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【第4回】新たな価値への挑戦!モン村でのオレンジ加工製品開発

2018/11/19 07:50 ICT配信

こんにちは、青年海外協力隊の山田邦永(やまだくにはる)です。2017年10月より、ベトナムの非政府組織(NGO)、VIRI で、ハノイを拠点に 活動 しています。

今回はベトナム西北部 ホアビン省 カオフォン郡モン村におけるオレンジ農家の精力的な取り組みを紹介します。

ホアビン省カオフォン郡モン村とは

少数民族の住む自然豊かなモン村

ホアビン省はベトナムの北西部に位置する山岳地域です。 カオフォン郡 はホアビン省の中央付近に位置し、北にベトナム北部の水がめであり水力発電所への水の供給源であるホアビンダムがあります。カオフォン郡から西へ50kmには、サイクリングやホームステイなどで人気の高まりつつある マイチャウ郡 があります。

さて、ホアビン省カオフォン郡モン村は、美しい空、澄んだ空気、透き通った水、適度な高度の揃った美しく快適な村で、かつては少数民族ムオン族の7家族が生活していたと言われています。現在では少数民族ムオン族及びタイ族の100家族400人以上が住んでいます。

ムオン族の伝統民族衣装

モン村の地形の特徴的な名前

モン村の地形には文化や伝統、生活を反映した名前が付けられています。

◆ヴァン丘:黄金の丘の意味。丘の頂上で紙幣を模した紙を燃やす儀式が行われることから。

◆マムソイ丘:大皿おこわの丘の意味。宗教の儀式の際にお供えする大きなお皿に盛ったおこわに似ていることから。

◆ジエム洞窟:マッチの洞窟の意味。かつてこの洞窟で起こした火を各家庭に持ち帰っていたことから。

◆ダン川:苦い川の意味。ベトナムでは世の中の物事を慣用的に「苦い・辛い・塩辛い・甘い」と呼び、苦い(苦労)、辛い(失敗)、塩辛い(努力)を経て甘い(成功)に至ると言われている。ダン川はモン村の水源、生活の源であり、苦味(苦労)は成功に至る大元であることから。

ヴァン丘からの眺め

ハノイ経済圏の後背地としてのホアビン省

ハノイ市からホアビン市へは約85km、6号線を使ってわずか約2時間での道程であり、ハノイ経済圏の後背地として、将来に渡って発展していくことが予想されています。ハノイ市場における消費者の食の安全に対する関心が高まりつつあることを受けて、特に都市近郊型の集約的な農業で安全性の高い野菜を生産するために、ベトナム農業農村開発省も支援しています。

モン村のオレンジ生産ハーフォン共同組合

ハーフォン共同組合のオレンジ生産の歴史

今から20年前、カオフォン郡モン村は、雑草と茂みに覆われた未開墾の丘陵地でした。ときに発生する土壌侵食を、藍を植えることで防いでいました。この地域に住んでいる少数民族ムオン族及びタイ族は、市場に広く受け入れられる農作物を作る方法も、丘陵地を開墾して活用する方法さえも分からず、低い収入で厳しい生活をしていました。このような状況にトゥ・クアン・ハー氏は危機感を覚え、ここでより多くの雇用の機会を創出し、また近い将来きっと生活が良くなるという希望を持たせることを決意しました。そして2002年、資金や人員の調達に大変な苦心をしながらも、ハー氏は1つの丘の頂上へと繋がる最初の道を完成させました。モン村における自然の恵みを活用したオレンジ栽培は、ここから始まりました。

モン村の丘を開墾する様子

2015年、ハー氏はモン村の村民とともにオレンジ生産の「ハーフォン共同組合」を立ち上げました。ハーフォン共同組合の目指す姿は、新しい技術を積極的に取り入れながら付加価値の高いオレンジを栽培する、新たな協同組合です。ハーフォン協同組合のオレンジ農園では、有機的で環境負荷の少ない方法でオレンジが栽培されています。肥料には微生物肥料及び魚粕の有機肥料を使っています。また、イスラエルの灌漑技術で水を丘の上のタンクまで汲み上げています。

有機肥料を使ったモン村でのオレンジ栽培の様子

ハーフォン協同組合メンバーのストーリー

タイ族のトン・ヴァン・トアン氏は、奥さんのクアン・ティ・スオン氏と結婚した後、双子の子どもを授かり、モン村での生活を始めました。2人は長期のローンを組んで小さな家を建てましたが、苦しい家計に返済状況が良くありませんでした。ローンを完済する明確な計画が持てなかったため不安に駆られていた頃、幸運にもハーフォン協同組合の一員となることができました。現在2人は毎月約500万VND(約2万5000円)の安定した収入を得られるようになりました。毎月のローンの返済も進み、また子供の将来の学費も工面できるため、非常に前向きに希望をもって生活をしています。

オレンジ加工製品の開発に挑戦

継続して発展していける協同組合へ

ハーフォン協同組合では、今後より多くの村民の収入向上に貢献し、カオフォン郡の経済活性化を促進するべく、オレンジを使った加工製品の開発に挑戦しています。製品開発にあたって、地方政府からの支援に加え、ベトナム国内外の各専門家からの支援も受けています。2018年5月には大分県より国際一村一品交流協会の内田正理事長が訪問し、一村一品運動の原理原則の説明をしてくださりました。

左端:筆者、左から4人目:内田理事長、左から5人目:ハー氏

VIRIの支援する新製品の数々

現在VIRIは、ハーフォン協同組合と協力をしながら、新たなオレンジ加工製品の開発を進めています。オレンジジュース、実を発酵させたオレンジ酒、オレンジピール、皮から抽出したエッセンシャルオイル等があります。ハーフォン協同組合の新製品がハノイ市内で販売されるようになったたら、 VIRIフェイスブックページ で案内します(2019年早々を予定)。楽しみにしていてください!

オレンジ酒生産の様子

オレンジピール生産の様子

エッセンシャルオイル生産の様子

製品イメージ

最後に

低価格競争に走らず、地域の特性を活かしながら、かつ、持続可能な形で高付加価値製品を生み出そうとしているホアビン省カオフォン郡モン村のハーフォン共同組合の取り組みは、学ぶべきところがたくさんあります。このような取り組みがベトナム全土へ広がっていくのを楽しみにしています。

著者紹介
青年海外協力隊 山田邦永
ベトナムのNGO、VIRI で、ハノイを拠点に活動中の青年海外協力隊隊員が、彩り豊かな「ベトナム・フェアトレードの旅」へと皆さまを案内します。VIRIは世界フェアトレード機関(WFTO : World Fair Trade Organization)から国際フェアトレード組織として認められたベトナム唯一の団体です。

著者略歴:1983年生まれ。愛知県出身。東京大学卒業、東京大学大学院修士課程修了(分子生物学)、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修士課程修了(MBA)。元ファイザー勤務、元ジョンソン・エンド・ジョンソン勤務(R&D)。現在、青年海外協力隊(任期:2017年10月~2019年9月、活動概要:VIETJOベトナムニュース記事参照)。
ベトナム・フェアトレードの旅
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