ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
RSS
Login
 ようこそ ゲスト様 
VietJo ID

【第3回】「赤ちゃん時代」から考えよう

2018/10/26 09:45 JST配信

「赤ちゃん」というイメージを根底から覆す研究が次々と進んでいます。脳科学、心理学、神経科学、発達学、赤ちゃん学など、最近は生まれて間もないヨチヨチ歩きの頃の赤ちゃんが一番学習能力があるのではないかと言われ始めています。

日本の保育園はこれまで、まだ自分では何もできない赤ちゃんを「養護する」という面しか捉えていませんでした。赤ちゃんも次第に首を回せるようになり、姿勢を変えたり、前に後ろに動き始めると、自ら周りにあるものに手を伸ばし、近づいていきます。日の光がゆらゆら揺れれば、そちらに目を移し追いかけ、雨の音が聞こえれば、聞き入る仕草を見せます。彼らにとって未知の世界の不思議さに導かれるように色々なものに興味を示します。興味のあるものに没頭し、何度でも繰り返し、試そうとする赤ちゃんの姿は、まさに小さな科学者を連想させます。

赤ちゃんが自らやろうとすることが、かなり多いことに気づかされます。子どもにとって「遊び」は学習ですが、乳児は自ら遊べないから「保護者、保育者が遊びを提供する」といった捉え方も多くありました。抵抗力が弱く、幼い存在、何もできない赤ちゃんを守るという感覚でしょうか。ところが生まれた時から生きるための学習はすでに始まっているのです。肺呼吸をし、おっぱいを飲み、眠り、泣き、目が見えるようになれば人や物を目で追う、相手をして欲しい人を見分けるなど、赤ちゃんはすでに生きようとする力を備えているのです。ひたすら守る存在ではなく、赤ちゃんも一人の人間として生きていくための力を伸ばしてあげられるような関わり方が求められます。

関わってくれる人、つまりその成長過程において重要になるのが、いつもそばにいてくれる身近な人の存在です。赤ちゃんが今何を求め、何をしたいのか、どうありたいのか。丁寧に赤ちゃんの気持ちを汲み取りながら関わっていくことがこの時期の関わり方として大事なポイントです。やがて成長して、「自分は生まれてきて良かった」「ここに居ていい存在」と感じられることが生きる力の土台です。

居心地の良い場所、自分を愛してくれる人が近くにいるという理解がその気持ちを育てます。傍で、遠すぎず、近すぎず、自立の方向へと手を差し伸べてくれる人がいることで、喜びや嬉しさは増大します。発見、驚きを表現した時に、一緒に共感してくれる人の存在は欠かせません。それは親であり、保育者であり、いつも出会う近所のおばさんかもしれません。やがてそれは友人となり、自分の伴侶になっていくのでしょう。相手の存在を受け入れるということは、赤ちゃんの時代から基盤が作られているのです。

生まれた時から私たち人間は自分で生きようとしていることに、人間の力の神秘性を感じます。身近にいる人の存在を意識していることに感動します。

これから先の時代、人工知能がさらに発展していく中を生きていく今の子どもたちです。私たち大人は子どもたちに、「人間らしく成長する」ことを願いながら、具体的にどのように関わっていったら良いのでしょうか。教育に携わる自分としては、非常に深刻な課題です。

次回は、子どもの未来を考えて、今どんな力をつけたら良いのかを考えます。

<参考・引用文献>

無藤隆(2018)『幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿』東洋館出版.

著者紹介
多々内三恵子
おおぞら日本人幼稚園理事長・園長。

タオディエン日本人幼稚園園長。

静岡大学教育学部附属幼稚園・青山学院幼稚園教諭を経てホーチミンで日系幼稚園を開園。

日本の保育を真摯に、かつユニークに展開中。

子どもの世界の面白さを語ったら止まらない。

>> おおぞら日本人幼稚園ウェブサイト

>> タオディエン日本人幼稚園フェイスブックページ
子育て奮闘中のパパママにエール!
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースと自社過去記事を参考に記事を編集・制作しています   利用規約   免責事項
新着ニュース一覧
中国の南シナ海での一方的な漁獲禁止令にベトナムが反発 (16:00)

 中国が南シナ海の一部海域を対象に5月1日から8月16日まで漁獲禁止令を一方的に発布したことを受け、ベトナム外務省は5日、中国に対してベトナム漁民の合法的な操業の権利を尊重するよう要求した。  中国の...

ホーチミン市命名50周年、100件超の案件を着工・完了へ (15:01)

 「サイゴン・ザーディン市」が「ホーチミン市」へと市名を変更した1976年7月2日から、2026年7月2日で50周年を迎える。この節目となる日に向け、同市は一連のインフラおよび社会福祉プロジェクトを推進しており...

住所不在の税滞納者、100万VND以上で出国停止も 財政省提案 (14:59)

 財政省は、税務管理法のガイダンス政令草案において、登記上の住所で活動していない納税者が100万VND(約6000円)以上の税金を滞納した場合、出国を一時停止する措置を提案している。 提案の背景と現状  ...

フランス人が建設した築140年の給水塔とサイゴンの水道史 (3日)

 ホーチミン市の中心部には、築140年以上の給水塔が今も存在している。この建築物は、19世紀末にフランス人によって建設された最初の給水システムの一部で、都市形成の初期からサイゴンの人々に水を供給する上で...

地場フンティン、中国SANYの電動トラック正規代理店に (14:03)

 地場のトラック販売会社であるフンティン輸出入採掘会社(Hung Thinh Mining And Import Export、ブランド名:フンティンEVトラック=Hung Thinh EV Truck)はこのほど、ハノイ市にある国際会議センター「ビンパ...

ダナン:武装部隊の前身、ブーフン遊撃隊の記念施設が落成 (13:58)

 南中部地方ダナン市ヌイタイン村サムリンタイ村落(thon Sam Linh Tay, xa Nui Thanh)で4日、同市共産党委員会および同市軍事司令部の主催により、ダナン市武装部隊の前身であるブーフン遊撃隊の発足地を記念す...

国内線航空券価格が+15~20%高騰、中東の燃料危機で (6:53)

 中東情勢の緊迫化に伴う燃料不足を受け、全国の20以上の空港を管理・運営するベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietnam)は、運航コスト増の補填として国内線の航空券価

PVオイル、5月15日からE10ガソリンを全国で販売 (6:42)

 ペトロベトナムグループ(Petrovietnam=PVN)傘下のPVオイル[OIL](PV Oil)は、5月15日から全国の店舗でガソリンエンジン用「E10ガソリン」(バイオエタノール10%混合ガソリン)を販売

クイニョンで発見された戦車の残骸、内部から弾薬や骨の破片も発見 (5:10)

 南中部地方ザライ省軍事指揮部は4日、クイニョン街区(旧ビンディン省)のクイニョンビーチで引き揚げられた戦車の残骸について、破損が激しく展示に向けた復元は不可能だと明らかにした。引き揚げ作業の際には、...

カインホア省開発計画承認、50年までに中央直轄市へ (5:05)

 ファム・ザー・トゥック副首相はこのほど、2075年までを視野に入れた2050年までの南中部地方カインホア省開発計画を承認する首相決定第757号/QD-TTgに代行署名した。  目標として、同省を現代的でスマート...

大家による電気代過剰請求に最大18万円の罰金、5月施行の新政令 (4:24)

 政府はこのほど、不動産大家が借家人から国の規定を超える生活用電力の小売価格で電気代を徴収した場合、2000万~3000万VND(約12万~18万円)の罰金を科す新たな政令を公布した。  この規定は5月25日から施...

26年4月の新規設立企業2万0395社、前年同月比+33.9%増 (4:02)

 財政省傘下統計局(NSO)が発表したデータによると、2026年4月に全国で新規設立された企業は前月比▲7.1%減、前年同月比+33.9%増の2万0395社、登録資本金の合計は前年同月比+84.6%増の246兆7580億VND(約1兆4700...

26年4月CPI上昇、燃料高でガス・外食・建設資材高 (3:47)

 財政省傘下統計局(NSO)の発表によると、2026年4月の全国消費者物価指数(CPI)は前月比+0.84%上昇、前年同月比では+5.46%上昇した。1~4月期の上昇率は前年同期比+3.99%だった。  4月のCPIが前月比で上昇...

26年4月製造業PMI、7か月ぶり低水準 コスト高で新規受注が減少 (2:41)

 米国のS&Pグローバル(S&P Global)が発表した2026年4月のベトナム・PMI(製造業購買担当者指数)は50.5となり、前月の51.2から低下して7か月ぶりの低水準となった。  好不況の分かれ目となる50を上回る水準を...

26年1~4月期FDI認可額+32%増、実行額も高水準 (5日)

 財政省傘下海外投資局(FIA)が発表した海外直接投資(FDI)に関するデータによると、2026年1~4月期のFDI認可額は前年同期比+32.0%増の182億4000万USD(約2兆8600億円)だった。  また、同期のFDI実行額(推定値...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2026 All Rights Reserved