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【第25回】ベトナム教育市場の最前線~STEAM教育を一例として~【未来を創るベトナムビジネス】

2020/11/11 04:56 JST配信
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 ベトナムにおける教育分野の投資額は2020年1~9月期で8900万USD(約85億6000万円)に達し、前年同期比で+58%増加した。新型コロナウイルスの影響で各分野における投資活動が下火になっている中で教育分野における投資額の上昇は注目に値する。

 ベトナムの一般家庭では総支出の実に40%が子供の教育に充てられており、また国の予算でも20%が教育分野に関する支出である。日本は経済開発協力機構(OECD)加盟国で下から2番目の割合である9.1%であることと比較するとベトナムが庶民、また国レベルでいかに教育を重要視しているかがわかる。

 人と金が集まるところにはビジネスチャンスが生まれる。ベトナムの教育分野はいま最もホットな投資分野の一つである。特にベトナムでは海外の教育用品、教育コンテンツの質の高さに注目が集まっており、外資企業にとってもベトナムの教育用品、教育コンテンツの市場は大きなポテンシャルを孕んでいる。今回はまずONE-VALUE株式会社が行った教育市場に関する調査の情報を基に、ベトナムの教育に関する制度・市場の現状を整理していきたい。


1.ベトナムにおける教育課程
 
 ベトナムでは日本と同じく小学校・中学校が義務教育となっている。ベトナムはもともと識字率が95%と先進国並みに高いことで知られているが、これは多くの子供がしっかりと義務教育を受けていることを意味する。大学への進学率は2016年の国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の調査によると26%であり、他国と比べて低率ではあるが年々上昇している。

 ベトナムでは、両親は子供がレベルの高い教育を受けるためには支出を惜しまないという傾向がある。ただ日本と事情が異なっている点は、日本では大学受験のための決められたカリキュラムに沿った学習(進学塾など)に親も重きを置いているのに対して、ベトナムでは実践的な英会話、柔軟な思考を養うための知能育成または将来のビジネススキルとして必須になるパソコン、プログラミングに関する教育への投資が多い傾向にある。



2.ベトナムの教育における公的セクター、民間セクター
 
 日本と同じように、ベトナムでも幼稚園・小・中・高・大学を含むすべての教育課程に対してそれぞれ公的な機関、民間の機関が存在する。しかしそれにかかる学費の差額は日本よりも大きい。大学を例に取ると、公立大学と私立大学が存在し、公立大学の学費が年間2~5万円と安価であるのに対し、私立大学の学費は年間35~100万円とかなり幅がありなおかつ公立と比べて非常に高価である。

 しかし私立大学を含めた民間の教育機関に対する人気は根強く、多くの子を持つ親は自分の子供を公立の学校ではなく、私立の学校に通わせたいと考えている。その理由は、民間大学では近年ベトナム国内で大きな支持を得ている国際的な教育手法が積極的に取り入れられており、語学だけではなく経済、工学、医学などの様々な分野で、他国の最新の教育を受けることができるからである。

 しかし民間教育機関の中では教員や授業のレベルが不均質であったり、カリキュラムが十分に整備されていなかったり等の欠点もあるため、一概に民間の教育機関が公的機関よりも優れているとは言えない。とはいえ、国民の一般的感情としては民間の教育に熱い期待が寄せられていることは間違いない。

 上記は大学を一例に挙げたが、より初期の段階(幼児教育や小学校)ではこの傾向はより強い。これは幼い頃に受けた教育のレベルが、成長してから受けた教育よりも、その人物のスキル形成に大きな影響を与えると考えられているためである。



3.ベトナムにおいて広まるSTEAM教育
 
 上記では学校セクターを一例に挙げたが、学校以外での塾や家庭での教育も同じように注目を集めている。そこでは前述したように、海外の教育用品、教育コンテンツがすでに各家庭で多く受け入れられている。ここでは多くのそうしたコンテンツの中の一つ、STEAM教育を一例として取り上げたい。

 STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(リベラルアーツまたは芸術)およびMathematic(数学)の略。STEAM教育は基本的に5つの分野に関連する必要な知識とスキルを総合的に学習者に提供するものとして理解されている。2000年代に米国で生まれた概念であり、最初はハイテク分野における適格者が労働市場に少なかったことから、国家レベルでそういった求人ニーズを満たすような人材育成を行うという政策レベルで用いられた概念であった。

 もともとSTEAMという概念は初等教育から高等教育までの広い教育ステージに当てはまるフレームワークであるが、高等教育におけるSTEAM教育の成否は往々にして初等教育での教育環境により決定されてしまう(幼少のころにSTEAMにかかわる分野に興味を持った生徒が、高等教育の段階においてその分野で良い成績を残す傾向が強い)ことから、STEAM教育では特に初等教育の段階が最重要視されている。そのため、公立・私立を問わず小中学校でSTEAM教育のカリキュラムが積極的に取り入れられている。

 具体的にはブロックを使って自動で動くロボットを組み立てたり、実際に自分の手で薬品を混ぜたりして化学の基礎を学んだりする「座学ではなく実際に手を使った学び」が多く取り入れられている。少しレベルが上がるとパソコンで実際にロボットのコンピュータをプログラミングして、一定の指示を与えると自動でプログラミングした動きをするようなロボットの組み立て等も行う。



4.STEAM教育におけるビジネスチャンス
 
 STEAM教育を始めとする海外から輸入された教育コンテンツへの関心の高まりから、多くの教育用品・教材の開発企業がベトナムの教育市場に注力し始めている。主にこれらの企業が売り出すのは最新の教育グローバルスタンダードに基づく学習用具や教材、カリキュラムの設計であり、さらに学校にて教員に代わって実際に生徒たちに授業を行うサービスを提供する企業もある。すでに日本内外を含めた多くの外資企業がベトナムの教育分野への進出を実施、または検討しているという業界のトレンドがある。

 教育は当然のことながら国の重要な政策にかかわる分野であるため、ベトナム当局による規制も強い。特に小学校、中学校、高校、大学などの学校教育に関わる分野は、投資許可の承認が難しく、参入のハードルがやや高い。

 そのため初めてベトナムの教育産業への進出を考える企業であれば、まずは学習用品、教材、オンライン学習コンテンツの販売や塾の開設などの学校外教育から始めると良い。実際に進出を決定する際には、自社ではどのような教育コンテンツが提供でき、ベトナムでは現状どのような教育コンテンツのニーズが高く、さらに競合他社のサービスはどのようになっているか等の事前調査も必要となる。

 また実際に投資許可を申請するに当たっては行政機関との密接なやり取りが必要となるため、ベトナムの教育市場に精通し、行政機関とのネットワークも強いコンサルティング会社等と連携して、ベトナム教育市場で勝てるための戦略を共に策定していくことが必要となるだろう。

著者紹介
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