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【第4回】ベトナムの再生可能エネルギーの現状と機会~期待が高まる風力発電とバイオマス発電~【前編】未来を創るベトナムビジネス

2020/02/22 06:30 JST配信
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 ベトナムでは経済発展に伴い、国内の電力需要が年率+10%程度で増加し続けており、電力不足が懸念されている。ベトナム電力グループ(EVN)によれば、2018年の総電源容量は4万8573MWであったが、商工省エネルギー総局の予測によると、今後もベトナム国内の電力需要は増加し続け、2025年時点で9万MW程度の電源容量が必要になる見通しだ。2021年以降は年間で4000GWhから1万2000GWhの電力が不足する見通しも示されている。特に、南部では早ければ2020年に電力不足による停電が発生する可能性があるとも指摘されている。

 これに対し、ベトナム政府は2016年3月に「改定第7次国家電力マスタープラン(改定PDP7)」を首相決定しており、2030年までの電力開発の計画を定めている。改定PDP7によれば、政府は石炭火力と再生可能エネルギーの開発に重点を置いていることがわかる。石炭火力の2018年実績では、全体電源容量の38.1%を占める1万8516MWであったが、2030年には全体の42.6%にあたる5万5167MWまで引き上げられる計画だ。また、再生エネルギーは2030年まで全体電源容量の21%まで引き上げられる計画であり、2018年と比較して+13.8%増加の2万7195MWまで開発が進められる計画である。

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 電力不足を解消するため、規模の大きい石炭火力の開発への期待は大きい。しかし、多くの石炭火力のプロジェクトは遅延しており、計画通りに開発が進んでいる訳ではない。特にBOT(建設・運営・譲渡)案件の遅延は著しい。例えば、住友商事が2009年に事業化を決めた「第1バンフォン(Van Phong I)石炭火力発電所」であるが、建設が始まったのは2019年8月だ。政府との契約交渉に時間がかかり、開発に関わる承認や手続きが遅れるケースが頻発している。また、近年では環境問題の観点から石炭火力への批判も根強い。ベトナム政府も新規の石炭火力発電の開発には慎重になっているのが現状だ。
 
 一方で、2018年実績で全体電源構成の35.1%(1万7031MW)を占めた水力発電であるが、2030年には16.9%の規模まで縮小する見通しである。近年は渇水や干ばつを理由に水供給量が減少しており、稼働率が低下している。2019年9月の現地報道によれば、北部の主力ダムの水貯蓄量が満水時の半分しかないと報じられている。

 こうした状況を踏まえると、再生可能エネルギーの開発にかけられる期待は大きい。改定PDP7によれば、2020年以降、毎年1000MW以上の再エネが新規に開発され、2028年からは毎年3000MW以上が新規に開発される計画だ。2030年には年間の電源開発の約半分が再エネとなる見通しである。

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 また、改定PDP7によれば、再生可能エネルギーとして風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、小水力発電の2030年までの開発計画が定められている。総発電量に占める割合として太陽光は3.3%、風力発電は2.1%、バイオマス発電は2.1%が計画されており、このうち太陽光発電は1万2000MW、風力発電は6000MWの開発が定められている。

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 しかし、再生可能エネルギーの開発は政府の計画通りに進んでいないというのが現状だ。2019年12月の現地報道によれば、太陽光発電への過剰投資が明らかとなっており、現時点までに総容量1万0600MWに相当する154の投資案件がすでに承認済みであるという。このうち、6916MWにあたる127の案件では既にEVNとの売電契約が締結済みであるという。現時点までに少なくとも、4533MWに相当する89件の案件がすでに商業運転が開始されており、1日あたり30GWhを発電しているという。これはベトナム国内の総発電の約3%を占める割合である。このほか、商工省には太陽光発電案件が250件以上提出されているとも報じられている。これは2030年時点で1万2000MWという太陽光発電の開発計画を大きく逸脱するものであり、計画に沿った開発が進められていない現状を如実に表すものである。

 一方、開発が比較的容易である太陽光発電に比べ、風力発電やバイオマス発電への投資はこれまで注目されてこなかった。しかし、ベトナムは3600kmの長い海岸線を持ち、風力発電に適した気候と風土を持っている。さらに、農業と林業が盛んなベトナムでは木質バイオマスや籾殻、サトウキビ残渣など多種多様なバイオマス燃料が存在する。こうした条件により、今後は風力発電とバイオマス発電への投資の機会が大きくなると筆者は考える。

 次回はバイオマス発電と風力発電の開発の現状と今後の機会について、政府が公表しているデータや現地報道を基に分析を続けていきたい。

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