ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第52回】Shopeeが一人勝ち?~アクセス数から見るベトナムECの現状

2021/04/28 09:35 JST配信

ベトナムのEC市場は前年比25%程度の成長 を遂げています。ベトナムの消費者小売市場の伸びがコロナ前までは大体10~12%程度でしたので、倍のペースで伸びています。小売市場全体でのオンライン比率は現在5%程度と考えられます。日本のEC比率が7%弱と言われていますので市場規模は異なるもののオンライン利用の機会としては非常に近しいものとなっています。

そんなEC市場ですが、ここ1~2年の間に主要プレイヤーの人気に変化が見られます。今回は サイトアクセス数の遷移からECサービスのトレンド を見ていきたいと思います。

ECサイトのアクセス数の推移

第一に、EC市場では Shopee が一人勝ちの様相を見せていることが挙げられます。 LazadaTikiSendo などのECプラットフォーム事業者のアクセス数が落ち込み傾向にあるのに対して、 Shopeeはこの18ヶ月の間でアクセス数を50%以上増やしています 。Shopeeは元々女性や若年層に人気があり、地方でのシェアが高いという特長がありましたが、大規模なプロモーションや広告施策によって、これらの層がよりオンラインで購入をするようになった点が人気向上に寄与していると考えられます。一方で、LazadaはAlibabaに買収されて以来ここ数年少し元気がなく、また女性層の取り込みという点でShopeeと差がついているように感じます。またTikiやSendoも、配送サービスなどの品質差異や価格施策などで差別化を図ろうとするものの息切れ気味の印象があります。

IT/家電分野でのオンライン化

もう一つの特長がIT/家電分野でのECの広まりです。 The gioi di dongDien may XANH といった携帯電話・家電店舗を運営するモバイルワールドグループのECサイトはベトナム有数のオンライン売上を誇っており、 売上に占めるオンライン比率は既に10%を超えています 。また、アクセス数Top20に入るEC事業者のうち、13社はIT/家電分野となっており、このカテゴリーはいち早くオンライン化が進んでいると言えます。ファッション・美容などの分野ではShopeeなどのECプラットフォーム事業者がユーザを現状囲い込んでいますが、ITの分野は小売店舗のECサイトが健闘しています。

これらのECサイトに加えて、 FacebookZalo のような ソーシャルネットワークでの販売比率が高いのがベトナムの特長 と言えます。実際これらのソーシャルネットワークでの販売規模はLazadaやTikiなどの有力ECサイトと同等程度と考えられます。特に個人や中小企業者が食品や美容・ファッション製品などを販売するのに好まれており、 チャットしながら購入するプロセスが楽しくて安心 という理由からスマホネイティブの若年層に好まれています。

今後は、資金力に勝るECプラットフォーム事業者が多くのマーケティング投資を行い、顧客獲得を引き続き狙う一方で、ベトナム消費者のニーズ細分化に合わせて、例えば美容・ファッション・食品などの分野での専門ECが増えてくるのではないかと考えられます。また GrabMart などの買い物お届けサービスなども登場し、ベトナム消費者の購入行動はオンラインを中心に大きく変わってくるのではないでしょうか。

著者紹介
株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。
NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。
2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス
「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中


統計から見るベトナム
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
日本の外国人労災件数、24年は6244人 国籍別でベトナムが最多 (6:59)

 厚生労働省の出先機関である労働基準監督署が発表した2024年度における労働者死傷病報告によると、同年の外国人労働者の労災による死傷者数は6244人となった。  在留資格別では、◇身分に基づく在留資格(日...

12月施行の新規定、子どもへの過度な学習強要に罰金など (6:29)

 12月に施行される新規定3本をまとめて紹介する。 1. 子どもへの過度な学習強要・ドローンの無許可操縦に罰金  家庭内暴力の防止や社会秩序の維持に関する行政罰を定めた政令第282号/2025/ND-CP(12月15日...

受託手荷物なしの乗客、VNeIDかキオスクでの手続き義務化 (5:08)

 国内すべての空港で2025年12月1日から、搭乗手続き方法が変更された。これは政府の指示第24号/CT-TTgに基づくもので、受託手荷物のない乗客は、電子身分証明「VNeID」または空港設置のセルフキオスクでチェック...

貧しい人々の「最期の眠り」を見届けて20年、無償で葬儀を行う男性 (11/30)

 ホーチミン市ニャーベー村には、貧しい人々や身寄りのない人々の最期を見送ることに人生のすべてを捧げてきた男性がいる。  地元の人々は、ニャーベー村74集落の長であるレ・バン・サンさんを、親しみを込...

ベトナム航空、Pizza 4P’sのピザ2種類の機内提供を開始 (5:07)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は12月1日から、一部路線でのピザフォーピース(Pizza 4P’s)の冷凍ピザの機内提供を開始した。同サービスを利用するには、搭乗24時間前までに

ロイヤルHD、「いねや」新業態3店舗をホーチミンに出店 (4:56)

 ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や天丼・天ぷら専門店「天丼てんや」などを展開するロイヤルホールディングス株式会社(福岡県福岡市)と双日株式会社(東京都千代田区)が共同出資するベトナム現地法人で...

群馬で活躍するバレー越女子代表、SVリーグオールスター出場へ (4:08)

 SVリーグ(SV.LEAGUE)の群馬グリーンウイングスはこのほど、同クラブ所属のバレーボール女子ベトナム代表チャン・ティ・タイン・トゥイ選手(28歳、通称ティティ、4T)が2026年のSVリーグオールスターゲームにリー...

那智勝浦観光機構、ハロン大学と観光人材育成で連携 (3:05)

 一般社団法人の那智勝浦観光機構(和歌山県)は、東北部地方クアンニン省ハロン街区にあるハロン大学との間で、観光・人材育成分野における連携強化を目的とした覚書を締結した。  調印は、11月下旬にクアン...

25年11月の製造業景況感PMI、拡大基調を維持 (2:06)

 米国のS&Pグローバル(S&P Global)が発表した2025年11月のベトナム・PMI(製造業購買担当者指数)は53.8だった。  10月の54.5からわずかに低下したものの、50を上回っており、景気拡大基調が続いていることを...

「ザ・グランド・ホーチャム」、ベトナム人のカジノ入場が可能に (1日)

 政府はこのほど、一定の条件を満たしたベトナム人に対し、国内の一部のカジノへの入場を認める決議第8号/2025/NQ-CPを公布した。同決議は即日施行された。  政府は、以下の3か所のカジノでベトナム人の入場...

朝日生命、地場生命保険会社を買収へ 初の海外保険会社のM&A (1日)

 朝日生命保険相互会社(東京都新宿区)は、地場生命保険会社であるMVI生命(MVI Life、ハノイ市)を買収する手続きを開始することについて、MVI生命の親会社であるザ・マニュファクチャラーズ・ライフ・インシュア...

地場グレムシー、ホーチミンでUAVカメラ工場を着工 (1日)

 無人航空機(UAV)向け撮影機器を製造する地場グレムシー(Gremsy)はこのほど、ホーチミン市のサイゴンハイテクパーク(SHTP)でUAV向けカメラモジュール生産工場を着工した。  工場は面積2万5721m2の敷地に建設...

ベトナム企業の9割が国際貿易の拡大に自信、HSBC調査 (1日)

 香港上海銀行(HSBC)が先般発表した国際貿易調査「グローバル・トレード・パルス2.0」によると、ベトナム企業の9割が今後2年間で国際貿易を拡大できると考えており、世界平均の87%をわずかに上回った。  同...

 ホーチミン:市内初の共同利用型AI研究拠点が運用開始 (1日)

 地場総合インターネットメディア運営大手VNGコーポレーション[VNZ](VNG Corporation)とベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)は、市内にある本社ビル「VN

30年までのダナン市文化産業発展計画、芸術文化の中心地に (1日)

 南中部地方ダナン市文化スポーツ観光局はこのほど、2030年までの同市の文化産業発展計画に対する専門家らの意見を聴取するワークショップを開催した。ミーケービーチの1kmの海岸を広大なキャンバスに見立てて、...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved