ベトナム総合情報サイトVIETJO [ベトジョー] ベトナムの最新時事ニュースを毎日無料配信!
 ようこそ ゲスト様 

【第51回】ベトナム小売市場:急成長の要因と長期的なポテンシャル【未来を創るベトナムビジネス】

2021/02/20 05:57 JST配信
Clip to Evernote

 経済発展に伴い、可処分所得が増加し、都市部への人口流入が続くベトナムでは、国民の生活レベルが日々向上しており、東南アジア地域で最もダイナミックに経済発展を続けている国であると言える。特に、15歳から64歳の人口が総人口の7割を占めており、比較的若い消費者の力強い購買に支えられる小売市場は今後も成長が続くことが見込まれる。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年であるが、ベトナムは他国と同様に、貿易、外国企業からの直接投資が落ち込んだものの、国内の消費市場は堅調に成長を続け、国内総生産(GDP)を見ても、プラス成長を維持した。このレポートでは、ベトナムの小売市場にマーケット情報やトレンド、ベトナム消費者のトレンドについて考察していきたい。



成長ドライバーとしての人口増と都市化

 ベトナムの総人口は約1億人規模に及んでおり、その7割が15歳から64歳という比較的若い年齢層が占めている。また、国民の平均年齢も32歳程度である。今後も人口は増え続け、若い年齢層も7割程度を維持することから、幅広い商品、ブランド、商品カテゴリーへの需要が増していくことが考えられる。2040年代にはベトナム人口が日本人口を上回る見込みであり、高齢化と人口減少が続く日本とは状況が全く異なっている。

 ベトナム人口が増加し続ける一方で、都市部に流入する人口の割合は年々増えている。2018年には3900万人が都市部に居住しており、人口の41.0%が都市部に集中する結果となった。ベトナム建設省によれば、今後も都市化が進行し、2050年頃には53.8%まで都市化が進み、都市部に住む人口が農村部に住む人口を上回るとされている。

 ほとんどのモダントレード企業は、ハノイ市ホーチミン市などの大都市やその周辺に進出し、都市部の消費者を囲い込んでから郊外に出て行く戦略を打つだろうと考えられる。





中間層の拡大と小売市場の急成長

 ベトナム国民の可処分所得はこの近年急激に増え続けている。実際にベトナムの世帯所得分布をみると、中間層が拡大していることが分かる。中間所得層(世帯所得5000~3万4999USD=約53万~370万円)の割合は、2000年の約10.4%から、2018年には約47.2%にまで上昇しており、上位中間所得層(1万~3万4999USD=約106万~370万円)の割合が2000年時点では0.0%であったが、2018年には14.9%まで増加している。

 英国市場調査会社ユーロモニター(Euromonitor)によれば、ベトナムでは2030年までに全世帯の49%が中間層となり、1世帯当たりの年間の可処分所得が5000~1万5000USD(約53万~160万円)で、2018年と比べて+33.8%増加すると見込まれている。

 また、2021~2022年頃にベトナムの1人当たりGDPが3000USD(約31万8000円)を上回る見込みだ。一般的に国民1人当たりのGDPが3000USDを超えると、国民の自動車や大型家電、家具といった耐久消費財の購入意欲が急速に高まると言われている。

 以下の図表はベトナムの1人当たりGDPと小売市場の売上高の推移を示したグラフであるが、1人当たりGDPが初めて1000USD(約10万6000円)を上回った2008年以降は、特に小売市場の売上高が急成長している。2008年から2019年までの18年間における1人当たりGDPの年平均成長率は+8.12%であるが、同期間における小売市場の売上高の年平均成長率は+15.3%に及んだ。2019年時点で小売市場の売上高は約17兆円の規模に達している。

 これに伴い、日系の大手小売企業もベトナム進出が続いている。主要な進出例を挙げると、ファミリーマート、ミニストップ、イオンモール、高島屋、セブンイレブン、ユニクロ、良品計画、マツモトキヨシ等が挙げられる。





モダントレードの発展とポテンシャルが高いEC市場

 ベトナムでは伝統的小売業態(トラディショナルトレード:TT)が大きな割合を占めているが、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ショッピングセンターといった近代小売業態(モダントレード:MT)の普及が着実に進んでいる。近年では、トラディショナルトレードの成長率は年率数%程度に留まっているが、モダントレードの成長率は+10%以上に到達している。

 事実、ベトナムでは、スーパーマーケット、ショッピングセンターの店舗数は増加を続けている。ベトナム統計総局によれば、スーパーマーケットの店舗数は2010年時点では600店舗に留まっていたが、2019年には1000店舗以上までに増えた。同様に、ショッピングセンターも2010年時点の100店舗程度から、2019年には240店舗まで店舗数が増大している。

 ベトナム商工省傘下の電子商取引・デジタル経済局(iDEA)、ベトナム電子商取引協会(VECOM)によれば、ベトナムの電子商取引(eコマース=EC)市場規模は、2015年に約40億7000万USD(約4300億円)、2018年に約80億6000万USD(約8540億円)と市場規模が拡大しており、2019年および2020年の成長率が+30%で推移した場合、2020年中に市場規模は130億USD(約1兆3800億円)に達すると発表している。

 また、2025年におけるベトナムのEC市場規模は244億USD(約2兆6000億円)と、東南アジアで最も急速な成長率を示しており、その規模はインドネシアに次いで2番目となる見通しだ。2018年時点で、EC販売は小売業売上高の4.2%とまだそれほど高い数字ではないが、今後の成長が期待される。

 また、ベトナムのインターネット人口であるが、世界のインターネット利用者数を公開しているInternet World Statsの報告によると、6854万1344人(2019年6月末)で、これは総人口の70.3%にあたる。





今後の見通し

 以上、ベトナム小売市場をマクロ的な視点から分析を続けてきたが、中長期的には現在ベトナムの人口の25%を占める中所得者の購買意欲が増すことから、彼らのニーズに合った商品を提供できるか否かがポイントになるだろう。

 モダンリテール、つまりショッピングセンター、スーパーマーケットやハイパーマーケットは今後のベトナム小売セクターの成長の要になると考えられるだろう。モダンリテールチャネルの売上はまだ全体の20%と推測されていることから、今後も成長が見込まれる。

 また、EC市場のポテンシャルは依然として高く、日本企業にとってもECサイトを通じたベトナム市場への進出は有望なオプションの1つとなるだろう。

 次回のレポートでは、引き続き、ベトナム小売市場の分析を続け、ミクロな視点からベトナム消費者に焦点を当てて分析を続けていきたい。

著者紹介
ONE-VALUE株式会社
代表:PHI HOA(フィ ホア)
日本本社:東京都江東区亀戸2-28-3 アセッツ亀戸 2階
ハノイ事務所:No. 21, Le Van Luong Street, Thanh Xuan, Hanoi, Vietnam
主要事業:経営コンサルティング、人材育成開発及び人材紹介、日越間のビジネスマッチング支援


■ONE-VALUEはベトナムに特化した経営コンサルティングサービスを主に提供しております。具体的にはベトナム市場参入・事業展開アドバイザリー、ベトナム市場調査、M&Aアドバイザリーを日本企業のお客様向けに提供しており、ベトナム政府・民間企業・業界団体とのネットワーク、ベトナムの各産業に関する深い知見と洞察、ベトナム進出支援の実務経験を強みとしています

■また、ONE-VALUEはエネルギー(再生可能エネルギー等)、ハイテク農業、スマートシティ、教育・人材、消費財の5分野をフォーカス分野として注力していますが、その他の分野でも積極的に日本企業のベトナム進出を支援しています

■ベトナムビジネスにご関心のある方は以下からONE-VALUEの専門家へお問合せください

■ONE-VALUEはベトナム市場動向、業界分析等の深い情報を自社ホームページ、TwitterやFacebook等のSNSに掲載しております。また、日本・ベトナム間のビジネス交流ネットワークのFacebookグループも運営していますので、こちらもお気軽にご覧ください


□HP:https://onevalue.jp/
□Email:contact@onevalue.jp
□Twitter : https://twitter.com/onevalue_vn
□Facebook:https://www.facebook.com/onevalue
□Facebookグループページ「日本・ベトナムビジネス交流会」: https://www.facebook.com/groups/779940089431088/
未来を創るベトナムビジネス
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2021 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。免責事項
©VIETJO ベトナムニュース 2002-2021 All Rights Reserved
運営:VERAC Company Limited