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- 現在の物価水準からみて価値小さく敬遠
- カットライフェリーでは500VND札を活用
- 国家銀行、発行継続するかどうか検討必要
何らかの商品やサービスを販売し、その支払いに200VND(約1.2円)札や500VND(約2.9円)札が含まれていても、法令上、販売者はその紙幣を受け取る義務がある。しかし現実には、これらの小額紙幣は非常に敬遠されている。
かつては人々の財布に欠かせない存在だった500VND札だが、現在ではどんなに少額の商品であっても、購入する際にその紙幣が登場することはない。現在の物価水準からみて、価値が小さすぎるからだ。
ホーチミン市に住むある男性は、財布に2年ほど入っていた500VND札を使うことを諦め、「記念紙幣」と考えるようにした。ハノイ市に住む男性は、500VND札でお菓子を買おうとしたところ、「今どき500VND札を使う人なんていないよ」と店主から受け取りを拒否された経験があるという。
実際のところ、どんな商品であっても数千VND(1000VND=約5.8円)以上する現在では、500VND札は、消費者にとってほとんど価値がないものと言える。ハノイ市に住む女性は、「スーパーでも雑貨店でも、お釣りが500VNDになると、飴なんかががお釣りとして渡されますよ」と言う。
500VND札を持ち続けても、日常の支出の役には立たないため、多くの人がこれを「捨てる」か、記念品として扱うようになっている。
かろうじて500VND札が活用されているものとしてはフェリーがあり、ホーチミン市と東南部地方ドンナイ省ニョンチャック郡を結ぶカットライフェリーでは、バイク1台の料金が4500VND(約26円)、後部座席に乗る人を合わせて6500VND(約38円)だ。
フェリーの利用者は、「今も500VND札が使われていることに驚きました。行きの料金支払いでお釣りに500VND札が含まれていたので受け取ろうとしなかったら、係から『帰りのフェリーで使えますよ』と言われました」と話す。なお、ホーチミン市ゴーバップ区のスーパー「Eマート」でも、200VND札や500VND札は受け入れられている。
銀行の専門家グエン・チー・ヒエウ氏は、200VND札も500VND札も依然として流通紙幣であり、「法定通貨であり、販売者はこの紙幣を受け取る義務がある」と言う。
2010年ベトナム国家銀行法第23条3項では、国家銀行(中央銀行)が発行した流通可能な通貨の受け取りや流通を拒否する行為を禁じているが、拒否に対する罰則はない。ヒエウ氏は、現実にはこれらの少額紙幣を使う人は非常に少なく、紙幣の印刷や輸送にかかる費用に対する利用効率が悪いため、国家銀行は発行を継続するかどうか検討する必要があるとしている。