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【第52回】ベトナムでスマートホームが注目されている2つの理由:IoT技術の発展で人々の生活をより快適・安全に【未来を創るベトナムビジネス】

2021/02/24 05:54 JST配信
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 ベトナムではハノイ市、南中部沿岸地方ダナン市ホーチミン市等の中央直轄市だけでなく、東南部地方ビンズオン省や北部紅河デルタ地方ハイフォン市等でもスマートシティ等の都市開発が盛んになっている。

 都市開発は電力・水道等のインフラや気候、電力消費量、交通などをデータで可視化するような都市データの管理等、都市全体の設計に目が行きがちであるが、そこに住む住民レベルでも、IoT技術が用いられた新しい家の形が注目を集めている。その中の一つが「スマートホーム」である。

 「スマートホーム」の概念自体は少し前から知られており、アップル(Apple)の「Siri」やグーグル(Google)の「Google Home」で家電を操作する技術がよく知られていた。この技術は「Smart Appliances(スマート家電)」と呼ばれていたが、スマートホームはスマート家電だけでなく、家全体をIoT(モノのインターネット)技術でデジタル的に結合させ、セキュリティやエネルギー効率まで管理できるような、より包括的な概念である。

 また近年はベトナムでも「高齢化社会」が進んでいるという話題が注目されており、日本と同じように都市化が進むベトナムにおいても子が親の安全を遠いところからでも見守ることができる技術としても期待を集めている。

 今回はそのようなスマートホームがベトナムでどのように普及しているのかについてみていきたい。


1.加熱する新築不動産市場がスマートホームの普及を後押し

 統計データベースのスタティスタ(Statista)によると、ベトナムのスマートホーム市場規模(売上高)は2020年時点で1億2300万USD(約130億円)に達しており、2025年までには4億4900万USD(約476億円)まで成長すると予測されている。2017年から2020年までの売上高のCAGR(年平均成長率)は+65.77%となっており、日本における同時期のCAGR+31.13%と比較しても大きな成長率を達成している。

 この背景には、ベトナムで現在新しい都市の開発、新築マンションの建築ラッシュが起きており、日本と比べてもスマートホームの普及率が早い段階で進んでいることがある。

 例えば現在ハノイ市の南で開発が進められているホンハー(Hong Ha)エコシティ開発プロジェクトでは、ウイルスセキュリティ国内大手のBkavが建設予定の16件のマンションにスマートホームのパッケージを導入することが決定している。また同社は南中部沿岸地方ビンディン省クイニョン市で建設が進められているフータイ(Phu Tai)レジデンスでもスマートホームパッケージを導入させることになっている。

 またこのようにスマートホームが既にある住宅への後付けではなく、新築マンションに組み込まれた形で、セットで販売されていることで、普及がより促進されていると考えられる。



2.高齢化を解決する手法としてのスマートホーム

 ベトナムにおけるスマートホームの普及を推し進めるもう一つの要因となると考えられているのが、ベトナム社会の急速な高齢化である。2017年の国連人口推計によると、2017年に高齢化社会(高齢者人口比率7%)へ突入し、2034年には高齢社会(同14%)になると予想されている。高齢化社会から高齢社会への移行期間は約17年であり、東南アジアの他の国と比べても早い高齢化の進行率であると言える。


 また人口を維持するために必要な合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は2.1人であると言われているが、ベトナムは1980年以降出生率の減少が続いており、2012年からはわずかに回復の兆しを見せているものの、2018年時点では2.05と人口置換水準の2.1にかなり近い数字となっている。これは全国平均の数値であるが、都市部では出生率は特に低水準であり、南部の都市部(ホーチミン市等)などがこの傾向が顕著であると言われている。


 また経済発展が進むと同時にベトナムでも核家族化が進んでいると考えられ、高齢となった両親や祖父母と子供がそれぞれ別の家で暮らす形態も増えている。

 そのような状況で課題となるのが、年を取った自分の両親や祖父母をどのように世話を行うかについてである。別居まではしていなくとも、自分が日中に働きに出ることで、その間に両親や祖父母がどのように生活しているのかを確認することができず、戸締りのし忘れ、電源の消し忘れ、または病気等で何か異常があった場合でも発見が遅くなってしまうという問題が起こる。このような課題を解決する手段としても、スマートホームは注目されている。

 スマートホームシステムでは、家の窓や扉の開閉情報、施錠されているか否かを離れた場所からでもスマートフォン等で確認することができ、施錠・解除も行うことができる。また人の動きを感知することができるスマートセンサーを用いることで、人の動きを遠隔地でも確認することができる。また今述べた2つの機能を応用することで、施錠中に人の動きを感知した場合に通知を送ることができる等の防犯にも用いることが可能だ。

 また、現在は上記よりもさらに便利で、居住者の健康を守る機能も開発されている。例えば遠隔地からでも薬の服用を管理することができる機能や、体が不自由な居住者に代わって床を掃除する自動ロボット掃除機等である。

 スマートホームは人の生活を便利にするだけでなく、高齢化という社会課題を解決する手法としても、非常に注目されているセクターである。


3.まとめ

 本レポートでは、ベトナムでスマートホームの普及が進み、今後も注目され続ける2つの理由を述べた。

◇都市開発、新築マンションの建築ラッシュにより、スマートホームの導入が進むこと。
◇高齢化が進むベトナム社会で、高齢者を見守る機能としてもスマートホームが活用できること。

 今後もIoT技術が発展することにより、スマートホームは今以上に便利で、安全な機能を備えていくだろう。今後ベトナムの経済発展、加熱する不動産開発、そして高齢化社会の進行により同セクターがますます注目を集めることになる。日系企業にとっても、すでに日本で導入されている優れたスマートホーム技術をベトナムへ輸出する良い機会であると言えるだろう。

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