ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

【第4回】障がい者雇用を生み出すBPO事業のご紹介

2021/09/18 12:00 JST配信

こんにちは、福崎雄生(ふくざきゆうき)と申します。今回は私が2020年3月まで所属していた障がい者の雇用創出・自立支援を手掛けるIT企業Enablecode の事業についてご紹介します。

Enablecodeでは、障がい者の方々と雇用契約やフリーランス契約を結び、仕事を通じて収入を得ていただくだけでなく、社会での活躍によって自信を醸成いただくことで、経済的にも精神的にも自立できる機会の提供を行っています。

主な事業は2つございまして、Web制作事業とBPO*(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業を展開しているのですが、今回は後者についてご紹介したいと思います。

*BPOとは?

BPOとは、ビジネスプロセスアウトソーシングの略で、 総務や人事、経理といったノンコア業務や、自社には運用ノウハウがない業務を、継続的に外部の事業者に委託することを指します。BPOを提供している事業者は複数あり、それぞれ得意分野や、高度な専門領域を掲げています。

※出典:パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社「BPOとは?」

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業の概要

BPO事業の概要を図示すると以下のイメージとなります。

BPO事業の概要

大まかな流れとしては、クライアントよりEnablecodeが業務委託を請け負い、請け負った業務を単純作業に落とし込み、それらの作業を仕事として障がい者の方々に対応いただいています。

私がEnablecodeに在籍していた期間の主要なプロジェクトは、とある国にて紙で管理していた公的書類をデジタル化(Wordのようなデジタルファイルに変換)するというものでした。その中で、障がい者の方々には、手書き入力された内容を読み取ってもらい、テキスト化(電子化)するという仕事を実施いただいていました。

仕事内容の説明会の様子

以降では、Web制作事業における自身の役割について説明をしたいと思います。

BPO事業の業務管理ツールの作成

私が担っていた役割のうちの1つは、BPO事業における業務管理ツールの作成でした。具体的には、業務に携わってくださる障がい者の方々の人材情報管理ツールと、業務実績の集約・分析ツールの構築を行いました。

BPO事業では私が在籍していた時点で、既に100名を超える障がい者の方々が携わってくださっていたのですが、人材情報や業務実績管理が複数のツールやファイルでばらばらに管理されており、人材情報や業務実績の集計・分析に時間を要してしまうという課題がありました。何より、業務実績の抜け漏れにより賃金を適切が支払われないという状況を避ける必要があったため、関連データを一元管理し、自動で集約・分析ができるツールを構築しました。

データ集計についてはもともと手作業でやっていた業務も多かったため、業務効率を大幅に向上することに繋がり、Enablecode社員の方々が障がい者の方々の個別フォローにあてられる時間の増加に繋がったことが個人的にはとても嬉しかったです。

障がい者支援を行うNPOの開拓

もう一つの役割が、NPO法人の開拓でした。一人でも多くの障がい者の方々に自立の機会をご提供するためには、できるだけ多くの障がい者の方々にBPO事業のことを知ってもらいプロジェクトに参加いただく必要がありました。

そこで、障がい者支援を行っているNPO法人を訪問し、就労を希望される障がい者がいればご紹介頂くように依頼をして回りました。

私は他のEnablecodeのメンバと異なり、現地にコネクションもなかったのでインターネットでNPO法人を探して直接コンタクトをとり団体訪問をしていました。

私がベトナム語が喋れない、且つ英語も流暢ではないという点が障壁でしたが、話に耳を傾けてくれてEnablecodeのBPO事業に共感いただける団体ばかりで、いろんな方々の社会をよりよくしていきたいという想いにも触れることができ大変貴重な経験となりました。

とある団体様をご訪問した際のランチタイムの様子

上記は、とある団体様を訪問させて頂いたときの写真ですが、ランチに誘っていただき楽しい時間を過ごすことができました。とてもありがたい。。。(涙)

最終的には、4か月で36名の障がい者の就労に繋がりました。その方々にとって、この取り組みが生活をよりよくしていくためのきっかけに繋がっているならば、それほど嬉しいことはございません。

次回のお知らせ

今回はBPO事業についてのご紹介でした。次回が最終回となりますが、Enablecodeでの業務を通じて、個人的に学んだことや感じたことを改めて振り返ってみたいと思います。次回もどうぞよろしくお願い致します!!

著者紹介
福崎雄生
2019年7月よりホーチミンに移り、障がい者雇用創出を目的としたベトナム国内の社会的企業にて活動をしています。みなさまにとっても日頃とは少し違った視点でベトナムを捉える機会になるように、現地での学びや気付きを発信してまいります。
著者略歴:1990年生まれ、愛媛県今治市出身。立命館大学卒業。日系IT企業勤務(官公庁向けシステム開発 – 沖縄県の地方創生プロジェクト – 研修の一環でベトナムの社会的企業へ)
>> Facebookページはこちら

>> LinkedInはこちら
ベトナムにおける障がい者雇用創出の世界に飛び込んでみて
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ホーチミン:35年までに投資優先のメトロ9路線を公表 (16:22)

 ホーチミン市当局は2035年までに、9路線の都市鉄道(メトロ)を優先的に建設する計画を明らかにした。◇旧ホーチミン市、◇旧ビンズオン省、◇旧バリア・ブンタウ省、◇東南部地方ドンナイ省ロンタイン国際空港を結ぶ...

デジタル銀行「ケイク」、未成年顧客向けオンライン口座開設を開始 (14:46)

 民間銀行大手で消費者金融に強みを持つVPバンク[VPB](VPBank)傘下のデジタル銀行「ケイク・バイ・VPバンク(Cake by VPBank)」はこのほど、15~18歳未満の顧客が、オンライン本人確

メンズアパレル通販「クールメイト」、シリーズC資金調達完了 (14:06)

 男性用衣料に特化した電子商取引(eコマース=EC)を展開し、生産から販売まで自社で手掛けるクールメイト(Coolmate)は、シリーズCラウンドの資金調達を完了した。調達額は明らかにされていない。  今回の資...

IT学ぶ身長110cmの「小さな孤児」、大学卒業までの道のり (2日)

 混み合う大学の中庭で、身長110cmのグエン・ティ・フオンさん(女性・23歳)は、まるで小学生が足早に歩く大学生たちの中に迷い込んだかのように見える。  フオンさんは北部紅河デルタ地方ニンビン省旧キムソ...

イオンモール・フエ、洪水被害免れる 被災者に避難所や食事を提供 (13:44)

 北中部地方フエ市は、10月末に豪雨と洪水の被害に見舞われた。同市アンドン街区にある「イオンモール・フエ」は、洪水から避難する住民のために、駐車場を無料で開放しているほか、モール内に安全な避難場所を...

伊マセラティ、ベトナムで高級電気自動車2車種を発表 (13:38)

 イタリアの高級車メーカーであるマセラティ(Maserati)は、電気自動車(EV)モデル「グレカーレ・フォルゴレ(Grecale Folgore)」と「グランカブリオ・フォルゴレ(GranCabrio Folgore)」をベトナム市場で初めて発表...

薬局チェーン「ロンチャウ」、米アボットと包括的戦略的事業提携 (13:22)

 情報技術(IT)最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)傘下で、国内最大規模の薬局チェーン「ロンチャウ(Long Chau)」を運営する

ゴック中央監査委員長、ハノイ市党委書記に転任 (6:17)

 グエン・ズイ・ゴック中央監査委員長が、政治局の決定により、ハノイ市共産党委員会書記(2025~2030年任期)に就任した。同決定は4日に発表された。  ゴック氏は1964年生まれの61歳。北部紅河デルタ地方フン...

ホーチミン市、「ユネスコ創造都市ネットワーク」に認定 (6:02)

 ホーチミン市がこのほど、映画部門の「国連教育科学文化機関(ユネスコ)創造都市ネットワーク(UNESCO Creative Cities Network=UCCN)」に認定された。ベトナムでUCCNに認定された都市としては4都市目となる。映...

日本政府、日越友好親善への寄与でマイン元書記長ら3人に叙勲 (5:51)

 日本政府は3日、令和7年(2025年)秋の外国人叙勲受章者を発表した。この中で、ベトナム人3人が叙勲を受けた。  ノン・ドゥック・マイン元書記長(85歳)とグエン・タン・ズン元首相(75歳)は、日本・ベトナム間...

アジア太平洋U35若手リーダー、歌手チー・プーが選出 大谷翔平も (5:31)

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の枠組みで、アジア太平洋若手起業家リーダーフォーラム(APEA)2025が開催され、同地域における35歳以下の優秀な若手リーダー141人のリストが発表された。ベトナムからは...

大正製薬子会社のハウザン製薬、ベトナムで薬用育毛剤発売 (4:30)

 大正製薬株式会社(東京都豊島区)子会社で地場製薬最大手ハウザン製薬[DHG](Hau Giang Pharmaceutical)は、新ヘアケアブランド「RiHair(リヘア)」を正式に立ち上げ、第1弾製品として

東京ガス、ビンロン省のニアショア陸上風力発電プロジェクトに参画 (3:51)

 東京ガス株式会社(東京都港区)は、風力発電の開発・建設・運転などを手掛ける地場チュオンタイン・ズエンハイ・ウインドパワー(Truong Thanh Duyen Hai Wind Power=TTDH)への出資について、チュオンタイン・ベ...

日本女子大学、ホーチミン市建築大学と学術交流の大学間協定締結 (2:45)

 日本女子大学(東京都文京区)は9月30日、ホーチミン市建築大学(UAH)との間で、学術交流に関する大学間協定を締結した。  日本女子大学にとって、ホーチミン市建築大学は37校目の協定大学となる。また、ベト...

ザン国防相、訪越の米戦争長官と会談 協力拡大へ (4日)

 ファン・バン・ザン国防相は2日、ベトナムを公式訪問した米国のピート・ヘグセス戦争長官(国防長官)と会談した。ヘグセス戦争長官は2日と3日にベトナムを公式訪問した。  双方は、今回の訪問は越米国交正常...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved