ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第73回】2024年ベトナムのECトレンド:急成長と変わる消費者行動

2024/06/12 00:00 JST配信

取引量から見るベトナムECトレンドについて

ベトナムの電子商取引(EC)業界は大幅に成長し、metric.vnによると、2023年5月から2024年6月までの取引額は3,798百万USDから5,645百万USDへと48%増加しました。この成長は、2023年の全体的な小売市場のトレンドである9.6%の増加を大きく上回り、オンラインショッピングがオフライン小売に比べて急速に拡大していることを示しています。取引金額から見るECで最も人気のあるカテゴリは、美容とホーム&ライフスタイル製品となっています。一方、最も成長が著しいカテゴリとしては、スポーツ&旅行が73%、家庭用電化製品と電話・タブレットカテゴリがそれぞれ64%の成長率を示しています。

消費者のEC利用方法の変化

一方、オンラインショッピング利用者を対象に行った消費者調査からもいくつかのトレンドが見て取れます。本調査によると54%が毎週オンラインショッピングを利用しており、オンライン購入の頻度が一層高くなっていることがわかります。カテゴリー別で見ると、美容やファッションカテゴリでは、消費者の半数がオンラインを主要な購入チャネルと捉えるなどオンラインショッピングは一層浸透しています。一方で、食品の購入などやはり品質などへの懸念や配送スピードからオフラインチャネルを好む傾向が残っています。

ベトナムの消費者がオンラインショッピングを利用する主な動機は、価格とプロモーションの二つが挙げられます。多くのベトナム人消費者が価格関連の要素をモチベーションとしてオンラインを利用しており、オンラインで販売する事業者にとっては如何に魅力的なプロモーションを準備するかが重要になってきます。

ベトナムにおけるプラットフォーム人気

プラットフォーム別の人気を調べると、Shopeeが依然として圧倒的な人気を誇っており、64%の消費者が最も利用するプラットフォームとして回答しています。TikTokは2番目に人気のあるプラットフォームとして利用の高まりが顕著で、利用度の面ではLazadaやTikiなどの大手プラットフォームを上回る一方で、Facebookなどの他のソーシャルネットワークからもシェアを奪っているようにうかがえます。Shopeeは競争力のある価格、プロモーション、製品の多様性などの特長から支持を集めており、TikTokは、商品情報の充実やレビュー、楽しいショッピング体験などに秀でることから利用者を増やしています。

利用カテゴリーで見ると、ShopeeとLazadaはほとんどの製品カテゴリで広く利用されている一方、The Gioi Di DongやDien May Xanhのような専門ECショップがあるIT製品については専門ECの割合が高く、若者の購買が多い美容分野ではTikTokやFacebookのようなソーシャルコマースの人気が高まっています。

伸びるECと事業者の課題

オフラインの小売成長度よりも高い成長率で成長しているECによって今後もベトナム人のオンラインショッピング利用比率は高まっていくものと考えられます。これらの成長はキャッシュレス決済方法の進化や配送サービス等のオペレーションの一層の改善により、更に促進されると考えられます。一方で、競争が激化する中でECにて商品を販売する事業者にとっては引き続き魅力的な価格とプロモーションを実施していく必要があり、利益の確保という面での課題を抱えることになりそうです。

著者紹介
株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。
NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。
2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス
「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中


統計から見るベトナム
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
「国家観光年2025」、フエで開幕 2度目の開催 (17:01)

 北中部地方フエ市人民委員会は25日、フオン川沿いに設置した舞台で「国家観光年2025」の開幕式を開催した。  テーマは「フエ−古都、新たな機会」。式典にはマイ・バン・チン副首相やチャン・カム・トゥー政...

ミャンマーでM7.7の地震、ハノイとホーチミンでも揺れ (16:58)

 地球物理学研究所によると、ベトナム時間午後1時20分頃、ミャンマー付近を震源とするマグニチュード7.3の大きな地震が発生した。震源の深さは約10km。この地震により、ベトナムのハノイ市とホーチミン市でも揺...

映画プレミアイベントで出演者が救急車で登場、SNS炎上 制作謝罪 (16:55)

 ホーチミン市で26日夜に開かれたベトナム映画「Am Duong Lo(仮訳:陰陽路)」のプレミアイベントで、救急車が不適切に使用されたことが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で議論を呼んだ。  ...

チュオンサ諸島海戦で犠牲になった夫を37年間想い続ける妻 (23日)

 今から37年前の1988年3月14日、チュオンサ諸島(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸島)海戦でベトナムと中国の両海軍が衝突し、中国がベトナムからガックマー岩礁(英名:ジョンソン・サウス礁、中国名:赤...

1~3月期のベトナム人海外派遣労働者3.7万人、日本向けが1.9万人 (16:19)

 2025年1~3月期にベトナムから海外に派遣された労働者数は3万7027人で、前年同期から微増となった。年間計画の28.4%に達しており、同期に派遣された労働者のうち7061人が女性だった。  内務省傘下の海外労...

25年の世界で最も素晴らしい場所、メトロ1号線がランクイン (14:56)

 米国のニュース雑誌「タイム(TIME)」はこのほど、「2025年の世界で最も素晴らしい場所100選(World’s Greatest Places 2025)」のリストを発表した。ベトナムからは、ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイ...

ビングループ、ロンアン省で新都市区を着工 投資額1650億円 (14:31)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)は26日、南部メコンデルタ地方ロンアン省で新都市区「ビンホームズ・ハウギア(Vinhomes Hau Nghia)」案件の着工式を

ビンG会長所有のレンタカー会社、ダナンで営業開始 (13:23)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)製EVのレンタカーサービスと中古車販売を手がけるグリーン

ホーチミン~コンダオ島の既存高速船、約1年ぶり運航再開へ (13:15)

 ホーチミン市と東南部地方バリア・ブンタウ省コンダオ島を結ぶ高速船を運航するフーコック・エクスプレス社(Phu Quoc Express)は26日、4月中旬に同路線の運航を再開する見込みだと発表した。  同社は2024年...

米スペースXの衛星ネットサービス試験導入を許可、首相決定 (6:45)

 グエン・チー・ズン副首相はこのほど、米国の航空宇宙メーカーであるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX=SpaceX)の低軌道衛星通信インターネットアクセスサービス「スターリンク(Starl...

タイビン省:VSIPタイビン工業団地を着工、投資額290億円 (6:16)

 北部紅河デルタ地方タイビン省のタイビン経済区で26日、VSIPタイビン工業団地案件の着工式が開催された。政府本部の会場とオンラインでつないだ着工式には、ベトナムを公式訪問したシンガポールのローレンス・...

過去最大規模の麻薬密造工場を摘発、台湾人ら16人逮捕 (5:51)

 公安省傘下の麻薬犯罪捜査警察局(C04)は22日、南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市で、国内で過去最大規模となる麻薬密造ルートを摘発し、工場や複数の倉庫で計1.4tの高純度ケタミンと約80tの化学薬品を押...

モビフォン、5Gサービスを正式に提供開始 (5:00)

 携帯通信大手モビフォン(Mobifone)は26日、第5世代移動通信システム(5G)サービスの提供を正式に開始したことを発表した。  ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel Group)、ベトナム郵便通信グル...

ホーチミン:オフィス賃貸料、直近5年で最高 需要回復で (4:36)

 米総合不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(Jones Lang LaSalle=JLL)ベトナムが発表した2024年におけるホーチミン市の賃貸オフィス市場レポートによると、市内中心部にあるAクラスオフィスの1m2...

日本政府、ジェンダー視点の学びの環境改善事業に2.5億円供与 (4:00)

 日本政府は25日、令和6年度(2024年度)日本NGO連携無償資金協力「ハザン省およびライチャウ省の小中学校におけるジェンダー視点に立った学びの環境改善事業(第1年次)」の贈与契約署名式を開催した。  同事業...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved