ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

第2回 ホーチミンに残る”小さな農村”で見つけた豊かな暮らし

2019/10/07 10:15 JST配信

みなさん、こんにちは。 ICONIC のHan(ハン)です。コラム 「【日本人が知らない】ディープなベトナム案内」 では、ベトナムでの旅行やグルメ・文化・ショッピング・その他おもしろ情報を発信していきます。

今回はお読みいただく前に、1つ質問したいことがあります。

「みなさんはホーチミン市について、どんな印象を持っていますか?」

おそらく、「賑やか」「発展している」「交通渋滞がすごい」といった回答が出ると思いますが、一見騒がしい印象のホーチミン市にも、実は穏やかな暮らしが営まれている “小さな農村” が存在しています。メコンデルタのように視界には川や水田、畑が広がり、そこでは人々は自給自足の生活を楽しんでいるのです。

現在、そういった農村はホーチミン市の急速な発展とともに失われつつあります。今回私がそれらを紹介することをきっかけに、ぜひみなさんにも興味をもっていただければと思います。

ビンタイン区の孤島、タインダー

まずは、ホーチミン1区からほど近いビンタイン区にある タインダー(Thanh Da)地区 を紹介します。タインダーは周りをサイゴン川に囲まれており、中心地から切り離された孤島のようです。

引用: zing

タインダーへは、 ビンクオイ(Binh Quoi)通り という狭くて長い道を進むとたどり着けます。奥地には古い家々が並んでおり、壊れたような外観の住居、廃墟となった家屋、建設途中の建物もあります。これらはすべて、ホーチミン市計画投資局のインフラ整備のプロジェクトによって管理されています。

引用: REDSVN

住民は広い土地を活用して稲を植えたり、家畜を育てたり、池で魚を飼ったりとのどかに暮らしています。そうした景観の先に近代的なビルが見えると、全く違う2つの世界の間に立っているような、不思議な感覚になります。

引用: REDSVN

都市化に迫られる田園地帯

また、同じタインダーの2区にほど近い農村では、およそ20世帯が生活をしています。サイゴン川から引いた水で稲作をしており、広大な田園風景が広がっています。

引用:THANH NIEN

先代から継いだという水田は、都市化の影響で縮小してしまったようですが、それでもホーチミン市内とは思えない見事な景観です。ここでは住民が自給自足の生活を営み、自分たちで育てた米や野菜、家畜や魚を食べる豊かさを味わっているようです。

その一方で、もし今後、市のプロジェクトによって水田を取り上げられた場合、賠償金は支払われるのか、またいくらもらえるのか…といった不安を抱えながら生活する住民も多いようです。

サイゴンのオアシス、ゴー村の暮らし

ホーチミン郊外の ビンチャイン県 には、“サイゴンのオアシス”と呼ばれるとても小さな農村 ゴー村(Xom Go) があります。

数十世帯が暮らしており、家畜や魚、野菜を育てて生計を立てています。ゴー村に50年以上暮らしている住民によると、昔は道路や橋もなく、電気や水も引いていない状態だったとか。また、近所を行き来するにも船が必要で、子供の頃は遊びに行けず寂しい思いをしたそうです。5~6年ほど前に小さな橋が架かったことで、交通の便も良くなりました。

引用: THANH NIEN

村の畑は浸水しているため、通常の作物は育ちません。そこで ボンボン(Bon Bon) というベトナムの特産野菜を植えています。全長2メートルにも及ぶ巨大サイズで、浸水した畑でもしっかりと育ちます。根の部分を塩漬けにして食べると美味しいです。

引用: Doanh Nhân Sài Gòn

裕福には見えない暮らしぶりですが、彼らは昔から変わらず自然に囲まれて、自給自足の生活を送るという充実した毎日を過ごしており、村を離れて都市で暮らそうという気は全くないそうです。

以上、ホーチミン市内にある小さな農村について紹介しました。急速な都市化が進むホーチミンでも、こうした穏やかな暮らしは今も残っています。都会に住み、 田舎暮らしに触れる機会が少ない市民にとって、小さな農村の存在は、貴重な財産になるはずです 。私もいつか、こうした所に家を建てて、野菜を植えて、鶏を飼って自然に囲まれながら、シンプルな暮らしをするのが夢です。

著者紹介
ICONICベトナム
ベトナムで転職実績No.1を誇るICONICです。ベトナムでの転職支援・求人紹介を行っています。ベトナムの生活情報をお届けするブログも運営しており、ベトナム旅行、ベトナム料理、文化、ショッピング、その他おもしろ情報を発信中!生活に役立つ情報を現地からお届けします。

>> ベトナムでの転職・求人ならiconicJob

>> 海外転職・アジア生活ブログ
【日本人が知らない】ディープなベトナム案内
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
デジタル技術産業法を可決、デジタル資産とAIの法的根拠を制度化 (18:59)

 国会は14日、デジタル技術産業法を賛成多数で可決した。同法は2026年1月1日に施行される。これにより、デジタル資産と人工知能(AI)に関する法的根拠が初めて制度化された。  同法の対象となるデジタル資産...

国会、改正特別消費税法を可決 加糖飲料も対象に (17:54)

 国会は、改正特別消費税法を賛成多数で可決した。同法は2026年1月1日に施行される。  同法によると、加糖飲料については、ベトナム国家基準における清涼飲料水の定義に該当し、糖分が100mLあたり5gを超える...

国会、憲法改正の決議採択 7月1日から地方自治体を2層構造に移行 (17:31)

 国会は16日、憲法の一部条項を改正・補足する決議を採択した。同決議は即日施行された。  決議によると、地方自治体は6月30日をもって郡レベルの行政区(省・中央直轄市傘下の市、区=quan、郡=huyen、町=...

世界のベトナム人街を訪ねて【プラハ編・後編】 (15日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は

ホーチミン、米AMDとAI・ハイテク協力促進で覚書 (15:59)

 ホーチミン市人民委員会は12日、半導体設計大手の米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices=AMD)との間で、技術協力に関する覚書を締結した。式典にはチャン・ホン・ハー副首相も出席した...

ベトナム政府、国家戦略技術32分野を公表 AI・バイオ医療など (15:45)

 ファム・ミン・チン首相は12日、国家の戦略的技術および戦略的技術製品に関するリストを定める決定第1131号/QD-TTgに署名した。  今回の決定では、国家の持続的な発展と技術革新を推進するための、10の戦略...

ベトナムAI産業のGDP貢献、40年までに最大1300億USD規模に (14:41)

 財政省傘下のベトナム国家イノベーションセンター(NIC)が国際協力機構(JICA)およびボストン・コンサルティング・グループ(BCG)と協力して発表した報告書「ベトナム人工知能(AI)経済2025」によると、AI産業は今...

信頼性の高い保険会社トップ10、バオベトが生保部門で首位キープ (13:57)

 ベトナム評価レポート社(ベトナムレポート=Vietnam Report)は、2025年における信頼性の高い保険会社トップ10を発表した。この中で、バオベトグループ[BVH](Bao Viet Group)は生命

クオン国家主席、越訪のリトアニア大統領と会談 (6:09)

 ルオン・クオン国家主席は12日、リトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領と会談した。1992年の外交関係樹立以来、同国大統領がベトナムを公式訪問したのは今回が初めて。  両首脳は会談で、今回の公式訪...

7月1日施行の社会保険法、加入対象者を拡大 外国人関連規定も (6:01)

 2024年社会保険法(法律第41号/2024/QH15)が、2025年7月1日に施行される。これは2014年社会保険法(法律第58号/2014/QH13)に置き換わるもので、社会保険の加入対象者が拡大される。  2024年社会保険法では、...

個人事業主への電子請求書義務化、飲食店が便乗で一斉値上げ (5:41)

 6月以降、ホーチミン市やハノイ市にある多くの飲食店で、ブン、フォー、バインミーなどの価格が一斉に引き上げられている。店主らは値上げの主な理由として、「納税義務の発生」を挙げている。  店主らは、...

ベトコムバンク、東南アジアの有力ブランドトップ30に初選出 (5:17)

 英市場調査会社カンター(Kantar)が発表した「東南アジアのブランド価値トップ30ランキング」2024年版で、ベトコムバンク[VCB](Vietcombank)がベトナム企業として唯一ランクインを果

畜産大手CPベトナムの「病畜の肉」流通疑惑、違反の3店舗に罰金 (5:00)

 タイ系畜産大手CPベトナム(CP Viet Nam)が病気の豚や鶏の肉を販売していたとソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で告発されたことを受け、南部メコンデルタ地方ソクチャン省農業環境局は11日、検査...

ベトナム航空、スカンジナビア航空と提携 北欧路線の接続強化 (4:47)

 全日空ANAが出資するベトナムのフラッグキャリアであるベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は13日、スカンジナビア航空との間で、ベトナムと北欧(デンマーク、ノルウェー、スウェ

ダナン:半導体研究開発ラボ建設を承認、投資総額98億円 (3:07)

 南中部沿岸地方ダナン市人民委員会は、半導体向け先端パッケージング技術の研究開発(R&D)を目的とした実験施設プロジェクトへの投資方針を承認した。  プロジェクトの投資主は、半導体や人工知能(AI)分野の...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved