ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

配給時代の労働者海外派遣と労働者たちの苦難、ソ連での一例

2019/11/24 05:59 JST配信
(C) zing
(C) zing

 当時、相当に裕福な家庭だけがドイツのMifaの自転車やMukichのバイクを購入できた。Babetaのバイク、FavoritやEskaの自転車は、多くの家庭にとって夢だった。一方、ソ連へ派遣される労働者は、良くてSaratovの冷蔵庫、それに鍋やアイロン、Kamaのウォーターポンプを持って帰れるかどうか、というところだった。

 ソ連の工場で共同労働に従事するベトナムの若者はかなり多く、ピーク時には10万人にも達した。大部分がモスクワ周辺などの大都市に集中していた。

 外国へ行く準備をしているときは、「向こうに行けば専門的な分野を学ぶことができる」と誰もが信じている。外国で暮らす数年間は、衣食住ともに足り、勤務時間外はあちこちに行って、かつて「地上の天国」と称された地で新しいものを見て感じることができるだろう。そして母国に帰ればお金は十分にあるし、自分の家でも建てよう、と考えるのだ。

 しかし、現実は違った。共同労働で出稼ぎに行く人々は、実質的に雇われた労働者であり、国内を自由に往来する自由などなかった。モスクワや他の都市に遊びに行きたければ、地方当局からビザを取得しなければならなかった。

 しかもこのビザは四半期に1度しか発行されない。工場の幹部は、「ビザという報酬」を掲げてベトナム人労働者たちが競って熱心に働くよう鼓舞した。

 質の高い製品を数多く製造した人は、ボーナスに加えてモスクワ行きのビザをより多い回数、しかも滞在期間も長く取得することができた。モスクワへ行くのは、観光や現地の人との交流、友人作りのためというだけでなく、家族に送るための買い物が最も重要な目的だ。

 長く続いた戦争が終わって数年の間は、ベトナムでは物資が不足し、さらに米国と同盟国によって禁輸が行われていた。そのため、あらゆる必需品や工業製品は配布により得るしかなかった。

 ベトナムでは、外国に出稼ぎに行っている親戚が送ってくれたものは、針や糸、石鹸、かみそりの刃から自転車やバイク、ラジオ、テレビ、冷蔵庫まで、どんなものでも貴重だった。こうした製品はモスクワや他の一部の都市でたくさん売られていたため、共同労働の人々でモスクワに行きたがらない人などいなかった。

前へ   1   2   3   次へ
[Zing 15:10 15/11/2019, A].  © Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
中古車・建機の解体業で豊かになった村 (27日)

 北部紅河デルタ地方ビンフック省イエンラック郡テーロー村(xa Te Lo, huyen Yen Lac)は、自動車や建設機械の解体業で豊かになった村として知られる。  この村で、中古の自動車やバイク、建機などを買い取り...

フエ:故チン・コン・ソンの名前を冠した学校が開校 (27日)

 北中部地方トゥアティエン・フエ省ナムドン郡人民委員会は24日、国民的音楽家である故チン・コン・ソン(Trinh Cong Son)氏の名前を冠した学校の開校式を開催した。式典にはソン氏の遺族や友人らが参加した。 ...

ホーチミン:市内初の「電子街」が10区に誕生 (27日)

 ホーチミン市10区7街区人民委員会は25日、市内初となる「ニャットタオ電子街(pho chuyen doanh dien tu Nhat Tao)」のお披露目式典を開催した。  電子街は、ニャットタオ(Nhat Tao)通り、ビンビエン(Vinh V...

10代で結婚、30代で孫の世話…連鎖する児童婚 (21日)

 他に人のいない家の中で、タオ・バン・ポーさん(男性・36歳)が子供をあやして泣き止ませようとしている。一見、ポーさんが自分の子供をあやしているのかと思いきや、実はこの子供はポーさんの「孫」だ。  ...

ベトナム共産党、序列4位の国会議長を解任 首脳部解任相次ぎ異例の事態 (26日)

 ベトナム共産党中央執行委員会は26日に臨時会議を開き、本人からの希望を受けて、ブオン・ディン・フエ氏の政治局員・党中央執行委員・国会議長としての職を解任することを決定した。  中央執行委員会は解...

アップル製品の生産拠点数、ベトナムが世界4位 東南ア最多 (26日)

 米アップル社(Apple)がサプライチェーンの多様化に注力している中、依然として中国が同社最大の生産拠点となっているが、ベトナムでも生産拠点数が大幅に増えており、主要生産拠点の1つになっていることが同社...

中国、南シナ海で3か月間の漁獲禁止を発表 ベトナム外務省が抗議 (26日)

 中国は、5月1日から約3か月間にわたり南シナ海での漁獲を禁止すると発表した。漁獲禁止が適用される範囲には、ベトナムが領有権を主張する南シナ海のホアンサ諸島(英名:パラセル諸島、中国名:西沙諸島)周辺海...

ハノイ:行政区再編計画を承認、ホアンキエム区の合併なし (26日)

 ハノイ市人民委員会は25日、2023~2025年の行政区再編計画を承認した。これにより、ホアンキエム区の合併はせず、郡レベル(郡・区・町=thi xa)の行政区の数を現在の30で据え置くことで一致した。  計画に...

授業料返還渋る英語学校エーパックス運営会社に56万円の罰金処分 (26日)

 国家証券委員会(SSC)は、情報公開規定に違反したとして、英語学校「エーパックス・リーダーズ(Apax Leaders)」を運営するエーパックス投資ホールディングス[IBC](Apax Holdings)に9

双日、地場SaaS企業のフィンベトに出資 (26日)

 双日株式会社(東京都千代田区)は、ベトナムで主流となっている家族経営を中心とした小規模小売店の受発注管理やキャッシュレス決済用のスマートフォンアプリなどを手掛けるSaaS企業のフィンベトテクノロジー(Fi...

三菱重工、ベトナム現地法人を設立 駐在員事務所の機能を大幅強化 (26日)

 三菱重工業株式会社(東京都千代田区)は、ベトナム現地法人「ベトナム三菱重工業(MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES VIETNAM)」を設立し、このほど本格活動を開始した。ハノイ市バーディン区に本社、ホーチミン市1区...

南北高速道路、カムラム~ビンハオ区間が開通 投資総額540億円 (26日)

 南北高速道路の東側路線建設工事の一部である南中部沿岸地方カインホア省カムラム~南中部沿岸地方ビントゥアン省ビンハオ(Cam Lam~Vinh Hao)区間が26日午前に開通した。  同区間は全長78kmで、官民パート...

国家ハラール認証センター設立、イスラム圏への輸出強化目指す (26日)

 科学技術省品質測定基準総局傘下の適合認証センター(Vietnam Certification Centre=QUACERT)は24日、国家ハラール認証センター(HALCERT)の設立発表式典を開催した。  ハラール認証は、「イスラム法の定め...

大同工業、ベトナム子会社を増資 生産体制整備 (26日)

 二輪車及び四輪車部品、産業機械部品などの製造・販売を手掛ける大同工業株式会社(石川県加賀市)は、同社が100%出資するベトナム子会社のD.I.Dベトナム(D.I.D Vietnam=DVN、北部紅河デルタ地方フンイエン省)...

半導体産業人材育成に1600億円投入へ、計画投資省報告 (26日)

 ファム・ミン・チン首相は24日にハノイ市で開催された「半導体産業人材育成に関する会議」で、半導体人材育成制度を整備し、優遇的かつ具体的な仕組み・政策を策定することを指導し、教育施設や実験室、製作所...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2024 All Rights Reserved