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- 暗号資産取引所の認可基準と試験運営
- 銀行主導で暗号資産市場に本格参入
- デジタル資産の法的保護強化へ
ベトナム政府は暗号資産(デジタル資産)市場の法整備と取引所の試験運営に本格的に取り組む。2026年施行の新法に基づき、複数の暗号資産取引所が正式に認可される見込みで、銀行や証券会社を中心に民間企業の参入が加速する見込みだ。
暗号資産取引所の認可基準と試験運営
政府は、暗号資産取引所の試験的な運営を5社程度に認可する方針だ。これは2026年1月に施行されるデジタル技術産業法により、デジタル資産が民法上の資産として正式に認められたことを受けた措置だ。
ベトナムブロックチェーン・デジタル資産協会(VBA)のファン・ドゥック・チュン会長によると、試験運営される取引所では、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ステーブルコイン (USDT/USDC)など約50種類の暗号資産が取引可能になる見込みだ。実物資産に裏付けされたトークン(RWA)を発行して資金を調達する仕組みも導入される見込みだ。ただし、これらのRWAを購入できるのは外国人投資家に限定されており、ベトナム国内の投資家は対象外となる。
財政省は現在、法案の最終調整を進めており、2025年8月中に政令として公布する予定。認可にあたっては以下の厳格な基準を満たす必要がある。
◇最低資本金10兆VND(約560億円)
◇資本の35%は銀行・証券会社・保険会社・資産運用会社・テクノロジー企業のうち2種以上から出資
◇個人の出資は禁止、出資者の65%以上は法人で構成
◇外国人持株比率は49%以下
現在、資本金が10兆VND(約560億円)を超える銀行は21行あり、この最低資本金要件は銀行など財務基盤の強い金融機関に有利に働くと見られている。
銀行主導で暗号資産市場に本格参入
銀行業界では、国防省系企業が株主の民間銀行である軍隊銀行[MBB](Military Bank)が韓国最大の仮想通貨取引所「アップビット(Upbit)」を運営するドゥナム(Dunamu)と技術提携を結び、国内取引所の立ち上げを進めている。ドゥナムは取引所運営のノウハウ、法規制の整備、FATF準拠の国際基準、セキュリティ強化など多面的な支援を行う。
テクコムバンク[TCB](Techcombank)もブロックチェーンと暗号資産の活用に積極的で、子会社のテクコムバンク証券(Techcombank Securities=TCBS)ではすでに暗号資産の価格モニタリング機能を導入し、今後のサービス展開を視野に入れている。
VPバンク[VPB](VPBank)も同分野への参入を検討している。
デジタル資産の法的保護強化へ
2026年1月施行のデジタル技術産業法により、暗号資産は民法上の資産として明確に位置づけられ、正式に法的保護の対象となる。現在ベトナム国内では約2100万人が暗号資産を保有しているとされ、これまで不透明だった法的地位が明確になることで、投資家保護の体制が大きく進展する見込みだ。