ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第50回】ベトナムのリモートワークの現状について

2020/04/17 08:55 JST配信

ベトナムでも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の一環として、ソーシャルディスタンスが浸透し、極力外出を控えることが求められるようになりました。多くの企業が、リモートワークなどの対応を強いられていますが、その現状についてベトナムで既にリモートワークを行なっているオフィスワーカーを対象に調査を実施しました(調査は4月上旬に実施)。

実際にリモートワークをしていますか?

現在、調査対象のリモートワークをとりいれている会社の中で 45%が常時リモートワーク対応 となっています。リモートワークになることで、日報や週報などの形で作業を求める会社が半数を占め、 12%の会社はオンラインでのミーティングを実施 するなどしてコミュニケーションをとっています。また、リモートワークをすることでメッセージングやメール、電話の量などはオフィスで仕事をしていたときと比較すると増加しているようです。

メッセージングツールは何を使ってる?

メッセージングでは、ベトナムではFacebook社の Messenger及びZaloの2つのサービスが人気 ですが、 主にリモートワークでのやりとりで利用されているのはZalo です。Messengerが友人などより多くの人々とのやりとりに使われるのに際して、Zaloはより仕事や密接な仲間の間で使われる傾向があり、リモートワークコミュニケーションにおける中心的なツールとして利用されています。

ビデオ会議にはどのツールを使ってる?

また、顔を合わせる機会がなくなったことから、ビデオ会議の利用も急増しています。ベトナムは古くからSkype の人気が高かったのですが、新型コロナウイルスで外出が制限されるようになってからは Zoom の人気が急激に高まっています 。モバイルアプリのダウンロードなどでも3月からダウンロード数でトップとなっており、品質の良さが評判を呼び、ベトナム社会人の間で利用が高まっています。Zoomのセキュリティについての問題が騒がれるようになってからは、Microsoft社の Teams などの利用も増えているようです。

リモートワークのメリットとデメリット

それではベトナム人スタッフはリモートワークについてどのように感じているのでしょうか?「リモートワークが好きか」という質問については 半数の50%が「非常に好き」「好き」と回答 しています。「新型コロナウィルスの心配をしなくて済むから」「通勤に占める移動の時間が節約できるから」「子供とより一緒にいる時間が増えて、柔軟に仕事をこなせるから」などのポジティブな意見が聞かれる一方で、「プリンターやスキャナーなどのツールが家にないので仕事がはかどらない」「同僚とのコミュニケーションが制限されて、質問をしたり相談したりできない」「家族に話しかけられたりするので仕事に集中できない」などのネガティブな意見も聞かれます。

それでは、リモートワークによって、仕事の成果はどのように変化をしているのでしょうか? 30%が効率が上がったと回答 しているのに対して、それを 上回る42%が効率が落ちたと回答 をしています。効率が上がったという回答は「移動時間が削減できるから」というものに加え、「上司がいないから自分の仕事に集中できる」「上司がいないからプレッシャーを感じないで快適」が多くを占めます。回答内容をみると効率が上がっているのか、自由度が増して嬉しいのか微妙なものも見られます。一方で、「顧客と対面できないので話が進まない」「家だと集中できない」「いちいちメールやチャットなどでやりとりしなくてはいけないのでまどろっこしい」など、対面しないことによる弊害も見られるようです。

今後、どの程度リモートワークが続くかはわかりませんが、元々ベトナムでの仕事形態はアウトプット型ではないため、長期間でのリモートワークとなるとモチベーションを含め様々な問題がでてくるかと思います。一方で、今まで伝統的に続けて来ていた仕事のスタイルが実はリモートでも賄えることがわかり、仕事のスタイルが大きく変わる契機となるようにも感じます。

著者紹介
株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。
NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。
2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス
「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中


統計から見るベトナム
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
国会、テクノロジー関連の法律6本を可決 初のAI法など (17:46)

 国会は10日と11日、テクノロジー分野に関する複数の法律を可決した。可決されたのは、◇人工知能(AI)法、◇知的財産法の一部を改正・補足する法律、◇技術移転法を改正・補足する法律、◇改正ハイテク法、◇電子商取...

国会、改正個人所得税法を可決 控除額拡大・金地金取引に課税など (17:14)

 国会は10日、改正個人所得税法を賛成多数で可決した。同法は4章・30条から成り、2026年7月1日に施行する。  同法では、給与・賃金に係る個人所得に対する累進課税を、現行の5%刻みの7段階(5~35%)から5~...

バクニン省のドンホー版画、ユネスコ無形文化遺産に登録 (15:30)

 インドの首都ニューデリーで9日に開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産保護条約政府間委員会で、ベトナムの北部紅河デルタ地方バクニン省のドンホー版画がユネスコ無形文化遺産リストに登録され...

車いすでピックルボールに打ち込む人々 (7日)

 グエン・バン・フアンさん(男性・40歳)は毎週、東北部地方クアンニン省からハノイ市まで100km以上の道のりを三輪バイクで走り、ピックルボールに打ち込んでいる。フアンさんにとって、ピックルボールは障がいへ...

国会、サイバー安全保障・国防関連の複数の法律を可決 (14:55)

 国会は10日、サイバー安全保障および国防・治安分野に関する複数の法律を可決した。  可決されたのは、◇サイバーセキュリティ法、◇改正国家機密保護法、◇治安・秩序に関する10本の法律の一部を改正・補足す...

ホーチミン:グエンフエ通りに24時間営業の書店が誕生、市内初 (14:36)

 ホーチミン市中心部のグエンフエ(Nguyen Hue)通りの歩行者天国に、市内初となる24時間営業の「眠らない書店」が誕生した。書店チェーン「フオンナム(Phuong Nam)」を展開するフオンナム

韓国ポスコフロー、ベトナム現地法人を設立 物流網強化 (13:57)

 韓国ポスコ(POSCO)グループの物流会社であるポスコフロー・タイランド(POSCO FLOW(THAILAND))はこのほど、タイのバンコクとベトナムのホーチミン市に物流事業を行う現地法人を設立した。  ベトナム法人を設...

在越日系ブロックチェーンワーク、ホーチミン市経済金融大学と提携 (13:20)

 ホーチミン市を拠点とする日系ブロックチェーン人材コミュニティプラットフォームのブロックチェーンワーク(BlockchainWork)は5日、ホーチミン市経済金融大学(UEF)との間で、戦略的協力に関する覚書(MOU)を締結...

国会、人口法を可決 第2子出産で産休延長・社会住宅優先 (6:21)

 国会は10日、人口法を賛成多数で可決した。同法は8章・30条で構成され、2026年7月1日に施行される。  同法には、代替出生率(長期的に現在の人口規模を維持できる出生率)の維持を目的とした複数の措置が盛り...

ドンナイ省:メトロ1号線のロンタイン空港延伸、投資総額3600億円 (6:15)

 東南部地方ドンナイ省人民評議会は10日、ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を同省の新行政センターおよび建設中のロンタイン国際空港まで延伸する計画を承認した。  ドンナ...

ホーチミン:聖母マリア教会の新しい十字架が到着、聖別の儀式 (5:23)

 ホーチミン市のドゥックバー(聖母マリア)教会で8日、同市大司教区のグエン・ナン大司教が、新しい2本の十字架の聖別の儀式を執り行った。これにより、教会修復事業の最も重要な項目の1つがほぼ完了したことにな...

伊ピアジオ、ベトナムでのバイク累計生産200万台突破 (5:08)

 イタリアのバイク・自動車メーカーであるピアジオ(Piaggio)の現地子会社ピアジオ・ベトナム(Piaggio Vietnam)は、2007年の進出から18年で、ベトナムにおけるバイクの累計生産台数が200万台に達したと発表した。...

ハロン湾クルーズ、世界的アワードで2年連続受賞 (4:58)

 2025年度の「ワールド・クルーズ・アワード(World Cruise Awards=WCA)」がこのほど発表され、東北部地方クアンニン省に本社を置くベトトゥアン運輸(Viet Thuan)が運航する「グランド・パイオニアクルーズ(Gran...

ベトジェットエア、12月12日限定で運賃100%割引キャンペーン (4:07)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、12月12日(金)のベトナム時間午前0時から23時までの1日限定で、すべてのベトナム国内線と国際線の航空券を対象に、

ベトジェットエア、ホーチミン~マニラ線をデイリー運航に (3:37)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は12月19日、ホーチミン市とフィリピンのマニラを結ぶ直行便を増便し、デイリー運航とする。  出発時

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved