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- IMFが外部環境による複数リスクを指摘
- 関税引き上げが行われた場合は成長鈍化
- ベトナムに財政・金融政策を提言
国際通貨基金(IMF)は、ベトナム経済が引き続き回復基調にある一方で、外部環境の不確実性の高まりを背景とした複数のリスクに直面していると指摘した。
IMFは、世界的な関税引き上げなどの保護主義的措置が2025年7~9月期から導入された場合、同年のベトナムの実質国内総生産(GDP)成長率は+5.4%に鈍化し、2026年も引き続き弱含む可能性があると警告。一方で、貿易摩擦が緩和されれば、経済見通しは大きく改善するとしている。
また国内では、企業の高水準の債務、信用供与の引き締め、金融セクターの脆弱性が主なリスク要因として挙げられた。こうした背景を踏まえ、IMFは以下の政策対応をベトナムに提言している。
◇財政政策:
公的債務水準が比較的低いことを踏まえ、短期的な景気の下支えには財政が中心的な役割を担う。特に公共投資の加速や社会保障の強化が重要。
◇金融政策:
インフレ期待の安定を最優先課題とし、為替レートの柔軟な運用により外部ショックへの対応力を高めることが必要。世界的な金利低下と物価安定が進めば、適度な金融緩和も検討可能。
◇金融システムの健全化:
銀行監督体制の強化、資本および流動性バッファーの確保と不良金融機関の処理枠組みの整備が急務。
このほか、IMFはベトナムが中長期的な成長を実現するためには、インフラ整備の推進、資本市場の発展、教育・人材育成への投資、公共投資の管理強化、健全な財政運営の確立など、構造改革の着実な実行が不可欠だと強調している。