん、初めまして。廣済堂HRベトナム の堀岡(ほりおか)と申します。当社はベトナムに会社を設立して5年余りで、日系企業様に人材紹介や教育研修などを提供しています。
仕事柄、様々なジャンルの日本人やベトナム人と会う機会に恵まれており、それぞれの悩みに日々接しています。例えば日本人の悩みは、これだけ親日と言われる国に滞在しながら、「ベトナム人は真面目と聞いていたが実は違う」とか、「すぐ会社を辞めてしまうのでマネジメントに疲れる」といった、 期待外れ 的なものが多くなっています。逆に、日本人と一緒に働くベトナム人からも、「日本人は礼儀正しいというけど私の上司は違う」とか、「本当に時間に正確かな」という、 残念な不満 が増えています。
このように、一部とはいえベトナムで暮らす日本人と日本が好きなベトナム人との間で誤解が生じるのはとても寂しいことです。そこで、皆さんに少しでも快適なベトナム生活を送っていただけるように、これから数回に渡り、日本人がベトナムでストレスを溜めてしまう原因をロジカルに分析し(ちょっと辛口)、ポジティブな気持ちになってもらえるように解説したいと思います。ベトナム滞在歴が3年未満の方々には、特に役立ててもらえるのではないでしょうか。
基本的なコミュニケーションに潜む日本語のリスク
日本人は、世界的にみてコミュニケーション能力(特に伝える能力)が高くない、と言われます。日本語では、相手の感情を傷つけないことへの配慮から、イエスやノーを明確に話さず、代わりに「ニュアンス」を高度なテクニックで伝えることにより意思疎通を図っています。例えばこんな会話があります。
Aさん:「次の日曜日、ご都合は?」(Next Sunday, is it convenient for you?)
Bさん:「その日はちょっと」(That day a bit)
※カッコ内はグーグル翻訳
グーグル翻訳で興味深いのは、日本語では主語も動詞もない「ご都合は?」を「is it convenient for you?」と正確に翻訳できる一方で、「ちょっと」を「a bit」としている点です。日本人であれば、この場合の「ちょっと」は「とても都合が悪い=無理」と解釈し、「都合は少し悪いけど調整可能」と思う人はいません。ここで使う「ちょっと」の意味は、次のようなニュアンスです。
私は、その日はとても都合が悪い。でも、普段はハッキリ「NO」と言わない私が、「とても都合が悪い」と強い意思表示をすると相手は不快に思うかもしれない。この場では、都合が悪い ニュアンスを優しく伝えて 、とても都合が悪いことを推し量ってもらおう。
ただし、いつも「ちょっと」が強い意味を持つとは限りません。次の中で、 ホンネで「少し」なのか、実は「とても」なのか 、見分けがつくでしょうか?
「ちょっと辛い」「ちょっと遠い」「ちょっと高い」「ちょっと寒い」「ちょっと嫌い」「ちょっと欲しい」「ちょっと行ってきます」
実は、このように誤解しやすい例は他にもたくさんあります。
「結構です」「いいです」 → 「(ホンネは)100%拒否」
「できればやって欲しい」 → 「(ホンネは)必ずやってほしい」
「明日か明後日までに」 → 「(ホンネは)ぜひ明日までに」
本文の続きはこちら → VIETJO LIFE「【第1回】日本人はコミュニケーション能力がちょっと?」
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