フエ出身のハイ・チエウの夢は、ベトナム人で最も上手に日本語の歌を唄える歌手になることだ。彼は、フエ科学大学英文科を卒業後、単身日本に渡り、東京経済大学コミュニケーション学部を卒業。現在、同大学の大学院で日本語教育を研究しながら、歌手としての活動も行っている。
幼い頃から歌が好きだった彼は、渡日後、在日ベトナム大使館のイベントやチャリティーコンサートに参加するなどの活動はしていたものの、プロの歌手になるつもりは全くなかったと言う。そんな彼がプロを目指すきっかけとなったのは、大学内の催しで、「島唄」を日本語で披露したことだ。彼の歌を聞いた学友や教授らからの予想外の反響に手ごたえを感じ、プロを目指すことを決意した。
やがて、サポートを申し出てくれる人々も現れ、今回初のアルバムリリースに至った。歌手ハイ・チエウとしての初アルバム「Diem Xua(ジエム・スア)」は、日本語、ベトナム語、そして日越二ヶ国語の3つのパートから成り、各パート4曲ずつ収録。ベトナムの偉大な作曲家チン・コン・ソンや同アルバムのプロデューサーでもある有名作曲家クオック・バオの楽曲は、チエウ自身が歌詞を日本語に翻訳した。その他、自作の楽曲や日本の歌も収録されている。
今後チエウは、日本でアルバムの宣伝活動やライブを行い、二作目となるアルバム製作に着手する予定だ。将来の夢について彼は、「ベトナムと日本をつなぐ架け橋になりたい。自分の歌によって、日本のみなさんがベトナムについてもっとよく知ることができたら、本当に幸せです。」と語っている。