ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第6回】はじめの一歩

2019/04/26 08:45 JST配信

2019年度がスタートしました。今年も年幼組(2歳児)の新入園児が登園を開始しています。

入園式の光景

入園式の前に「プレ保育」といって、2日間親子で登園して幼稚園に慣れる時間を作ってから入園式を迎えるようにしています。なるべく緊張をほぐして登園してほしいという思いからプレ保育を行っています。日本の幼稚園の場合は、入園式の参加は絶対的ですが、おおぞら日本人幼稚園では、「まだ日本帰国中なので、参加しません」というご家庭もよくあります。この点からしても「入園式」の比重は軽くなります。

さて今年は入園式が始まる前から、大好きな車の本を読んでいるAくん、母親と絶対離れたがらないBくん、Cちゃん、Dくん、そして父親と離れないEくん、指人形で遊び始めるFくんと、2歳児はそれぞれがマイペースで、予想していた通りの様子でした。保護者の皆様も慌てず、そのままを受け止めています。入園式は穏やかに執り行われました。

登園開始

早速翌週から、バス通園が始まります。リュックを背負い荷物を持って、母親と離れて一人でバスに乗らなければなりません。誰が嫌がるかな、とこちらも予想を立てていますが、今回はその予想が外れ、平然と登園してきた子どもたちもいて驚きました。

期待通りだったのは、Gちゃん。入園式も緊張気味で母親と離れられずにいました。それでも荷物を持って泣きながらバスになんとか乗車してきましたが、幼稚園に着き、バスから降りても、幼稚園の門のところにしがみついて動かず。声をかけようと近づくと、「ビエーー」と泣き出し「こないでー!ママー!かえる~」を連発し、手の平を懸命に動かして、「むこうにいって!」というしぐさを繰り返します。

ベトナム人アシスタントが、「わかった。帰ろうね」と近寄り、一緒に門の外に出て、近場を歩き気持ちを逸らす作戦に出ようとしますが、門の外に出た途端「ビエーー」「こないでー」を繰り返します。しばらくして戻ってきた時には、泣き疲れてか、アシスタントに抱っこされ、指をしゃぶって寝ていました。Gちゃん、がんばったね。お疲れ様でした。

その他にも泣いて登園してきた子どもたち。担任やアシスタントの先生に、慰められ、少しずつ安心し、遊び始める子たちもいます。昨年からいる古参者はさすが、動じず、いつものペースで遊び始めています。そこに、4月からの新参者が、近づいていく感じですが、2歳児はおもしろい。もちろん「いれて」などまだ言えません。砂場で遊んでいる古参者のHくんを見つけて、砂場で遊ぼうとしますが、かなり距離が遠い。しかし確実に刺激されています。「一緒に遊ぶ」距離感ではないのですが、2歳児のはじめの一歩とはこういう感覚なのだと改めて感じさせられました。

大抵の親は、子どもが幼稚園に入園して「泣かずに行って欲しい」と願うことは当然のことですし、関わる保育者も、楽しく、早く、安心して登園して欲しいと思います。

ただし、子どもの気持ちを考えた時、「泣く」気持ちの方が、むしろ普通かもしれないといつもこの時期に思います。彼らの気持ちを代弁すれば、生まれてこのかた大事に育てられ、わずか2年で、初めて家以外の社会=外の世界に出る。これは一大事です。とっても不安なことです。誰がいるのかわからない…。自分の好きな場所かどうかもわからない…。

また毎年ですが、幼稚園にはお昼寝があります。一つ大きい3歳児ですら新入園児は「ねない」と宣言している子もいます。「目をツブル」なんて、敵に食べられてしまうというくらい怖い。身体測定で「裸にナル」ことを拒む人もいます。気は許せない、ママと離れなければいけないような場所で、一番弱みを見せることになりかねない、服なんて脱げない。幼稚園は敵陣なのです。この気持ちを理解すると、彼らへの接し方が非常に楽になります。

2歳になった小さな子どもたちのはじめの一歩。気持ちを十分理解して支えてあげたいと毎年思います。

著者紹介
多々内三恵子
おおぞら日本人幼稚園理事長・園長。

タオディエン日本人幼稚園園長。

静岡大学教育学部附属幼稚園・青山学院幼稚園教諭を経てホーチミンで日系幼稚園を開園。

日本の保育を真摯に、かつユニークに展開中。

子どもの世界の面白さを語ったら止まらない。

>> おおぞら日本人幼稚園ウェブサイト

>> タオディエン日本人幼稚園フェイスブックページ
子育て奮闘中のパパママにエール!
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ベトテル、民間用花火を販売 実店舗とオンラインで (4:33)

 国防省傘下のベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)は1日、全国の自社小売ネットワークで民間用花火の販売を開始した。大手小売業者としては初めての花火販売事業への参入となる。  祝日やテト(...

ハノイ:12月から公共電動自転車の運用開始、同市初 (4:24)

 シェアサイクル事業を手掛けるチーナムグループ(Tri Nam Group)は12月1日、ハノイ市で初となる公共電動自転車の運用を開始した。グリーン交通促進の流れに合わせ、市内のシェアサイクル事業の多様化を図る方針...

トランスコスモスのベトナム開発子会社、HUFLIT大学と覚書 (3:45)

 トランスコスモス株式会社(東京都豊島区)の100%子会社で、ベトナムでアジャイル開発サービスなどを提供するトランスコスモステクノロジーベトナム(transcosmos technology Vietnam、ホーチミン市)は11月24日、...

貧しい人々の「最期の眠り」を見届けて20年、無償で葬儀を行う男性 (11/30)

 ホーチミン市ニャーベー村には、貧しい人々や身寄りのない人々の最期を見送ることに人生のすべてを捧げてきた男性がいる。  地元の人々は、ニャーベー村74集落の長であるレ・バン・サンさんを、親しみを込...

アグリツリー、ベトナム国内で実証設備を稼働開始 現地法人も設立 (2:17)

 ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を中心とした太陽光発電設備及び蓄電池設備のコンサルティング・設計・資材調達・施工・維持管理、農作物の生産を手掛ける株式会社アグリツリー(福岡県那珂川市)は、ベ...

タイガー・ウッズ氏、ベトナムでゴルフ場を初設計 ビンG開発案件 (3日)

 「史上最高のゴルファー」と称されるタイガー・ウッズ氏が、自身が設立したゴルフコース設計会社のTGRデザイン(TGR Design)を通じて、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VI

韓国海軍の練習艦「ハンサンド」、ダナンに寄港 (3日)

 韓国海軍のハンサンド級練習艦「閑山島(ハンサンド=Hansando、ATH-81)」が2日、士官375人を乗せて南中部地方ダナン市のティエンサ港に寄航し、5日までの表敬訪問を開始した。  歓迎式典には、ダナン市外務...

ハノイ:外国人が購入可能な住宅プロジェクトに3件を追加 (3日)

 ハノイ市建設局は、外国人が購入可能な不動産プロジェクトのリストに新たに3件を追加した。追加されたプロジェクトには、複合都市区のインペリアルプラザ(Imperial Plaza)などが含まれる。  リストに追加さ...

サムスン電子現地法人、初のベトナム人上級幹部が誕生 (3日)

 韓国系サムスン電子のベトナム現地法人であるサムスン電子ベトナム(SEV)は1日、グエン・ホアン・ザン氏をサムスン電子ベトナム・タイグエン(Samsung Electronics Vietnam Thai Nguyen=SEVT)の副社長に任命した...

ナカシマヘルスフォース、ベトナムの大学などと整形外科分野で覚書 (3日)

 人工関節・骨接合材料・脊椎固定用材料などの医療機器の開発・製造・販売を手掛けるナカシマヘルスフォース株式会社(岡山県岡山市)は、ベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ国家大学)傘下の医科薬科大学(VNU-UMP)お...

Jizoku、ベトナム農地管理プロジェクト分析支援でArchedaと協業 (3日)

 一次産業におけるカーボンクレジットの創出支援事業を手掛ける株式会社Jizoku(東京都国立市)は、衛星データを活用した自然由来カーボンクレジット向け解析ソリューションを提供する株式会社Archeda(東京都千代...

クオン国家主席、訪越のブルネイ国王と会談 貿易額倍増目指す (3日)

 ルオン・クオン国家主席は1日、国家主席の招きによりベトナムを公式訪問したブルネイのハサナル・ボルキア国王と会談した。双方は、両国関係を包括的に強化する方針で一致した。  双方は、首脳級を含む各レ...

ラム書記長がラオス訪問、建国50周年記念式典に出席 (3日)

 トー・ラム書記長は、ラオス建国50周年記念式典への出席に合わせて、1日と2日にラオスを公式訪問した。ラム書記長は1日、トンルン・シースリット国家主席 兼 ラオス人民革命党中央委員会書記長と会談した。 ...

事故で切断の手、仮移植した脚から腕への再接合手術に成功 (3日)

 ホーチミン市のビンズオン総合病院は11月30日、約2か月前に切断された手を脚に仮移植した妊婦のPさんに対し、手を脚から元の腕に戻す再接合手術を行い、成功したと発表した。  Pさんは現在、妊娠34週で、双...

ハノイ:メトロ3号線、TBM1号機が4駅区間の掘削完了 (3日)

 ハノイ市都市鉄道(メトロ)3号線(ニョン~ハノイ駅区間)の地下区間工事は1日、トンネル掘削機(Tunnel boring machines=TBM)の1号機「タントック(神速=Than Toc)」が同区間の終点であるS12駅(ハノイ駅)に到達し...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved