ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第8回】日本と異なる賃貸不動産取引慣習

2015/10/19 09:25 JST配信

皆様、こんにちは!!

ホーチミン市の賃貸不動産、売買不動産を取り扱うエヌアセットベトナムの西村です。

前回まで3回にわたり地区別住宅事情を紹介しましたが、9~10月は期変わりの異動の時期にあたり、新規駐在員向けの物件紹介が多かったので、今回は番外編として、 日本と比べると「ちょっとここ違うよね、変わってるよね?」という取引慣習 について紹介したいと思います。

入居者がいる状態で内見

一部のサービスアパートメントやアパートメントでは、現在まだ住んでいる入居者が不在の場合に、事前に現入居者の承諾を取らずに内見(室内確認)を行うケースがあります。部屋探しをしていたとき、これを経験した人も多いのでは。

© N-Asset Vietnam 使用中の部屋の内見例

「あれ、部屋に色々置いてあるけど大丈夫なの? 雑誌やレトルト食品の山・・・生活臭が漂っている・・・・そもそも写真撮っていいの?」

初めての内見でこれを経験してしまうと、激しいカルチャーショックを受けるかもしれません。

特にサービスアパートでは、クリーニングスタッフが常時清掃のため室内に入ることもあり、日本のように「不在中の部屋に事前承諾なしに入ってはいけない」という感覚があまりないということにも起因していると思いますが、賃貸契約書に退去を申し出た後の新規検討客への内見を了承する旨の約束事項が記載されていることもあります。

大半の日本人は、留守中に無断で知らない人が入ってくることに抵抗がありますので、日本人利用率の高い物件では、入居中の内見を禁止していたり、必ず事前承諾を得てから内見するところもあります。

ちなみに、日本人が入居中の部屋を内見した場合に、賃貸契約まで漕ぎ着ける可能性は極めて低いです。入居者が部屋をかなり綺麗にしているのであればまだ成約の可能性がありますが、生活臭のある乱雑な部屋を内見しても、正直全く心に響いてきません。案内している私自身も微妙な気分です。結局「退去してからもう一度見たい」という話になるので、入居中の部屋を強引に内見するのも考えものです。

現在の入居者が確実に予定通り退去するか確認

日本では通常、建物賃貸借契約解除の際、解約申出書など書面により申し出ることが一般的で、記載された退去予定日を空き予定として新規募集を行います。貸主が現入居者に対して更新を行うか否かの事前確認を取らず、契約期間満了をもって空き予定としているケースはまずないでしょう。

一方、ベトナムでは、現入居者が契約を更新する可能性があるにもかかわらず、更新の意思を確認せずに、契約期間満了を空き予定として、次の入居希望者に内見させるケースが稀にあります。

そのため、入居中の部屋を内見する場合は、現入居者に退去の意思確認を行っているかどうか確認したほうが良いでしょう。また、空き予定日が後ろにずれるケースも多いので、空き予定物件への申し込みには注意が必要です。

付帯設備(家財)について

日本でも家財付きの賃貸物件はありますが、家具など何もない状態での引渡しが一般的です。一方、ホーチミンでは物件の種別によらず9割以上は家財付きで引渡されます。サービスアパートメント及びアパートメントの内装や家具には統一感がありますが、コンドミニアムタイプの場合は、貸主の趣味・嗜好で様々な内装や家具が取付けられていますので、同一コンドミニアムで全く同じ間取りの部屋であっても、雰囲気が全く違います。

© N-Asset Vietnam 同一コンドミニアムで同じ間取りでも雰囲気が全く違う

申し込みについて

以前は日本でも申し込み時に手付金を要求する業者が一部ありましたが、現在では書面での申し込みで1番早かった人が優先され、キャンセルしても特に費用が発生しないのが一般的です。

しかし、 ベトナムでは、手付金もしくは保証金を納付し、賃貸借契約を締結するまでは気が抜けません。 というのも、こちらが先に申し込んでも、貸主の知り合いから申し込みがあったりすると、そちらを優先させてしまうからです。

また、不動産仲介会社と貸主との繋がり(これまでの仲介実績の有無、懇意にしているか否かなど)によっても異なってきます。やはり、初めて取引をする貸主については、交渉が難しいところもあり、僅かな差で他の検討客に手付金をうたれてしまい、部屋を押さえることができないことがあります。

特に日系企業は、社内稟議に時間を要するケースが多いため、現地法人の代表者に決済権限を持たせるなどの柔軟な対応が必要になってきます。日本本社契約の場合は送金にも時間を要することから、不動産仲介会社で手付金の立替を行うケースもありますが、スムーズに送金を行えるよう事前に社内で調整しておくことも重要です。

著者紹介
N-Asset Vietnam 杉本 朗
1990年生まれ。静岡県出身。青山学院大学卒業。

株式会社エヌアセットで不動産の仲介・管理業務を経験し、現在エヌアセットベトナムで不動産賃貸部門を担当しています。

日本で培った貸主様・借主様双方をフォローするノウハウをベトナムで活かします。

お部屋探しから、入居後のサポートまで、一貫してサービスを提供して参ります。
ベトナムの住まい事情
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
国会、改正法人税法を可決 10月1日施行 (14:17)

 国会は14日、改正法人税法を賛成多数で可決した。同法は2025年10月1日に施行される。  今回の改正では、企業が複数の異なる優遇措置の対象となる場合、「最も有利な優遇措置」を適用することを原則とする規...

ECショッピー、7月から全国で商品送料無料プログラムを開始 (13:48)

 シンガポール系電子商取引(eコマース=EC)プラットフォーム「ショッピー・ベトナム(Shopee Vietnam)」は、7月1日から全国で商品送料無料プログラムを開始する。  対象は15kg未満の商品で、都市部・地方を問...

韓国IT素材メーカー、ハイフォンに負極材向け材料工場を設立 (13:20)

 韓国のIT素材メーカーであるイノックス(INNOX)の子会社で、車載用二次電池関連製品を製造するイノックスエコエム(INNOX Ecom)は、北部紅河デルタ地方ハイフォン市で負極材用一酸化ケイ素(SiO)工場を竣工した。 ...

世界のベトナム人街を訪ねて【プラハ編・後編】 (15日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は

ベトナム、BRICSのパートナー国に正式承認 10か国目 (6:19)

 ベトナム外務省は14日、ベトナムが新興経済国グループ「BRICS」のパートナー国に正式承認されたことを明らかにした。発展途上国の声や役割を高め、国際協力と包摂的な多国間主義を推進することを目的としている...

ベトナムとスウェーデン、科学技術などで戦略的パートナーシップ (6:03)

 スウェーデンを公式訪問したファム・ミン・チン首相は現地時間13日、同国のウルフ・クリステション首相と会談し、両国関係を科学技術・イノベーション分野における戦略的パートナーシップへと格上げすることで...

第8回ベトナム語検定、過去最多の917人が受験 1級も初実施 (5:50)

 特定非営利活動法人日本東南アジア言語普及交流協会(J-TAG)は15日、日本外国語専門学校で第8回「実用ベトナム語技能検定試験(ViLT)」を実施した。今回の受験者数は917人で、過去最多を更新した。  同試験は...

ベトナム航空、ロンタイン空港で航空サービス関連施設2案件を着工 (5:28)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は15日、傘下の2社とともに、東南部地方ドンナイ省で建設中のロンタイン国際空港の航空サービス関連インフラ案件2件の着工式を開催した。投資

ベトナムの「低炭素米」、日本に次いでオーストラリアにも輸出へ (4:13)

 南部メコンデルタ地方カントー市のチュンアンハイテク農業[TAR](Trung An Hi-Tech Farming)は、5月に日本市場に「低炭素米(low carbon rice)」500tを輸出した。これに続いて10月ま

東ソー、ベトナム子会社を設立 27年春に稼働予定 (3:51)

 総合化学メーカーの東ソー株式会社(東京都中央区)は13日、同社100%出資のベトナム子会社「トーソー・ベトナム・ポリウレタン」を2024年4月4日付けで東南部地方バリア・ブンタウ省第3フーミー特別工業団地に設...

第4回日越海洋協議を開催、海洋秩序の維持で緊密に連携へ (2:49)

 13日、第4回日越海洋協議が東京で開催された。今回から局長級に格上げされ、日本側から柏原裕外務省南部アジア部参事官、ベトナム側からチャン・バン・トゥイ外務省国家国境委員会副委員長などの関係者が出席し...

デジタル技術産業法を可決、デジタル資産とAIの法的根拠を制度化 (16日)

 国会は14日、デジタル技術産業法を賛成多数で可決した。同法は2026年1月1日に施行される。これにより、デジタル資産と人工知能(AI)に関する法的根拠が初めて制度化された。  同法の対象となるデジタル資産...

国会、改正特別消費税法を可決 加糖飲料も対象に (16日)

 国会は、改正特別消費税法を賛成多数で可決した。同法は2026年1月1日に施行される。  同法によると、加糖飲料については、ベトナム国家基準における清涼飲料水の定義に該当し、糖分が100mLあたり5gを超える...

国会、憲法改正の決議採択 7月1日から地方自治体を2層構造に移行 (16日)

 国会は16日、憲法の一部条項を改正・補足する決議を採択した。同決議は即日施行された。  決議によると、地方自治体は6月30日をもって郡レベルの行政区(省・中央直轄市傘下の市、区=quan、郡=huyen、町=...

ホーチミン、米AMDとAI・ハイテク協力促進で覚書 (16日)

 ホーチミン市人民委員会は12日、半導体設計大手の米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices=AMD)との間で、技術協力に関する覚書を締結した。式典にはチャン・ホン・ハー副首相も出席した...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved