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【第41回】ベトナムEC 5つのトレンド

2017/12/01 06:30 ICT配信

ベトナムのEC(eコマース=電子商取引)市場は、前年比で約4割の成長を遂げています。小売全体市場の成長が前年比約10%増ですので、ECはより大きな成長を果たしていることになります。当社では毎年ベトナムのEC市場の動向を調査しているのですが、今回のコラムでは、2017年のベトナムECについて5つのトレンドを紹介したいと思います。本調査は、ホーチミン・ハノイ在住の18~39歳の男女966名を対象に行いました。

1 モバイルアプリからの利用の増加

元々ベトナムではスマートフォンからのEC利用が増えていましたが、昨年と比べるとモバイルアプリの利用率が高くなっています。 スマホアプリからのECは2016年の40%から52%へと上昇 しています。

最初はモバイルのブラウザから注文をしていた人が、その頻度が増え、ショップへの信頼が高まるにつれてアプリへと移行しています。

2 激しくなる価格競争

ECの利用率は高まっていますが、その利用促進を牽引しているのは「価格」です。実際、ECを利用する理由のうち 「価格」と回答する人は51%と昨年の27%から大幅に上昇 しています。一方でEC事業者側は、市場拡大及び競合差異のため積極的な価格及びプロモーションを仕掛けてきており、結果として利益確保という点では事業者側は苦しんでいるのが現状です。

3 東南アジアのECサービス「Shopee」の人気上昇

人気のECショップについては、アリババ傘下となった「 Lazada(ラザダ) 」が圧倒的な人気を集めています。一方で東南アジアのECサービス「 Shopee(ショッピー) 」が、特にファッションや美容製品の分野で飛躍的な人気を集めています。特に女性からの支持が高く、例えば ファッション分野について男性の9%がShopeeを挙げているのに対して、女性は19% と非常に高い数値になっています。

また、大手だけでなく、多くの中小企業や個人事業者がEC事業を行うようになっています。ECで物を販売するための簡易ITパッケージの利用の普及や、後述するFacebook(フェイスブック)によるEC販売などにより多くの中小サイトが登場してきています。

4 広がるソーシャルコマース

ソーシャルコマース(FacebookやZalo(ザロ)などを利用したECサービス)の利用が一層進んでいる点も特長として取り上げたいと思います。 ECを利用している人の66%がソーシャルコマースを利用 しており、これは昨年の47%から大きく飛躍しています。

ベトナムの人々は1日数時間ソーシャルネットワークを利用しており、友人や知人のシェアや企業からの広告などから商品の購買に自然に遷移するようです。特にファッション・美容の分野で人気があり、通常のECと比べると、EC管理者とのやりとりを含め「より楽しい」と感じている人が多いようです。

5 未だに続く現金支払いと高いキャンセル率

昨年と比べると、「配達スピード」や「品揃え」など多くの点で消費者満足度が上昇している一方で、ベトナムECの問題点の一つである「キャンセル率」については改善の兆しが見られません。

実際、ベトナムECユーザのうち 36%がキャンセル経験があります 。驚くべきがその理由で、最も多い理由は「気分が変わったから(33%)」というものです。ベトナムではECにおいても現金代引きが主流を占めており、88%の人が現金代引きを主要な支払い方法として利用しています。そのため、商品が手元に届くまでの間に、他に良い商品を見つけたりすることがよくあるようです。

更なる成長への課題は決済と物流

ベトナムの消費者は、特に都市部においてはECで購入をすることに対して全く抵抗感のない人が増えてきているように感じます。一方で、 現在のベトナムのEC率は2%以下 と、15%まで成長している中国や、米国(11%)、日本(7%)と比較しても低い割合にとどまっています。

更なるEC成長のための障壁は物流と決済ではないかと感じます。現在ベトナムのECの利用はほぼ都市部を中心に行われており、これがベトナム全土で広がるためには物流網の改善が必須です。また、中国でECがここまで急成長を遂げたのはスマホ決済などの充実が挙げられ、ベトナムにおいても同様のテクノロジーが普及すると、事業者側のオペレーション及び利益率の改善、中小企業を中心としたより多くの事業者の参入などにより、市場はより活気を帯びるのではないかと思われます。

2020年には、ベトナムEC市場は2015年比で倍増すると考えられています。物流・決済の充実が健全で機会の大きな市場を生成するのではないでしょうか。

著者紹介
株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。
NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。
2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス
「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中


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