ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

映画「COME & GO カム・アンド・ゴー」日本公開、小野美由紀(作家)×リム・カーワイ(映画監督)対談

2021/11/21 10:30 JST配信

 リム)初めて行った時にやっぱりショックも受けて。面白いし、景色もとても綺麗。ロシアからシベリア鉄道にのって横断したんですけど、楽しくって。ロシア人も暖かくて良い人ばかりで。ロシアで映画を作りたいっていう気持ちは今でも変わってないですね。

小野)なるほど、私も場所の設定から物語が湧くことは多いです。最初に書いた小説が銭湯のシェアハウスの話で、そこに色んな人が居て…マレーシアと日本人のハーフの女の子とか、義足の男の子とか、自身のジェンダーに疑問を持つ若者とか、色んな人達が集まって暮らすという群像劇です。銭湯が好きで、大阪も結構ありますよね?

リム)僕も、銭湯好きですよ。天然温泉が大好きです。

小野)人との距離が近くて、都市の中にいるけど、他人との境界が崩れるような感じがあって。深く関わらないし、相手の名前もわからない。

リム)僕も、シェアハウスみたいなところにずっと住んでいて。そこにいると色んな人の関係が見えてきて面白い。

小野)「カム・アンド・ゴー」でも、個々の関係がそんなに深くならないじゃないですか。ネパール難民と日本語学校の先生以外は人間関係が希薄で、そんなに深く関わってないのに物語自体は濃密で、人間っていうものを実感したなと思える。

リム)みんな孤独ですよね。特に都会に生きると。小野さんと共通のテーマかもしれないですが、おっしゃる通り人間の関係って、距離感じゃないかと思うんですよね。その距離感というものは深入りしないことだと思いまして。

小野)深く入らないことを悪く描いてないですよね、カーワイ監督は。

リム)そうですね、一切否定してないですね。

小野)分かり合えないということも含めて描いている。

リム)それは当たり前じゃないかという気がしていて。

小野)それは分かる。マレーシアの人間関係と東京・日本の人間関係って違いますか?

リム)違いますね。例えば、ベトナムでもそうですけど、日本の場合は田舎に行っても、サービスを提供する側とされる側とはっきり境界線があるんですよね。でもマレーシアでは、注文をする時に「どこから来た?」とか色々聞かれて、関係は一気に崩れるんですよね。そういうコミュニケーションが日本には少ないですね。

小野)私、中国人の友人と一緒に中国の田舎に行った時、日本人差別が激しい町だったから「滞在中はあなた韓国人のふりしなさい」て言われて。初めての体験なので結構びっくりしました。ずっと韓国人のふりをしながら、ちょっと罪悪感を感じたりして、印象深い出来事ですね。

リム)中国の内陸部ですよね。僕も行ったことがあって、ショックを受けました。顔立ちとか服装とかで日本人と間違われて、店に入ってはいけないとか言われて。追い出されたんですよね。マレーシア人ですと言ったら、やっと入れてくれた。

小野)中国大陸の中でも場所によって価値観が全然違いますよね。「日本人お断り」とか看板があったりとかするとドキリとしますよね。日本に来ている外国人の方も、「差別されるかも」とこんな風な気持ちを味わいながら暮らしているのかな?と初めて想像しました。旅で感覚が変わることはよくありますよね。

リム)一度、外にでないと分からないことがいっぱいありますよね。いつから、旅をし始めたんですか?

小野)18歳からですね。大学入って初めてヨーロッパに行って、大学3年生の時にはお金を貯めてインドからポルトガルに行って、そこからアルゼンチンに飛んで南米を回り帰ってきたんですけど。国境を越えるだけで景色が変わり文化も違うというのが、本当に面白いなと思いました。

リム)僕もずっと旅をしたかったんですけど、なかなか出来なくて。やっと30代になって全て諦めてからバックパッカーになった。

小野)諦めるってなんですか?会社を辞めるってこと?

リム)会社を辞めて、学生もやめて。フリーになって、遅れてきたバックパッカーなんですね。一回体験してしまうと嵌って、もう二度と普通の生活に戻れない。でも旅で出会う人ってみんな若い。自分が一番年寄りじゃないかな? 気づいたことがあって…小野さんが世界一周したのはいつ頃ですか?

小野)15年ぐらい前ですよ。

リム)当時は、まだ日本人の若者が結構多かったでしょ?

小野)ああそうだったかも。

リム)今びっくりするほど、日本人が居ないですよ。日本の若者は海外に行くことに、あまり興味がないですね。

小野)そうなんだ、意外。LCCとか、安くなってるのに!

リム)いつも出会うのは、だいたい韓国人と台湾人です。中国人も個人旅行が増えてきたんですけど。あまり日本の若い人に出会わないですね。

小野)それは残念ですね。やっぱり海外に行くことで一回客観的に自分の国とか自分自身を見ることが出来るというのはありますよね。

リム)本当に客観的に日本を見れない若者が増えてきたんじゃないかという気がします。そして彼らもこの「カム・アンド・ゴー」に描かれている世界、外国人が働いているのに気づいていても、ベトナムの人やミャンマーの人に興味がない。そういう感覚は日本にあるんじゃないかと思います。海外に興味がないだけでなく、日本にいる海外の人たちにも興味がない。

小野)興味がないというより、境目も感じていないって気もしますね。当たり前の存在になってしまっているから、興味をもつきっかけすらないんじゃないかなと。日本に外国人がすごく増えて。

リム)でも同じ空間に暮らしていて、同じように生きているわけですから、彼らのことに関心を持って欲しいですね。

小野)でも私は、若い人は内向きかもしれないけど、その環境で生きているのが当たり前だから、彼らが大人になってくれば少しは変わってくるのではないかって思うんですけどね。


――――――――――
映画「COME & GO カム・アンド・ゴー」は11月19日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、12月3日(金)よりテアトル梅田、12月4日(土)よりシネ・ヌーヴォ、12月10日(金)より京都シネマ、12月25日(土)より名古屋シネマスコーレほか全国順次公開。

ウェブサイト:https://www.reallylikefilms.com/comeandgo

前へ   1   2   次へ
[2021年11月20日 ベトジョーニュース A].  © Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
党大会後初外遊のラム書記長、ラオスでトンルン書記長と会談 (6日)

 トー・ラム書記長とファム・ミン・チン首相、チャン・タイン・マン国会議長は、ラオスを同時訪問した。ラム書記長は首都ビエンチャンで5日、トンルン・シースリット国家主席 兼 ラオス人民革命党中央委員会書記...

ベトジェットエア、「アジア太平洋航空金融センター」設立を発表 (6日)

 国内最大手の格安航空会社(LCC)ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)とホーチミン市ベトナム国際金融センター(VIFCホーチミン=VIFC-HCMC)の運営機関はこのほど、「シンガポール・エ

日本でベトナム語能力検定試験を実施へ、ハノイ師範大学 (6日)

 ハノイ市のハノイ師範大学はこのほど、日本でのベトナム語能力検定試験とベトナム語能力証明書の発行について、日越経済協力促進協会(VJECPA)と提携して実施することに関する決定を同協会に手渡した。  決...

ホイアンの土産物、竹根彫刻の「生みの親」を訪ねて (1日)

 南中部地方ダナン市(旧クアンナム省)のホイアン旧市街のバクダン(Bach Dang)通りにある小さな店の前で、多くの観光客が足を止める。人々は、職人のフイン・フオン・ドーさんの巧みな手によって、無機質な竹の根...

ハノイ:技術取引所とデジタル転換市場を開設 (6日)

 ハノイ市科学技術局は3日、ハノイ技術取引所(HanoTEX)とデジタル転換市場(DTMarket)を立ち上げた。これは、実効性を重視した科学技術市場の構築を目的としたもので、技術を経済社会の価値創出に結び付ける取り...

韓国語能力試験を大学入試に活用可能に、香港に続く2例目 (6日)

 韓国教育省傘下の国立国際教育院は3日、ベトナムで2026年から韓国語能力試験(TOPIK)の成績を大学入学に必要な外国語科目の点数として活用できるようになったと発表した。  ベトナム教育訓練省が1月12日に決...

輸入混乱で食品安全の新規定を一時停止、4月15日まで旧規定適用 (6日)

 政府は4日、決議第9号/2026/NQ-CPを公布し、食品安全法をガイダンスする1月26日付けの政令第46号/2026/ND-CP(即日施行)、および食品製品の公表・登録を規定する1月27日付けの決議第66.13号/2026/NQ-CP(即日施行...

ラム書記長特使として訪中のチュン外相、習国家主席と会見 (6日)

 トー・ラム書記長の特使として中国を訪問したレ・ホアイ・チュン外相は4日、習近平(シー・ジンピン)総書記 兼 国家主席と会見した。  習国家主席は、1月に開かれた第14回ベトナム共産党全国大会の成功と、...

ベトテル、シンガポールに駐在員事務所を開設 (6日)

 国防省傘下のベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)は4日、シンガポールに駐在員事務所を開設した。  同事務所は、デジタルインフラ連携や国家規模のデジタルトランスフォーメーション(DX)展開...

ハノイ~クアンニン間高速鉄道、ビンスピードが投資主に (6日)

 東北部地方クアンニン省人民委員会はこのほど、ハノイ~クアンニン間高速鉄道プロジェクトの投資方針を承認した。投資主として、不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC]

ホーチミン:メトロ1号線、テト2日間は運賃無料に (6日)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社(HURC1)は、テト(旧正月)に合わせて、新暦2月16日と17日(旧暦12月29日と1月1日)の2日間、同路線を無料で運...

ダナン:ドラゴン橋、テトに10夜連続で噴水・ファイヤーショー (6日)

 ダナン市人民委員会は、2026年のテト(旧正月)期間中のロン橋(ドラゴン橋=ドラゴンブリッジ)の噴水・ファイヤーショーおよびハン川橋の旋回スケジュールを発表した。  新暦2月13日から22日まで(旧暦12月26...

APACの26年旧正月旅行動向、人気旅行先にベトナム3都市 (6日)

 世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム(Booking.com)」は、アジア太平洋(APAC)地域における2026年の旧正月の大型連休の旅行動向を発表した。  同ランキングは、2026年1月6日から1月13日まで...

ホーチミン:旧正月ブックストリートフェス、2月15日から開催 (6日)

 ホーチミン市人民委員会は、テト(旧正月)を祝うイベントの一環として、「ブックストリートフェスティバル2026」の開催計画を発表した。今年は「春の集い、着実な前進」をテーマに開催する。同イベントは2月15日...

外国人の海外ブローカー経由取引を容認、国内証券口座の開設不要に (5日)

 財政省は3日、証券取引や情報開示などの規定を改正する通達第8号/2026/TT-BTCを公布した。外国人投資家の参入を容易にし、2026年9月のFTSEラッセル新興国指数への組み入れによる海外資金の流入拡大を狙う。通達...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2026 All Rights Reserved