ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第56回】ベトナムの2022年の小売市場トレンドについて

2022/04/29 16:00 JST配信

ベトナムの小売市場ですが、ベトナム統計局の発表によると2021年の小売市場の売上は前年比8%マイナスとコロナの影響を大きく受ける形となりました。そんな中ベトナムのチェーン店(モダントレード)の景況は大きく変化しています。今回は、ベトナムのモダントレードのこの1年の変化について見ていきたいと思います。

引き続き増えるBac Hoa XanhとWinmart+

ミニスーパーのBac Hoa XanhとWinmart+は1年前と比較して引き続き増加傾向にあります。Bac Hoa Xanhは南部・中部への店舗展開が中心であるにも関わらず2022年3月段階の店舗数は2147店と2年前のほぼ2倍に増えています。またマサングループが経営を引き継いだWinmart+(旧Vinmart+)もリストラクチャリングを終えて、2600店舗と店舗数を再び増やしています。生鮮食品の購買は以前はローカルマーケットが主流でしたが、徐々にこういったミニスーパーの利用が増えてきています。

倍増するドラッグチェーン

モダントレード化の動きが最も顕著に表れているのが、ドラッグストアの分野ではないでしょうか。ドラッグストア大手のPharmacityの店舗数は2022年に1000店舗を突破し、またPharmacity、Long Chau、An Khang Pharmacityの3企業の合計店舗数は1年前から倍増しています。コロナの影響から衛生面・健康面により敏感になりつつあるベトナム消費者の需要にマッチしてドラッグストアのモダントレード化が一気に進んでいます。

ひと段落したミニストアブーム

数年前に一気に店舗が展開されたMinisoやMumusoなどのミニストアですが、ここ2年ほど店舗数は減少傾向にあります。2年前と比較すると5割近く店舗数が減少しています。廉価な商品を多く販売することで利益を創出するビジネスモデルのため、コロナ禍では来客が見込めず店舗計画の見直しが必要とされたのかもしれません。

小売店舗のオンライン依存

コロナの影響により概ね店舗数は横ばいまたは減少傾向にありますが、一方で小売店舗のオンラインを利用したダイレクト販売は加速傾向にあります。特にIT、ファッション、ベビーなどのカテゴリーにおいてはShopeeやLazadaなどのECプラットフォーム以外に、ウェブやアプリなどを通じて自社でオンライン販売を手掛けるケースも増えています。下記は2021年のQ1-Q3のECサイトのアクセス数をまとめた表になりますが、IT小売ではウェブを、ファッション・美容・ベビーなど顧客囲い込みがしやすい分野ではアプリに注力する形でダイレクト販売が加速しています。

2022年はベトナムのモダントレード化、オンライン化が一層進む年になるかと思います。メーカー・小売ともに販売のオムニチャネル化やCRMなどに力を入れておりよりデジタル化が加速するのではないかと予想されます。

著者紹介
株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。
NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。
2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス
「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中


統計から見るベトナム
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ゲアン省:自殺志願者を救出する貧しい夫婦、20年で50人以上 (10:04)

 北中部地方ゲアン省チュオンビン街区で暮らす貧しい夫婦は、同省を流れるラム川の中流で、橋から飛び降りて自殺を図った大勢の人たちの命を救ってきた。その数は20年で50人を超える。  ホアン・バン・マイ...

クアンニン省:島から持ち出した「石」14kgを観光客が返却 (9:40)

 東北部地方クアンニン省コートー島(特区)で、観光客が数年前に島から持ち帰った石14kgを謝罪文とともに自治体に郵送で返却する出来事があった。  返送主は同省ハロン街区に住むNさんで、2015年から2018年に...

東南アジアで最も素晴らしい島、カットバー島が3位にランクイン (8:36)

 米国の雑誌「ナショナルジオグラフィック(National Geographic)」はこのほど、「2025年の東南アジアで最も素晴らしい島トップ8」を発表した。ベトナムからは、北部紅河デルタ地方ハイフォン市のカットバー島が...

