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ベトナムの住所の見方(後編) ~ホーチミンの番地ルール~

2015/02/06 JST配信
目的地の住所をインターネットで調べて、その付近まで行くことができたものの、目当ての番地がなかなか見つからず、見当違いの方向を探していて時間を大幅にロスした、なんてことありませんか? 一方通行の通りにタクシーやバイクで行った場合、その通りに入った時点で目的地の番地を通り過ぎてしまっており、大回りして戻らなければならないなんてことも。そんな時、道のどっち方面が小さい番地なのか簡単にわかればいいのに、なんて思ったことありませんか? 実は、番地の並び順はきちんと規定されています。ここでは、ホーチミン市を例にご紹介したいと思います。

ベトナムの住所の見方(前編) ~住所にまつわる豆知識~



まずは基点を知る


ホーチミン市人民委員会の番地割当に関する規定には、以下のような2つの原則が定められています。

◇基点から放射状に伸びる道は、基準に近い方から番号を付ける
◇基点を環状に走る道路は、時計と反対周りに番号を付ける

つまり、この基点がどこかがわかれば、並び順がわかるというわけです。

鍵は「川」


規定によると、各区・郡の道の基点は、サイゴン川(Sông Sài Gòn、ソンサイゴン)と主要な運河になっています。その理由は、筆者の推測ですが、サイゴン(ホーチミン市)が昔からサイゴン川と運河を使った水上交通で発展したという歴史にあるように思います。川沿いから町が形成され、人や物は川から入ってくるので、川に近いほうから自然に番号がつけられたのではないでしょうか。現代に至り、その習慣が明確にルール化されたのだと思います。

基本的に、 東西に走る道の基点は「サイゴン川」、南北に走る道の基点は「ドイ運河・テー運河」 と覚えておけば、ほぼ間違いはありません。ドイ運河(Kênh Đôi、ケインドイ)とテー運河(Kênh Tẻ、ケインテー)は、4区と7区の境目となっている東西に伸びる1本につながった運河です。それでは、具体的に各区・郡ごとに見てみましょう。


区・郡の境目が知りたい時は、Googleマップ が便利です。例えば1区なら「Quan 1」のように区の名前を入力し、出てきた予測変換の中で該当するものをクリックすれば、地図上に赤い囲み線で表示されます。目当ての区がホーチミン市のどのあたりにあるかを知るには、ホーチミン市計画情報センターのウェブサイトの地図 がわかりやすいです。


中心部周辺は「南から」&「東から」


まず、ホーチミン市中心部の1区、3区、4区と、中心部から西側、北側にある5区、6区、10区、11区、12区、フーニュアン区、ビンタイン区、タンビン区、タンフー区、ゴーバップ区、ホックモン郡、ビンタン区、ビンチャイン郡の一部、クチ郡について説明しましょう。

これらの区・郡はサイゴン川(一部ドンナイ川)の西側に位置していますので、東西に走る道はすべて、サイゴン川を基点にして「東→西」の順に番号がふられています。また、ドイ運河・テー運河の北側に位置していますので、南北に走る道はすべて両運河を基点に「南→北」の順になっています。

サイゴン川の東側は「南から」&「西から」


サイゴン川(一部ドンナイ川)を挟んだ東側に位置している2区、9区、トゥドゥック区については、サイゴン川を基点として今度は反対に「西→東」に番号がふられています。南北に走る道については1区などと同様に「南→北」の順です。

7区から南は「北から」&「東から」


ドイ運河・テー運河の南側に位置する7区やニャーベー郡、カンゾー郡、ビンチャイン郡の一部については、東西の道はサイゴン川を基点に「西→東」、南北の道はドイ運河・テー運河を基点に「北→南」の順に並んでいます。

8区も東西の道はサイゴン川を基点に「西→東」に並んでいますが、ドイ運河・テー運河の両岸に跨って細長く伸びる地形であることからこの運河を基点にするのが難しいので、8区北側を流れるタウフー運河(Kênh Tàu Hủ)・ニャイ川(Rạch Nhảy)を基点として「北→南」の順に番地が並んでいます。

基点から見て左側が奇数、右側が偶数


番地は、通りが伸びている方向に向いて基点に立ったとき、左側に偶数、右側に奇数が並んでいます。但し、例えば1番地の敷地がものすごく大きいのに、その向かいは小さな敷地に分かれている場合は、1番地の前は2、4、6、8、10番地で、3番地の前が11番地、といった具合になるため、100番地を目指せば必ず向かいが111番地であるとは限りません。大きな数字の番地ほど向かいの番地とのずれが生じるので、注意が必要です。

また、路地(Hẻm、ヘム)の中については、名前のついた通りに近い方から順に、左側が奇数、右側が偶数になっています。複数の通りに抜けられる路地については、一番大きな通りのほうから順に番号を振り、住所にも大きな通りの名前を使用します。通り抜けられる複数の通りの大きさがすべて同じである場合は、基点に近い通りのほうから番号をふります。

必ずしもルール通りではない


この規定されたルールは、必ずしも全てに当てはまるわけではありません。例えば、3区とフーニュアン区・タンビン区を走る長いレバンシー(Lễ Văn Sỹ)通りの場合、起点の右側が1番地であるはずが、222番地から始まっており、500番を越えたら今度は20番台が出現するといった具合です。区・郡を跨いだ通りは管轄が異なるため、混乱が生じやすいのかもしれません。

また、区画整理に伴い新たな番号が割り振られたけれど、土地使用証明書を更新していない場合は古い番地をそのまま使い続けるため、番号がめちゃくちゃになっていることもあります。古い番地と新しい番地を併記している家もよく見かけます。

複数の通りに繋がっている路地の場合は、一番大きな通りから順に番号をふることになっており、住所も大きな通りの名前を使うのですが、担当者の解釈の違いなのか、道路拡張で一番大きな道が変わってしまったからなのか理由は定かではありませんが、一つの路地の中に別の通りの住所が書かれた家が並んでいる、なんてこともあります。

そして、網の目のようにあちこちに繋がっている路地については、ルールがあるとは思えない状況になっていることがしばしば・・・。こういうところは、地元に住んでいる人に聞いてもわからないので、うろうろして探すしかありません。

実は、ベトナム人もよく知らない


この番地のルール、ベトナム人の多くは知りません。ベトナム人も番地を探してうろうろしたり、番地の場所を人に聞かれてまったく反対方向を教えたりなんてことはしょっちゅうです。そんなとき、このルールを知っているとベトナム人に「すごい!」と感心されるかもしれませんよ。

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