ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ベトナムの法律事情(2):改正住宅法/建設中の不動産に投資するには?

2015/09/05 06:00 JST配信

 皆さん、こんにちは。インドシナ・リーガル(IndochinaLegal)のロマーリョ(Lomaglio)です。

 今回は、前回の「外国人向け住宅用不動産」に引き続き、「建設中の不動産に投資するには?」をテーマとして、改正住宅法について解説していきたいと思います。

過熱するベトナム不動産市場

 ベトナムの不動産市場は、今年から回復の兆しを見せています。特にホーチミン市ハノイ市では新たな不動産プロジェクトが目白押しで、不動産ディベロッパーは建設中の不動産を有利な条件で積極的に売り出しています。

 2014年11月に国会で可決された改正住宅法第66号/2014/QH-13により、今年7月1日以降、外国人のベトナムにおける不動産投資の条件が大幅に緩和されました。不動産市場が海外投資向けに開放されている中、建設中の不動産に投資するにはどうすればよいのでしょうか。以下、注意すべき点を見てみましょう。

(改正住宅法の詳細は、前回の記事「ベトナムの法律事情(1):改正住宅法/外国人向け住宅用不動産」をご参照下さい。)

注意すべき点(1):選定条件

 まず、売り手は、不動産プロジェクトの投資家でなければなりません。また、売り手は以下の書類が必要です。

・土地使用権証明書
・プロジェクトの許可書
・建築設計に関する所管官庁の承認書類
・建設許可書(必要に応じて)
・プロジェクトのスケジュールに応じたインフラ施設の完成検査と承認に関する書類

 また、該当する不動産が住宅とその他用途の複合施設であれば、「基礎工事の完成検査と承認に関する書類」が追加で必要になります。

 該当する不動産が分譲マンションや戸建て住宅の場合、追加条件として「海外投資家向け不動産としての適格性に関する所管官庁の承認書類」「所管官庁による土地収用の承認や住宅除去・取り壊しの告知がないこと」「これまでに住宅ローンがないこと(そうでない場合は、買い手と金融機関の間に別段の合意があること)」が必要になります。

注意すべき点(2):取り引きの条件

支払い条件
 最初の割賦は全額の30%を超えてはなりません。また2回目の割賦はプロジェクトのスケジュールに応じて決まります。売り手が外資系企業の場合、2回目の割賦は全額の50%を超えてはなりません。

 いかなる場合でも、売り手は土地使用権証明書と家屋所有権証明書の発行前に販売価格の95%を超える額を徴収してはなりません。また、いかなる状況においても、不動産のハンドオーバー及び土地使用権証明書と家屋所有権証明書の発行前に支払いを完了させてはなりません。

銀行保証
 分譲マンションや戸建て住宅の建設が工期までに完了しない場合、売り手は買い手が事前に支払った額の返済を確保するため、銀行保証を提供する必要があります。これについて、ベトナム国家銀行(中央銀行)は先日、銀行保証を提供できる銀行のリストを発表しています。

公正証書
 売り手が家族もしくは個人で不動産業に従事しており、それが小規模でビジネス登録を必要としない場合、契約は公証人によって起草されなければなりません。

譲渡契約
 買い手は、建設中の不動産の売買契約書を譲渡できます。売り手は譲渡において、追加料金を請求することができません。

不動産市場の回復

 専門家は、今年からベトナムの不動産市場が回復すると見ています。この回復は、海外投資向けの不動産投資に関する改正投資法に強く表れています。これは、より多くのディベロッパーが建設中の不動産を売り出すことを期待するものです。

 取り引きの安全性を保証するため、改正投資法では色々な条件を規定しています。手続きの詳細については施行細則を待つ必要がありますので、建設中の不動産へ投資する場合、最新の規定にご注意下さい。

著者紹介
Florence Lomaglio (フローレンス・ロマーリョ)

 現職Indochina Legal HCM事務所シニアアソシエイト弁護士。
スイス弁護士資格取得。
主にM&A、国際商取引契約、不動産関連の経験が豊富。
ベトナムヨーロッパ商工会議所グリーン成長委員会副会長、ベトナムスイス商工会の理事を務める。
3年間の日本駐在を経験しており、英語・フランス語に加え、日本語も話す。


【Indochina Legal事務所概要】
・ベトナム関連業務を20年実施後、2007年に事務所設立
・ホーチミン及びハノイに事務所
・主な実績:商業、税務、M&A、建設、仲裁、保険
・産業:インフラ関連、不動産、製造業、サービス、流通、保険など。

ベトナムの法律事情
その他の記事はこちら>
[2015年9月5日 ベトジョーコラム A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
世界とアジアのベストホテル、ベトナムから多数選出 (10日)

 世界最大の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー(Tripadvisor)」は、トラベラーズチョイスアワードの「ベスト・オブ・ザ・ベスト・ホテルズ」2025年版を発表した。  これは、2024年1月1日から12月31...

世界のステーキ店ベスト101、ハノイのヒバナ・バイ・光輝が選出 (10日)

 ステーキレストランの世界ランキングを発表している「WORLD’S 101 BEST STEAK RESTAURANT」の2025年版で、ハノイ市の「ヒバナ・バイ・光輝(Hibana by Koki)」が54位に選出された。ベトナム

第13回越米国防政策対話、外交関係樹立30周年 (9日)

 ホアン・スアン・チエン国防次官と米国防総省インド太平洋安全保障担当のジョン・ノー国防次官補は8日、ベトナムと米国の13回目の国防政策対話を行った。両国は2025年で外交関係樹立30周年を迎える。  チエ...

世界のベトナム人街を訪ねて【ロンドン編】 (4日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。)  ロンドン:歌謡曲でムードたっぷり、街角カフェでベトナムコーヒーを1杯  国外に住むベトナム人、いわゆる越僑は、2024年末時点で世界130

ベトナムとアゼルバイジャン、戦略的パートナーシップに関係格上げ (9日)

 アゼルバイジャンを公式訪問したトー・ラム書記長は、同国の首都バクーで現地時間7日午後にイルハム・アリエフ大統領と会談した。1992年の外交関係樹立以来、ベトナム共産党書記長がアゼルバイジャンを訪問した...

ペトロリメックス社長、政府資本代表者の職務を一時停止 (9日)

 財政省は、石油・ガソリン小売最大手ペトロリメックス[PLX](Petrolimex)のダオ・ナム・ハイ社長について、政府資本代表者の職務を一時停止することを決定した。  

THACO、クアンナム省の自動車機械工業団地を拡張へ (9日)

 南中部沿岸地方クアンナム省人民委員会はこのほど、同省のチューライ・チュオンハイ拡張自動車機械工業団地のインフラ整備案件に関する投資方針を承認した。  投資主は、地場系コングロマリット(複合企業)...

タンソンニャット国際空港、開業間もない新ターミナルで雨漏り (9日)

 ホーチミン市タンソンニャット国際空港の第3旅客ターミナル(T3)で7日、雨漏りが発生した。投資総額11兆VND(約610億円)をかけて建設され、開業から1か月も経っていない新ターミナルでの出来事だった。  7日...

マングデン空港とバンフォン空港を全国空港開発計画に追加へ (9日)

 チャン・ホン・ハー副首相はこのほど、南中部高原地方コントゥム省で建設が計画されているマングデン空港と、南中部沿岸地方カインホア省のバンフォン経済区で建設が計画されているバンフォン空港を、「2050年...

ベトナム航空、アディエンと決済パートナーシップを拡大 (9日)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)はこのほど、オランダに本社を置き、決済プラットフォームを提供するアディエン(Adyen)との決済パートナーシップを拡大した。

ジエン商工相が主要企業と会合、米国との購買合意実施を加速へ (9日)

 相互関税への対応の一環として、米国側との交渉を担当するベトナム政府交渉団の団長を務めるグエン・ホン・ジエン商工相は7日、企業と会合を行い、米国との合意の実施促進について協議した。  会合に招へい...

ベトナム航空、インド・パキスタン衝突で欧州路線の飛行ルート変更 (9日)

 インドとパキスタンの衝突を受け、ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、ベトナムと欧州を結ぶフライトの運行計画と飛行ルートの変更を発表した。  7日には、以

ホイアン:海岸で発見の古い木造船、数百年前に建造か (9日)

 南中部沿岸地方クアンナム省ホイアン市の海岸で2023年12月に発見された古い木造船は、数百年前に建造された古代船とみられている。同省文化スポーツ観光局は7日、木造船発見現場の監視と保護を関係機関に要請し...

地場企業、レイヤー1ブロックチェーンネットワークを開発へ (9日)

 地場ワンマトリックス(1Matrix)は6日、ベトナム人が設計・運営する国産のレイヤー1ブロックチェーンネットワークを開発・運営する計画を発表した。  同社は、企業や官民向けに包括的なブロックチェーンソリ...

村田製作所の生産子会社、ドンナイ省で新生産棟を着工 (9日)

 株式会社村田製作所(京都府長岡京市)の生産子会社であるムラタ・マニュファクチャリング・ベトナム・ホーチミンプラント(Murata Manufacturing Vietnam Co., Ltd. Ho Chi Minh Plant)は、新生産棟の建設を開始...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved