(本記事は、2018年10月26日付け「VIETJO LIFE」で配信されたものです。)
「赤ちゃん」というイメージを根底から覆す研究が次々と進んでいます。脳科学、心理学、神経科学、発達学、赤ちゃん学など、最近は生まれて間もないヨチヨチ歩きの頃の赤ちゃんが一番学習能力があるのではないかと言われ始めています。
日本の保育園はこれまで、まだ自分では何もできない赤ちゃんを「養護する」という面しか捉えていませんでした。赤ちゃんも次第に首を回せるようになり、姿勢を変えたり、前に後ろに動き始めると、自ら周りにあるものに手を伸ばし、近づいていきます。日の光がゆらゆら揺れれば、そちらに目を移し追いかけ、雨の音が聞こえれば、聞き入る仕草を見せます。彼らにとって未知の世界の不思議さに導かれるように色々なものに興味を示します。興味のあるものに没頭し、何度でも繰り返し、試そうとする赤ちゃんの姿は、まさに小さな科学者を連想させます。
赤ちゃんが自らやろうとすることが、かなり多いことに気づかされます。子どもにとって「遊び」は学習ですが、乳児は自ら遊べないから「保護者、保育者が遊びを提供する」といった捉え方も多くありました。抵抗力が弱く、幼い存在、何もできない赤ちゃんを守るという感覚でしょうか。ところが生まれた時から生きるための学習はすでに始まっているのです。肺呼吸をし、おっぱいを飲み、眠り、泣き、目が見えるようになれば人や物を目で追う、相手をして欲しい人を見分けるなど、赤ちゃんはすでに生きようとする力を備えているのです。ひたすら守る存在ではなく、赤ちゃんも一人の人間として生きていくための力を伸ばしてあげられるような関わり方が求められます。
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