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ベトナム映画「第三夫人と髪飾り」、10月11日から日本で全国順次ロードショー

2019/10/12 07:00 JST配信
© copyright Mayfair Pictures.
© copyright Mayfair Pictures.

ベトナム映画「第三夫人と髪飾り(越題:Vo Ba、英題:The Third Wife)」が11日、東京都渋谷区のBunkamuraル・シネマで公開された。東京のほか、全国順次ロードショーとなる。

 「青いパパイヤの香り」や「夏至」などを手掛けたベトナム映画界を代表する名匠トラン・アン・ユン(Tran Anh Hung)が美術監修を務め、「ブラック・クランズマン」などのスパイク・リー(Spike Lee)氏が資金援助するなど、巨匠たちのバックアップを得て作られた。

 世界遺産に登録されている北部紅河デルタ地方ニンビン省のチャンアンを舞台に19世紀のベトナムを描いた「第三夫人と髪飾り」の美意識の根底には、トラン・アン・ユンの影響だけでなく、日本の文豪・谷崎潤一郎の影響もあったとされる。

 英国のオックスフォード大学で文学を専攻し、川端康成をはじめとする日本の文学にも昔から関心があったと話すアッシュ・メイフェア(Ash Mayfair)監督。中でも作品作りに最も影響を与えたのは、谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」だという。

 まだ電灯がなかった時代の今日と違った日本の美の感覚、生活と自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を知っていた日本人の芸術的な感性について論じた「陰翳礼賛」では、日本建築から、照明、食器や食べ物、化粧、そして日本文化の能や歌舞伎の衣装の色彩など、多岐にわたって陰翳の考察がなされている。

 アッシュ・メイフェア監督は日本人の美意識の高さに感銘を受け、「第三夫人と髪飾り」でも「陰翳」を大切に描いたという。「大好きな谷崎潤一郎へのオマージュとして、当初タイトルを“Between Shadow and Soul”にしようとしていた」とも語る。映画の制作時には自然光での撮影にこだわり、谷崎が論じた「陰翳」を見事に作品に取り込んだ。

 電気が通っていなかった19世紀のベトナムを再現するため、今も電気が通っていない秘境で撮影を行ったアッシュ・メイフェア監督。映画の冒頭は、第三夫人が麓を流れる川を渡って嫁入りするシーンから始まる。昔から変わることなく、手付かずの自然が残るチャンアンで撮影したからこそ、19世紀のベトナム北部にタイムスリップしたかのような風合いを醸し出している。

 アッシュ・メイフェア監督は、谷崎潤一郎などの日本文化から影響を受けただけでなく、トラン・アン・ユンからも「何が<真実>なのか。また何が<美>なのか」を常に自分に問い続けなさいとアドバイスされたという。トラン・アン・ユンから贈られた言葉を胸に刻み、ロケ地など細部までこだわり「第三夫人と髪飾り」が完成した。


【あらすじ】
19世紀のベトナム北部。14歳のメイはその地を治める富豪のもとに、三番目の妻として嫁いでくる。一族が暮らす大邸宅には、唯一の息子を産んだ穏やかな第一夫人、3人の娘を持つ美しく魅惑的な第二夫人がいた。まだ無邪気だったメイは、この家では世継ぎとなる男の子を産んでこそ奥様になれることを知る。そして妊娠。出産に向けて季節が流れる中、第一夫人も妊娠していることが発覚。時を同じくしてメイは、第一夫人のひとり息子ソンと、第二夫人のある秘密を知ってしまう―――。

【予告編】

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