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ベトナム会計税務事情(3):不正対策、監査だけで十分?

2015/10/10 06:00 JST配信

不正への対処は監査だけでいいのか

 「監査法人の監査を受けており、何も指摘がないので、弊社で不正はないはずです」。

 極端ですが、このようなことをおっしゃる方もおりますが、この認識は変えるべきです。理由は上記にも説明した通り、監査はあくまでサンプルチェックするのみで、全く確認しない取引も数多くあるためです。その確認していない取引が、実は架空の取引だった、といったことも往々にして考えられます。よって、不正に対する調査は別で行う必要があります。

 工場が稼動していない日曜日に出社した従業員がいる、在庫の棚卸しをしたら帳簿と実量にズレがあった、聞いたことのない会社と取引が開始されていた、不透明な支出がある、といった場合、不正の兆候があるといえます。

 ベトナム人労働者によくある不正は少額資産の窃盗です。月200USD(約2万4000円)程度で働いている彼らにとっては1USD(約120円)で売れるものも良い収入源となります。小さな部品やちょっとした現金を盗まれ、気付いたときには数百万以上の単位で会社に損害が出ている、といったケースは少なくありません。

 何か怪しいと感じた場合は、専門家に不正調査を行ってもらうことがベストな選択になります。弊社の様に、日本の公認不正検査士(公認会計士ではありません。ややこしいですね。)という資格を保持した専門家を揃えている会計事務所も少なくありません。お気軽にご相談ください。

 と、最後は営業のような形で終わってしまいましたが、ベトナム(特に工業団地等で廉価な労働者を大多数雇用している会社)での不正行為は予想以上に日常茶飯事であるという認識を持って頂き、そのアンテナを強く張って頂ければと思います。次回以降でどんな時に不正行為の疑惑があるか、またその対策等も述べていく予定です。

(参考)会計監査と税務調査は別物

 たまに会計監査と税務調査を混同しているお客様もいらっしゃいますので、その違いも参考までに述べさせて頂きます。ベトナムで外資系企業の経営者であれば嫌でもこの2つはよく耳にされているかと思います。どちらも部外者がオフィスにズカズカとやってきて、会議室を長期間に渡り独占し、会社の機密書類をくまなくチェックされるという意味で、あまり好きになれないのが一般的な感覚かと思います。この感覚的な意味では両者は同じように見えますが、以下の点で大きく異なります。

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著者紹介
尾崎 士朗 (おざき しろう) 公認会計士

SCS Global Consulting (Vietnam) Co., Ltd.  ホーチミン代表

神奈川県鎌倉市出身。大学卒業後、KPMG Japanに入社。
2014年よりSCS Global Vietnamに参画し、主に日系企業の会計、税務、監査に関するサービスを提供している。プライベートでは学生時代にやっていたバスケットボールを続けており、ホーチミン市バスケチームにも所属している。

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