ハノイ市内クアナム通りにあり市民の文化センターでもあるキンド(Kinh Do)劇場、この場所はここ10年間ディスコになっている。これは国営企業で映画館事業を行っているハノイ映画・映像会社が私企業に賃貸しているためである。この国営企業は国に敷地使用料を支払っているが、私企業からはそれ以上の賃貸料を徴収しており、その差額分はこの国営企業の懐に収まっている。
また、市内の目抜き通りに事務所を構えいる多くの合作社も同様で、国からの損失補てん制度がなくなって以降、合作社の業績は上がらず次々と敷地を私企業に賃貸に出しており、国家の承認なしに不法に行っているところも少なくない。さらに収入にかかる税金も納めず、さらにはそれらの賃貸料を全く国に収めていない国営企業さえある。
同市環境資源・不動産局が最近行った調査によると、市内の国営企業118社がこのような不法賃貸を行っており、さらには38社が違法に土地使用権を転売したり、個人または私企業と合弁で経営を行っていた。これらの現状から算出すると、国家に与える損失額は毎年数百億ドン(約数億円)にも上ると見られ、こうして不法に得た収入はすべて国営企業幹部個人の懐に収まっているという。
さらに、これら多くの国営企業の立地場所が1等地だというにもかかわらず、国に支払う敷地使用料はディエン・ティン・ホアン通り53番地にある書籍出版国営会社の場合、1平米あたり最高でも5万ドン(350円)/1ヶ月と破格で、近くで商売を営む市民に言わせれば“これならお茶を売っても利益が出る”と批判する。このように国営企業が国に収めている敷地使用料と実際の市場価格とは遠くかけ離れており、それらの差が数百倍というケースもある。