ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第3回】ベトナムで空手の認知度は100%?

2020/10/01 10:00 JST配信

お久しぶりです。ホーチミンで空手家をしている小野寺天汰です。前回のコラム記事 「空手世界チャンピオン、ベトナム代表デビュー戦」 から約1年が経ってしまいました。

昨年9月に出場権を獲得した、2020年5月日本開催の「第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会」での優勝を目指して稽古に励んでいましたが、コロナウイルスの影響で開催延期となりました。一応、2021年5月開催ということですが、どうなるのでしょうという心境です。

ということで、なかなか目標設定が難しい状況ではありますが、ベトナムで稽古は続けています。前回のコラムで記述した通り、1人で練習し、1人で大会に参加し、結果を残せたことはある種の達成感があったのですが、仲間が欲しいという思いが強くなったことから昨年11月に1区で 空手道場 をオープンさせていただきました。

人が集まるかどうか多少の不安はありましたが、たくさんの仲間ができました。現在、 日本人4割、ベトナム人6割といった会員比率で、9割以上が大人の方 です。

指導の際の言語については、私もどうするか悩んだのですが、日本語で行っています。日本語ベースで全体の指導を進め、分からなさそうな顔をしてたり間違ってたりしたら、近くに行ってジェスチャーと英語と片言のベトナム語を交えて指導をするという感じです。というのも、空手は日本の武道であり、大会では柔道などと同様に「注意」「技あり」「一本」といった言葉がそのまま日本語で統一されています。(テコンドーでは韓国語、ブラジリアン柔術ではポルトガル語で同様に表現されています)日本語や日本の文化に興味がある人も一定数いるので、今後もこの形で進めたいと思っています。

普段ベトナムの人と話してる時に「空手やってます」と言って、「空手?何ですかそれ?」と聞かれたことは一度もありません。細かい内容は抜きにして、 ベトナム人に「空手」という単語は100%通じます 。実はこれは今まで訪れたどの国でもそうでした。アフリカ諸国やベトナム内でもかなり田舎の方に行けば、通じない場合も恐らくあると思いますが、私の経験上は今のところ100%の認知度です。

そんなベトナムの方が空手に対して抱くイメージは「野外で、大人数で、子供が行う」というものであり、また怒鳴ったり手をあげたりする指導者も少なくないようで、少し親しみにくい部分もあるようです。そのため、大人の習い事としては、同じ格闘技系でいうと、室内で行うムエタイやキックボクシングの方がよりカジュアルで敷居が低く、人気があります。

現在、道場の会員の中にはテコンドーなどの格闘技経験者も一部いますが、ほとんどが未経験者で若い女性もけっこう多いです。 ベトナムの女性はよく働くと言われることからか、日本に比べると運動へも積極的に取り組んでいる印象 があります。「健康維持のため」「護身のため」といった理由で入会された方が多いです。しかし、慣れてきて組手に参加するようになると、見てるこちらが心配になるぐらい、激しく技を出し合ってることがあり、ベトナムの女性は気持ちが強いなと改めて感じました。考え方や環境的にアスリートを目指す女性はかなり少ないですが、 空手に限らず他の格闘技やスポーツでもベトナム人女性が国際的に活躍できるポテンシャルはある と思われます。

逆に男性に関しては、身体的にはぜんぜん悪くないのですが、「負けん気」が女性に比べると少し物足りないかなと感じます。真面目に意欲的に強くなりたいという態度は見えますが、疲れた時や少し痛いと感じたときに、あともう一歩踏み出す勇気や諦めない気持ちがあればな、と見ていて感じます。(優しくて温かみがあり素敵だと思いますが)

大会で勝つ喜びや負ける悔しさを感じるうちに自然と目標設定も出来ますし、技術的にも精神的にも成長するきっかけを見つけやすいです。本気で勝負をする面白さを感じてもらえるように 小さな規模から大会を開催しよう と考えております。

やはり、ベトナムにはたくさんの可能性があります。空手でベトナムに「熱」をどのように生み出すか、そこを今後も意識的に探っていきたいと思います。

著者紹介
小野寺 天汰(おのでら てんた)
1996年4月6日生。兵庫県伊丹市出身。関西学院大学商学部卒業。4歳より空手を始め、19歳の時に世界大会で初優勝。21歳でテコンドーのインカレで優勝。22歳でインド・スリランカで単身・空手セミナーを成功。アジアの活気とポテンシャルに魅力を感じ、2019年4月、新卒1年目でホーチミンで家具メーカーの会社員に。ベトナムを空手における「アジアの中心地」へと変えるのが目標です。「打倒ニッポンの空手」でベトナム人とともに最強を目指します。趣味は語学学習とTシャツデザイン。好きな食べ物はステーキとインドカレー。

◆各SNSからなんでもお気軽にご連絡ください

Twitter(https://twitter.com/dera10ta

Facebook(https://www.facebook.com/tenta.onodera

Instagram(https://www.instagram.com/tenstaderam46/
打倒ニッポンの空手~ベトナムは最強を目指す~
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
横浜市立大学、ハノイ医科大学と覚書締結 人材・研究交流推進 (2:02)

 横浜市立大学(神奈川県横浜市)は4日、ハノイ市のハノイ医科大学(HMU)との間で、遠隔医療・救急医療・脳外科領域を中心に人材・研究交流などを推進することを目的とした覚書(MOU)を締結した。これにより、医療分...

ホーチミン:35年までに投資優先のメトロ9路線を公表 (5日)

 ホーチミン市当局は2035年までに、9路線の都市鉄道(メトロ)を優先的に建設する計画を明らかにした。◇旧ホーチミン市、◇旧ビンズオン省、◇旧バリア・ブンタウ省、◇東南部地方ドンナイ省ロンタイン国際空港を結ぶ...

デジタル銀行「ケイク」、未成年顧客向けオンライン口座開設を開始 (5日)

 民間銀行大手で消費者金融に強みを持つVPバンク[VPB](VPBank)傘下のデジタル銀行「ケイク・バイ・VPバンク(Cake by VPBank)」はこのほど、15~18歳未満の顧客が、オンライン本人確

IT学ぶ身長110cmの「小さな孤児」、大学卒業までの道のり (2日)

 混み合う大学の中庭で、身長110cmのグエン・ティ・フオンさん(女性・23歳)は、まるで小学生が足早に歩く大学生たちの中に迷い込んだかのように見える。  フオンさんは北部紅河デルタ地方ニンビン省旧キムソ...

メンズアパレル通販「クールメイト」、シリーズC資金調達完了 (5日)

 男性用衣料に特化した電子商取引(eコマース=EC)を展開し、生産から販売まで自社で手掛けるクールメイト(Coolmate)は、シリーズCラウンドの資金調達を完了した。調達額は明らかにされていない。  今回の資...

イオンモール・フエ、洪水被害免れる 被災者に避難所や食事を提供 (5日)

 北中部地方フエ市は、10月末に豪雨と洪水の被害に見舞われた。同市アンドン街区にある「イオンモール・フエ」は、洪水から避難する住民のために、駐車場を無料で開放しているほか、モール内に安全な避難場所を...

伊マセラティ、ベトナムで高級電気自動車2車種を発表 (5日)

 イタリアの高級車メーカーであるマセラティ(Maserati)は、電気自動車(EV)モデル「グレカーレ・フォルゴレ(Grecale Folgore)」と「グランカブリオ・フォルゴレ(GranCabrio Folgore)」をベトナム市場で初めて発表...

薬局チェーン「ロンチャウ」、米アボットと包括的戦略的事業提携 (5日)

 情報技術(IT)最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)傘下で、国内最大規模の薬局チェーン「ロンチャウ(Long Chau)」を運営する

ゴック中央監査委員長、ハノイ市党委書記に転任 (5日)

 グエン・ズイ・ゴック中央監査委員長が、政治局の決定により、ハノイ市共産党委員会書記(2025~2030年任期)に就任した。同決定は4日に発表された。  ゴック氏は1964年生まれの61歳。北部紅河デルタ地方フン...

ホーチミン市、「ユネスコ創造都市ネットワーク」に認定 (5日)

 ホーチミン市がこのほど、映画部門の「国連教育科学文化機関(ユネスコ)創造都市ネットワーク(UNESCO Creative Cities Network=UCCN)」に認定された。ベトナムでUCCNに認定された都市としては4都市目となる。映...

日本政府、日越友好親善への寄与でマイン元書記長ら3人に叙勲 (5日)

 日本政府は3日、令和7年(2025年)秋の外国人叙勲受章者を発表した。この中で、ベトナム人3人が叙勲を受けた。  ノン・ドゥック・マイン元書記長(85歳)とグエン・タン・ズン元首相(75歳)は、日本・ベトナム間...

アジア太平洋U35若手リーダー、歌手チー・プーが選出 大谷翔平も (5日)

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の枠組みで、アジア太平洋若手起業家リーダーフォーラム(APEA)2025が開催され、同地域における35歳以下の優秀な若手リーダー141人のリストが発表された。ベトナムからは...

大正製薬子会社のハウザン製薬、ベトナムで薬用育毛剤発売 (5日)

 大正製薬株式会社(東京都豊島区)子会社で地場製薬最大手ハウザン製薬[DHG](Hau Giang Pharmaceutical)は、新ヘアケアブランド「RiHair(リヘア)」を正式に立ち上げ、第1弾製品として

東京ガス、ビンロン省のニアショア陸上風力発電プロジェクトに参画 (5日)

 東京ガス株式会社(東京都港区)は、風力発電の開発・建設・運転などを手掛ける地場チュオンタイン・ズエンハイ・ウインドパワー(Truong Thanh Duyen Hai Wind Power=TTDH)への出資について、チュオンタイン・ベ...

日本女子大学、ホーチミン市建築大学と学術交流の大学間協定締結 (5日)

 日本女子大学(東京都文京区)は9月30日、ホーチミン市建築大学(UAH)との間で、学術交流に関する大学間協定を締結した。  日本女子大学にとって、ホーチミン市建築大学は37校目の協定大学となる。また、ベト...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved