ベトナム語入力ソフト「WinVNKey」での高速入力方法「tubinhtran-MS」を考え出した人がいる。オーストラリア・シドニーのマリクビル・ベトナム文化学校のチャン・トゥー・ビン校長だ。考案されたのは2006年だが、最近になってようやく広まってきた。
高速入力方法「tubinhtran-MS」では、1から5までの数字キーで声調を入力し、母音a・e・i・o・uの変形を入力する際には6から9までの数字キー、“[”(始め角括弧)及び“]”(終わり角括弧)の記号キーを1回押す。「gi」、「kh」、「ph」、「qu」の複合子音もそれぞれ「j」、「k」、「f」、「q」の1つのキーを押すだけで該当する文字が表示されるというルールになっている。
この入力方法は、変形母音や複合子音を入力するために複数のキーを押さなければならない「VIQR」、「VNI」、「Telex」といった従来の入力方法よりもはるかに便利で、変形母音と複合子音が多用されるベトナム語の入力に非常に効果的だ。
ビン校長は「ネットでチャットする時や携帯電話でメールを送る時、ベトナム語入力にずっと不便を感じていた」と話す。そのため「ベトナム語高速入力法」と題する記事を書いて、いくつかのネット上のフォーラムに投稿してきた。
入力時のスペルを簡略化することで高速入力を実現する方法について、「正確なスペルを覚えられなくなる」といった批判もあるが、画面上の文字は声調記号を伴った正確なスペルが表示されることが何よりの特長だ。
ハノイ市の高校で物理を教えていた元教師のチエウ・バン・ライさん(69歳)は、教師を辞めてからも教材作りを請け負っている。通常の入力方法で「WinVNKey」を使っていたが、息子に高速入力法があると教えられたという。ライさんは「慣れるまで時間がかかったが、今では以前の入力方法より早くなった。A4サイズの資料を完成するのに前は平均10分かかったが、今は2分近く短縮できている」と語った。