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障がい者雇用促進に携わって得た学び・気づき【VIETJO LIFEコラム:ベトナムにおける障がい者雇用創出の世界に飛び込んでみて】

2021/10/08 12:00 JST配信

こんにちは、福崎雄生(ふくざきゆうき)と申します。今回はコラム最終回になるので、2020年3月まで所属していた障がい者の雇用創出・自立支援を手掛けるIT企業IT企業 Enablecode での業務を通じて得た学びや気づきについて書いてみたいと思います。

Enablecode は障がい者の方々と雇用契約やフリーランス契約を結び、仕事を通じた収入獲得・社会での活躍による自信醸成によって、経済的・精神的な自立のためのきっかけ提供を行っています。


事業内容については、 過去のコラム で触れておりますので、お読みいただけると幸いです。

Enablecodeの活動を通じて得た学び・気づき

ベトナムでの活動では、多くの学び・気づきを得ることができました。今回は、その中から3つに絞ってご紹介したいと思います。

ソーシャルビジネスの可能性とシビアさ

第一回目のコラム で触れたのですが、もともとソーシャルビジネス*に携わってみたいという思いがあり、幸運にも社会的企業であるEnablecodeで働くご縁に恵まれました。

【ソーシャルビジネスとは】
ソーシャルビジネスとは社会問題解決を目的とした事業で、その領域は貧困や差別、環境問題など、多岐にわたります。最大の特徴は、寄付金などの外部資金に頼らず自社で事業収益を上げることで継続的な社会支援を可能にしている点です。
※ BORDERLESS Japan 「 起業して社会問題を解決する!ソーシャルビジネスとは? 」より引用


日本で地方創生に関わる仕事をしていた際に、社会課題・地域課題の解決に向けて様々な事業・取り組みがあることを知りました。同時に、それらの多くは寄付や外部資金(主に補助金など)によって成り立っており、寄付・外部資金が途絶えると継続が困難になることが課題であることを知りました。

社会課題は根が深く、その解決には地道な取り組みの継続が重要であることから、社会支援と収益獲得を両輪で回しながら、継続的に社会にインパクトを生み出すソーシャルビジネスが近年一層注目を集めています。そして、Enablecodeで手掛けるソーシャルビジネスを通じて、その可能性を実感することができました。

特に、Enablecodeの BPO事業 では、ビジネスが拡大するほど、収入を得て自立できる障がい者の方々が増えていくことを目の当たりにして、社会的な価値と、経済的な価値を同時に生み出すことが可能であることを身をもって感じることができました。

一方で、ビジネスであるがゆえのシビアさに戸惑うこともありました。
Enablecodeでは既定の仕事がこなせない障がい者の方には、仕事を依頼すること(≒手を差し伸べること)ができません。この点が慈善活動とは異なる点で、事業収益で成り立つ企業という特性上仕方ないことだと思うのですが(※どちらが良い悪いという話でもなく)、当初は、「支援できる人を選んでいる」「支援できる人が限られている」ような気がして戸惑いを覚えました。しかし、様々な慈善団体やNPOの方々と接する中で、最終的にそれでもよいのだと腑に落ちました。

例えば、重度の障がい者の生活支援など、世の中にはどうしても寄付・外部資金に頼らなければ成り立たない活動があることも知ったのですが、そういった取り組みに限りある寄付・外部資金を充てられる状況を目指していくことが重要だと考えられるようになりました。

つまり、同じ障がい者支援という取り組みであっても、 できる限り広い範囲で寄付・外部資金に頼らなくてもよいソーシャルビジネスとして持続可能な運営を目指し、資金的な援助が真に必要な取り組みに寄付・外部資金が回る状態 が理想的だと捉えました。

Enablecodeの取り組みだけに焦点を絞らず、よりマクロな視点に立ち、同じ社会課題の解決に向けて多様な団体が活動していることを考えると、各団体が最善を尽くしつつ団体同士で手を取りながら、一人でも多くの障がい者支援に繋げることが重要だと考えています。

Enablecodeの代表も「社会課題解決にはエコシステムの構築が重要である」といつも言っており、実際に関連団体との連携も積極的に推進していました。私もそういった取り組みに関わる中で、実際に多種多様な団体が存在し、有機的に連携していることを知りました。

少し余談になりますが、NPOとの連携を広げる活動の中で、「ベトちゃんドクちゃん」で知られているグエン・ドク氏とご一緒する機会にも恵まれ貴重な経験となりました。



本文の続きはこちら → VIETJO LIFE「【第5回】障がい者雇用促進に携わって得た学び・気づき
コラム「ベトナムにおける障がい者雇用創出の世界に飛び込んでみて」の一覧はこちら → 「ベトナムにおける障がい者雇用創出の世界に飛び込んでみて

(本記事は、2021年10月1日付け「VIETJO LIFE」で配信されたものです。)

著者紹介
福崎雄生
2019年7月よりホーチミンに移り、障がい者雇用創出を目的としたベトナム国内の社会的企業にて活動をしています。みなさまにとっても日頃とは少し違った視点でベトナムを捉える機会になるように、現地での学びや気付きを発信してまいります。
著者略歴:1990年生まれ、愛媛県今治市出身。立命館大学卒業。日系IT企業勤務(官公庁向けシステム開発 – 沖縄県の地方創生プロジェクト – 研修の一環でベトナムの社会的企業へ)
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