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【番外編】いまさらながら、「テト」ってなに?

2016/02/19 09:35 JST配信

こんにちは! ベトナム中部の都市ダナンでデブを取りまとめるべく奮闘中 の佐井です。

テト前に「一旦完結」とお伝えしながらも、1年近く毎週書いたので、書かないでいると手がむずむず・・・。

で、おもむろに筆を執った次第です(なのでタイトル画像ないです)。

今回は唐突ですが、『豚が如く~ホーチミン編~』の【番外編】としてお届けします。

石原軍師撮影のベトナムらしいじわじわくるテトの飾りつけ

さて、皆さん、テト休暇はいかがお過ごしでしたでしょうか。

ベトナムに住んでいると、避けて通れない話題はやっぱり「テト」でしょう。

なんせ、社会人になると夏休みがなくなってしまい、唯一の大型連休となるのがこの「テト」。

ベトナム人にとっては、大人になっても「もういくつ寝るとテトなのよ~」というぐらい心待ちにしている年間最大のイベントです。

ところで、 「テトって何さ?」 という方のために、テトが終わった今更ながら、「テト」についてまとめてみました。

今回は番外編ということで、 「How toベトナム」 風にマジメに進めてみようと思います。

テトってどういう意味?

テトは、ベトナム語で書くと「T?t(テット)」で、漢字の「節」が元になっています。

お正月だけでなく「T?t Trung thu(中秋節)」など1年の節目節目に「テト」がつく日がいくつも存在しますが、単に「テト」とだけ言う場合は、 ベトナム太陰暦の正月 のことを指します。お正月のテトの正式名称は「T?t Nguy??n ????n(元旦節)」です。

太陰暦って?

太陰暦とは、月の満ち欠けを元に作成されるカレンダー で、日本では「旧暦」と呼ばれているものです。

ベトナム語では ??m l?ch(アムリック=陰暦) と言います。

月の満ち欠けに基づいたカレンダーは世界各地で発明され、利用されてきました。

月の満ち欠けは満潮・干潮とリンクしているため、、太陰暦は漁業において有用なのですが、1年の間に微妙な誤差が生じるため、閏年・閏月を加えて調整する必要があります。

これを補完するために、各国でアレンジされた太陰暦が使用されてきました。

太陰暦に対して、古代エジプトでは農業の発展に伴い、毎年同じ時期に発生するナイル川の氾濫を予測するため、恒星シリウスの運行を記録することによって太陽暦を発明し、利用していました。

太陽暦は太陰暦よりも正確に季節をあらわすことができるため、古代ローマ帝国で採用されたのを皮切りに、それまで太陰暦を使用してきたヨーロッパ諸国でも古い段階から採用されるようになりました。

そして現在、世界的に見てみると、殆どの国が太陽暦を採用しており、世界標準のカレンダーとなっています。

しかし、 文化的な面では、中国を中心とした東アジア・東南アジア、そしてイスラム諸国で、いまでも太陰暦を用いています。

イスラム教における断食月(ラマダン)も、太陰暦に基づいて決まっています。

日本でも江戸時代までは太陰暦を利用していましたが、明治6年より西洋化の流れで、太陽暦に切り換えています。

Wikipedia によると、当時の日本政府は財政が逼迫しており、明治6年は太陰暦だと閏月がある関係で13か月だけれど、太陽暦であれば12か月となり、月給制にしたばかりの官吏への報酬を1か月分減らせる、といった事情があったんだとか。

これに伴い、日本では「正月」を祝う習慣が、旧暦の正月から新暦の正月に移行していきました。

余談ですが、明治6年からの太陰暦から太陽暦への変更は、明治5年11月に急に発表になったそうで、日本国中がかなりの大混乱だったようです。

当時の明治政府のドラスティックな変革ぶりが伺えます。

現在、中国をはじめとする東アジア・東南アジア諸国でも、20世紀には太陽暦を正規のカレンダーにするようになってきましたが、誕生日や一部の祝日でいまだに太陰暦を用いたカレンダーを使っている場合があります。

ベトナムでも、太陽暦と太陰暦、どちらのカレンダーで誕生日を祝うかが人によって違っていたりします。

出生届を太陰暦で届け出ている場合も結構あり、会社でIDカードの記載に基づいてその社員の誕生日会をやったのに、1か月後にまた正式なお誕生日会をやっていたりするケースもままあります。

また、ベトナムでは年齢の数え方も、日本が昔そうだったように 「数え年」でいうのが今でも一般的 です。

生まれたときにすでに「1歳」と数え、テトが来るとみんな一斉に1歳年をとります。

テトに年をとるのなら、誕生日の意味は何なのだろう?と疑問に感じてしまいますが、ベトナムでは元々、満1歳のときに盛大にお祝いする以外は、誕生日を祝う習慣はありませんでした。

生まれた日を祝うようになったのはごく最近のことです。

ベトナムの祝日には、太陰暦に基づくものもある

ベトナムでは日数が少なく、人々がいつも心待ちにしている祝日の話。

ベトナムの祝日には太陽暦で決まるものと、太陰暦(旧暦)で決まるものの両方があります。

太陽暦で決まる祝日 太陰暦(旧暦)できまる祝日
正月(1月1日) 南部解放記念日(4月30日) メーデー(5月1日) 建国記念日(9月2日) テト(旧暦1月1日) フン王の命日(旧暦3月10日)

ちなみに、ベトナムの太陰暦は基本的には中国のものと同じですが、月の初めを決める月の動きを観測した時点で時差があることから、中国とベトナムの太陰暦には若干ずれが生じます。

例えば、2007年の旧暦正月は中国では2月18日でしたが、ベトナムでは2月17日でした。

アジアで太陽暦正月を祝うのは少数派!?

東アジア・東南アジアを広く見た場合、どのカレンダーに基づいて正月を祝うかで3つのグループに分けることができます。

中国式

(1~2月の太陰暦正月を祝う)

タイ式

(4月頃の太陰暦正月を祝う)

日本式

(太陽暦)

・中国

・台湾

・香港

・マカオ

・韓国

・モンゴル

・ベトナム

・シンガポール

・マレーシア(さほど盛大ではない)

・インドネシア(さほど盛大ではない)

・タイ

・ミャンマー

・カンボジア

・ラオス

・日本

・フィリピン(旧暦正月も祝日)

こうやって見ると、 東アジア・東南アジアの中では、日本式がマイノリティー でした。

私もベトナムに来るまで気がついてなかったです。知らないって怖いですね。

余談ですが、テト正月はベトナム太陰暦1月1日で、必ず新月になります。

月が完全に見えないので、夜空の星がとても綺麗に見える日でもあります。

そういえば、お月見で有名な十五夜も太陰暦に基づいていますよね。

日本人的にはお月見をする月は「9月」であると考えますが、太陰暦の8月15日の満月の夜なので「十五夜」と呼ぶわけです。

テトは普段と違うことが色々発生する

テトが何か説明しましたが、ついでにベトナムのテトに発生する普段と違う事柄についてもお伝えしておきます。

まずやってくるのが テトインフレ。

近年は急激なインフレはあまり発生しなくなりましたが、テトが近付くにつれ、食堂の値段から、スーパーの食品価格まで、色んな物が値上がります。

値段が高いにもかかわらず、テトに向けて備蓄をしたい消費者と、テトに向けて在庫を減らしたい店舗の思惑が一致するのか、スーパーなどでは商品がかなり品薄になることもあります。

次に 結婚式が増えます。

テト明けの時期に結婚するのはあまり縁起がよくないこと、テト前は気温が下がって過ごしやすくなることから、テト前に挙式するカップルが多くなります。

結婚適齢期の人だと毎週のように友人の結婚披露宴に参加しなければならなくなり、若くて収入も少ないため、「ご祝儀で給料を使い果たした」なんて話もよく聞きます。

さらに、 治安が悪化します。

凶悪犯罪は少ないベトナムですが、テト前に借金の返済を迫られたり、テトの準備のためにお金が何かと入用なため、スリやひったくりが急増します。

そして、 忘年会の増加。

とにかくたくさんの忘年会があります。

土日であれば朝6時から始める忘年会まであったりして、街中のあちこちで早朝からカラオケ大会が繰り広げられます。

すると、ベトナム人社員のモチベーションが下がります。

テトが近づくウキウキ感に加え、忘年会の飲み疲れで、勤労意欲が極端に下がることが多いです。

テト直前になると、いわゆる 帰省ラッシュ が始まり、バス・汽車・飛行機などあらゆる交通手段が満杯になるだけでなく、料金がうなぎ上りに上昇します。

空港も特に国内線は大混雑です。

最後に、 街中から人がいなくなります。

都市部で働く地方出身者の殆どが、故郷に帰るため、ホーチミンやハノイでは極端に人が少なくなります。

(田舎に行くと逆に人口が増えて、賑やかになります)

テト期間中は、 あらゆるお店が閉まります。

これは、在住外国人にとって死活問題です。

市場やスーパーマーケット、食堂、屋台、軒並み休業です。

開いているのは、コンビニと一部の観光客向けのレストランのみ。

最近は商売っ気のある人がテト1月2日から屋台を出したりしていますが、料金が普段の2~3倍になっていたりします。

だいたい、大晦日からテト3が日はお店が閉まっていて、タクシーも道から姿を消してしまいますので、テトをベトナムで過ごす人は要注意です。

在住日本人のテトの過ごし方

では、ホーチミン在住日本人たちはテトをどのように過ごしているのか、私の身の回りの日本人という偏ったサンプルながら、調査してみました。

1位:日本に帰国 55%

飛行機のチケットは結構値上がりし、直前になると満杯になったりします。

帰国するなら、早めの予約をおすすめしますが、ベトナム人団体旅行向けのチケットでキャンセルが出るせいか、直前になると買えることも結構あります。

2位: ホーチミン残留 20%

お店が軒並み閉まるので、事前の食料買出しや、ガソリン給油が重要です。

3位: 海外旅行 18%

まとまった休みなので、海外旅行に最適ですが、行った先で大量の中国人観光客と遭遇する可能性大です。

また、ベトナムと同じく旧暦正月を祝う国に行くとお店が閉まっていたりしますので、旧暦正月を祝わない国に行きましょう。

最近はベトナム人の海外旅行が増えてきてチケットがとりにくくなってきていますので、早めに計画を。

4位: パートナーの実家へ 5%

ベトナム人の配偶者や恋人がいる人は、お相手の実家に行くという場合も多いようです。

男性の場合、実家でひたすらお酒を飲まされるらしいです・・・。

5位: ベトナム国内旅行 2%

ベトナム国内は民族大移動で交通機関が満杯な上、お店が閉まっていたり、料金が高かったり、従業員がやる気ゼロだったりと、国内旅行にはあまり適さない時期ではあります。

但し、田舎の場合は、どこかに行くお金はないし、家にいても何もやることがないし、どうせなら帰省客相手に稼ごうと、休みを早めに切り上げることも多いようです。

日本に比べて祝日の数がかなり少ないベトナムでは、テトは貴重な大型連休。

ベトナム滞在歴が長くなると、半年以上前から計画して、テト休暇を楽しむ人が多いようです。

そんなわけで、次のテトをどう過ごすか思いをはせてみてください。

10年後のテト休みを妄想~25年までのテトカレンダー~

以上、【番外編】でした!

著者紹介
佐井高志
ベトナム在住暦3年になる佐井家の旦那。通称「親方」
日本にいた頃にパワーリフティング、アメリカンフットボールをやっていたこともあり、とにかく体がでかい。ベトナムにいるデブを取りまとめる使命を自らに課している。
このコラムでは、デブだからこそのチャレンジをはじめ、ベトナムがデブにとって住みやすい国なのかどうかを身をもって徹底検証。2013年よりホーチミン市に在住し、2016年よりダナンへ転勤したのをきっかけに、コラムタイトルを『豚が如く~ホーチミン編~』から『豚が如く』に改題。目下、ダナンでデブを開拓中。
2016年11月日本へ帰国。
2018年9月再度ダナンに駐在。
豚が如く
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