ハノイ郊外の2つのトンネル、軍幹部をかくまった地下要塞 (16日)

 フランス軍との9年間におよぶ抗戦中、ハノイ市の旧ドンアイン郡ナムホン村(現在のフックティン村)と旧タインオアイ郡タムフン村(現在のタムフン村)の住民たちは、戦火から村を守り、また軍幹部をかくまいながら...

中部の豪雨・土砂崩れ、死者・行方不明者が52人に増加 (21日)

 農業環境省の速報によると、中部地域の豪雨と土砂崩れにより、各地で甚大な被害が出ており、21日午前までに、死者・行方不明者数は52人となっている。  内訳は、死者43人(◇南中部地方ダクラク省:16人、同...

ベトナムとアルジェリア、戦略的パートナーシップに関係格上げ (21日)

 アルジェリアを公式訪問したファム・ミン・チン首相は、首都アルジェで19日、同国のシフィ・グリエブ首相と会談した。両首相はこの席で、両国関係を戦略的パートナーシップに格上げすることで一致した。  ...

ベトナム航空、エティハド航空とコードシェア開始 (21日)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空(Etihad Airways)とコードシェア提携を開始した。これにより、ベトナムから中東、欧州、アフリカへ

ダクラク省:洪水で製糖工場から硫酸缶100本が流出 (21日)

 南中部地方ダクラク省ソンタイン村(xa Son Thanh)警察のグエン・ティ・マイ・フオン署長は20日、中部各地を襲った豪雨と洪水災害により、同村にあるトゥイホア製糖工場に保管してあった硫酸缶100本が流されたと...

25年10月の対日貿易収支、1531億円の黒字 前年同月比+8.1%増 (21日)

 日本の財務省が発表した2025年10月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比+8.1%増の1530億9700万円の黒字だった。  日本からベトナムへの輸入額は前年同月比+16.4%増の2618億9600...

VTCオンライン、韓国ゲーム会社と提携 プラットフォーム構築へ (21日)

 ゲーム開発などを手掛ける韓国のスマイルゲート(Smilegate)はこのほど、ベトナムの大手ゲーム会社VTCオンライン(VTC Online)と覚書(MOU)を締結した。  MOUにより両社は、スマイルゲートのゲームプラットフ...

グラブ、「外食」サービス導入 飲食店検索や配車も可能 (21日)

 シンガポール系グラブ(Grab)の現地法人グラブベトナム(Grab Vietnam)は、「グラブ」のアプリ上で、飲食店の検索から予約、配車、店での食事までを一体で提供する「外食(Di an nha hang)」サービスを導入した。 ...

中部の豪雨・土砂崩れで21人死亡・行方不明 (21日)

 農業環境省によると、20日午前8時30分までに、中部地域の豪雨と土砂崩れにより計21人が死亡した、または行方不明となった。  内訳は、死者16人(◇南中部地方カインホア省:11人、◇北中部地方フエ市:2人、◇...

神奈川県知事、「ブルー・ライト・ヨコハマ」の越語版MVを公開 (21日)

 神奈川県の黒岩祐治知事が「クロリン(Kurorin)」名義で歌う、いしだあゆみの代表曲「ブルー・ライト・ヨコハマ」のベトナム語版ミュージック・ビデオ(MV)が、このほどユーチューブ(YouTube)で公開された。 ...

食品虚偽広告事件、ミスコン優勝者ら人気インフルエンサーに禁固刑 (21日)

 成分を偽装した野菜キャンディ「ケラ(Kera)」の製造と顧客に対する詐欺の事件で、ホーチミン市人民裁判所は19日、人気インフルエンサーを含む5人の被告に有罪判決を下した。  被告らは2024年から、「ケラ」...

地場シンクゾーン、大人向け音楽教育スタートアップに出資 (21日)

 地場ベンチャーキャピタル(VC)のシンクゾーン・ベンチャーズ(ThinkZone Ventures)は、音楽教育スタートアップのサニーデイズ・ピアノ(Sunny Days Piano)への出資を発表した。今回の投資は、同社が10月に立ち上...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved