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【第24回】ベトナムの廃棄物処理市場:ゴミ問題に潜む新たな金脈(前編)【未来を創るベトナムビジネス】

2020/11/07 06:57 JST配信
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 未来のベトナムビジネスについて分析するコラム記事「未来を創るベトナムビジネス」。今回はベトナムのごみ(廃棄物)問題について考察していきたい。私たちは日常生活を続ける中で多くのモノを消費しており、生活を送る上で廃棄物の発生は避けられない。また、企業の産業活動でも多くの廃棄物が毎日大量に発生している。

 こうした廃棄物の適切な処理は世界的な課題となっており、人口増加、経済発展、都市化が著しい新興国では深刻な問題となっているが、新興国を中心にインフラ不足を背景として、廃棄物が適切に処理されないという共通の課題を抱えている。2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)でも目標12「つくる責任 つかう責任」が掲げられ、廃棄物の適正な処理に関する11のターゲットが設定されている。

 この記事では、ベトナムの廃棄物処理の現状と将来的な展望について分析をしていこうと思う。


急速な経済発展と人口増加:都市化の進展

 現在のベトナムでは、急速な経済発展、人口増加により廃棄物の排出量が増加している。これに加え、都市部に人口が集中するという都市化が2000年以降、急速に進んでおり、都市部の人口過密が進むことで都市部における廃棄物の排出量の増加につながり、廃棄物処理インフラを逼迫させる事態が生じている。

 長期的には、2050年にかけて一貫して都市化が進む見込みだ。2000年時点での都市化率は僅か24.4%で、全人口の75.6%が農村部に居住していた。しかし、2020年時点では都市部に住む人口の割合は36.8%まで増加し、このまま都市化が進めば、2045年には都市人口が農村人口を上回り、都市化率は51.1%まで高まると予測されている。その後も都市化は続き、2050年には都市化率が53.8%まで高まる見込みだ。

 現在、ベトナムの全人口のうち、14%程度が上位5都市(ハノイ市ホーチミン市、南中部沿岸地方ダナン市、北部紅河デルタ地方ハイフォン市、東南部地方ドンナイ省ビエンホア市)に集中しているとみられ、都市化の進展により、都市部の廃棄物処理は喫緊の課題となっていることが分かる。



増え続ける生活廃棄物

 次に、ベトナムの廃棄物管理の現況を見ていきたい。ベトナムの廃棄物は大きく分けて5つに大別できる。

 まずは都市ごみ(生活廃棄物)であるが、ベトナムでは都市ごみの処置は中央直轄市を含む省・市の責任の下で行われるが、実際の収集や処分は都市環境公社と呼ばれる組織に委託されることが一般的である。都市環境公社の法人形態は政府系企業や民間企業であったり、様々だ。

 現状、ベトナムの都市ごみの処理方法は埋立がほとんどである。このため、ごみ処理処分場の周辺地域では悪臭や土壌汚染等の環境汚染問題が発生しており、地域住民も抗議するといった報道も度々なされている。

 一方で、2013年には汚染が著しい都市ごみ処理場を閉鎖する首相決定第1788号/2013/QD-TTgが出されたものの、閉鎖においては覆土処理がされるのみで、埋め立て地を掘り起こして具体的な土壌汚染の対策が実施されるという訳ではないようである。

 工場等から排出される非有害な産業廃棄物については工場等の責任の下、都市ごみとして処理されている。一部の廃棄物は有価で売却されているようである。

 また有害な産業廃棄物の場合は省・市の管理の下、事業者が処理責任を負う。この場合、排出事業者が処理業者を選定し、処理の料金を支払って委託処理を行うことが一般的であるが、有害産業廃棄物は焼却や中和等の処理が実施された後、最終処分されるというのがほとんどのケースだ。また、処理施設は都市部の周辺に立地しているため、地方で排出した分については運搬する必要があることが多い。地方では、排出量が少なく、採算性の観点から立地が少ないというのが現状だ。

 病院で発生する医療廃棄物については、感染性の医療廃棄物の場合は有害廃棄物として管理されており、基本的には病院に設置された専用の医療廃棄物焼却炉にて処理されるか、都市環境公社等が保有する焼却施設で委託処理される。





廃棄物処理施設の現状:埋立処理が一般的

 ベトナムにおける都市ごみの主な処理方法は直接埋立である。ベトナム政府は排出源でのリサイクルや分別を廃棄物管理の原則として掲げているものの、依然として達成度は低い。廃棄物処理の流れ図を見ると、発生する固形廃棄物の全体量を100とすれば、都市環境公社による収集が全体の85%を占め、リサイクル業者等の個人での収集が6%、不法投棄等が9%となっている。埋立処理される割合は全体の63%となっており、リサイクル(10%)、コンポスト処理(4%)、焼却(14%)は低い水準に留まっている。

 ここで問題であるのは埋立処理される場合でも、衛生基準を満たす処理法で処理される割合は非常に低く、約3分の2は衛生的に処理されていないということだ。2015年の世界銀行が公表したレポートによれば、ベトナム国内には660か所の埋立地があり、衛生的に処理されていない埋立地は全国で456か所にのぼる一方、衛生的に処理されている埋立地はわずか204か所だけであった。2019年時点では、ベトナム国内における埋立地は900か所まで増加したが、依然として衛生的に処理されている廃棄物は全体の20%程度であるという。







分別方法:廃棄物処理場では手作業で分別されることが一般的

 廃棄物処理施設における廃棄物の分別プロセスはほとんどが手作業で行われている。一般的なプロセスとしては、まず収集された家庭ごみはフィルターにかけられ汚水が除去された後、ベルトコンベアによってごみが運ばれ、そこからプラスチック類でリサイクルできるものは手作業で分別される。

 次に磁石等を使用し、リサイクル可能な金属類が除去され、その他(紙類、有機性廃棄物)についてもリサイクル可能なごみが除去される。こうしたプロセスを経た後、圧縮処理が行われ、埋立または焼却の処理が行われる。日本等と比較すれば、近代的なやり方とは言い難い部分があるが、所得水準が低いベトナムでは手作業で行う方法が主流であることが事実である。


 以上、今回の記事では廃棄物処理の現状や課題について述べてきたが、次回の記事では今後の見通しや展望、将来的な機会についても述べていきたい。筆者としては廃棄物処理の需要は今後も増え続け、有効活用の余地さえあると考えている。特に固形廃棄物を燃料として活用するごみ発電はベトナム政府による優遇措置や奨励策が近年になって導入され、その奨励策は太陽光発電や風力発電などのほかの再生可能エネルギーと比較しても内容が非常に充実している。

 社会問題となっているごみ問題であるが、いかに採算性を確保したビジネスモデルを構築できるかが重要となるであろう。ベトナムの持続可能な発展に直結するビジネスモデルをいかにして構築するか、多くの日本企業にとって大きなチャレンジとなるに違いない。

 次回は将来的な廃棄物市場の機会に焦点を当てて執筆を続けたい。

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