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第11回【これは疫病との闘いである】ベトナムの集中隔離施設では…

2020/07/14 09:45 JST配信

みなさん、こんにちは!ホーチミン在住のベトナム人 ICONIC のHanです。コラム 「【日本人が知らない】ディープなベトナム案内」 では、ベトナムでの旅行やグルメ・文化・ショッピング・その他おもしろ情報を発信していきます。

世界的な新型コロナウイルス感染症の流行が収まらない状況で、何をするにも困ってしまいますよね。この状況下の全ての人々が同じように不満や不安を抱えながら日々の生活を送っていることでしょう。ベトナムでも社会的隔離政策の下、思うように外出できない日々が続きました。しかし早い段階でこうした政策を取ることは、新型コロナウィルスとの戦いに従事している医療従事者や政府関係者など多くの人々をサポートすることになっています。

そうした人々の中には長い期間家族と離れて病院で勤めなければならない医師や看護師もいます。また、隔離する必要のある人々や感染の疑いのある人のためにベッドを譲らなければならない人もいます。政府と民間のこうした努力の結果、現在ベトナムでの感染者数は海外からの帰国者を含めても非常に低い状態が続いています(※7月6日時点)。この結果はそれまで取っていた規制・制限が緩和されることにも繋がりました。 私たちベトナム人やベトナム在住の外国人の皆さんは普段の生活を取り戻しつつありますが、新型コロナウイルスと戦い続けている人々のことを忘れてはなりません

新型コロナウイルス感染症の爆発的流行の発生から6月までの間に、 「集中隔離施設」 という言葉が私たちベトナム人の間でも身近になりました。皆さんはこの言葉を最初に聞いたときどう感じましたか?「暗い、息が詰まるような不衛生な場所、またはそこに入ると逆にコロナに感染してしまう場所…」という印象を持った人もいるかもしれません。

施設への入居者の大多数は、海外からベトナムに帰国した留学生や労働者などです。隔離政策が始まると、こうした人たちはウイルス感染を避けるために続々とベトナムへ帰国しました。ベトナム政府は全ての人が入居対象であると宣言したこともあり、入国後すぐに各地の施設で14日間隔離される対策が取られました。

ソンテイ集中隔離施設

引用: BizlIVE

こうした対策が実現できたのは、軍事施設、学生寮、大学、病院など、入居の対象となる施設が短期間で改修されたことも一つの要因です。しかし一方で、普段から贅沢な暮らしに慣れた人の言動が問題視されることもありました。

“隔離施設にいくのは疫病を避けるためであって、遊びに行くのではない“

隔離対策が続く中で、このような言動が報道されているのをよく目にしました。けれども、結果としてこうした隔離施設の存在も、ベトナムが新型コロナウイルス感染症の抑え込みに成功したひとつの要因であるいうことが言えるのではないでしょうか。

そして、そうした状況下でも人々が安心して生活できるようにするために、 ベトナム軍が昼夜を問わず活動を行っていたこともベトナムでは注目されました 。例えば、施設の入居者のために朝食を作るチームは早朝から市場へ買い出しに行き、別のチームがその食材を使って料理をするという形です。こうした連携の結果、入居者たちが朝を迎える頃には、それぞれの部屋に栄養十分の温かい朝ご飯を用意することができたのです。

朝食の後も、彼らは手を休めず、昼ご飯、晩ご飯の準備などを行います。また、新たに入居する人が出た場合は、彼らのためのシャトルバスや必需品の手配、また彼らの親類からの支援物資を運送したり、マクスを配ったりなどもしました。

食事を準備する軍人たち

引用: Quân đ?i nhân dân

また施設の中では、感染を防ぐための体温検査や定期的な検診、検査キットの配布なども行いました。人々が不安を抱えずに且つコロナ対策のための施策を実行するため、こうした手厚いサポートを行っていたのです。

14日間の隔離生活

実際に隔離されるとなれば、誰もが「どんな14日間が待っているのだろう?」と心配になるでしょう。しかし、施設内では、映画を見ること、音楽を聴くことはもちろん勉強したりおやつを食べたりなどといったことも普段通りにすることができます。また、免疫力を高めるために各種スポーツ活動に参加することもできます。ハティン幼稚園の集中隔離施設では、入居者たちが一緒に掃除したり、野菜を植えたり、庭の花を世話したり、ということも紹介されていました。 隔離という厳しい環境下でもこうした交流が生まれることもある のですね。

また、多くのベトナム人タレントたちもこうした14日間の隔離措置を経験しましたが、彼らはSNSなどのメディアを通して、隔離のスケジュールや場所などを発信しました。これらは隔離施設に対する人々の見方を改善することに繋がりました。例えば、Chau Buiというモデルは、ベトナムの若いファッショ二スタで、ビンズオン省で最初に隔離されたうちの一人です。隔離期間中、彼女はよく自分の生活の画像をSNSで更新しました。こうした活動は、これから隔離施設に入居する予定または可能性のあるベトナムの若者たちに対して発信されたのです。

また、スーパーモデルのHoang Yenとそのプロジェクトチームも、海外でのビジネスの後でビンズオン省の隔離施設に入居しなければなりませんでした。高級誌の表紙を飾る彼女ですが、入居後は他の人たちと同じように生活を送っている姿がSNSで配信されていました。そうした投稿の中でも特に若者たちの注目を集めたのが下記の写真です。彼女の魅力的な存在感をよく表していますね。

ベトナムのスーパーモデルHoang Yen

引用: Ti?n Phong

隔離施設とはいえ、祝日などのイベント・行事も普段通り行われます。例えば3月8日にあった国際女性デー では、入居する全ての女性にお花がプレゼントされました。また、入居中に誕生日を迎えた人も多くいて、お祝いをする姿も目にすることがありました。確かにこれは特別の誕生日になった言えるでしょうね。いつもマスクを付けなければならいことを除いて、ここでの生活は日常生活とあまり違いはありません。

軍や医療従事者と入居者の関係

14日間の隔離期間が終わった後、入居者は関連機関から認可書をもらい、それぞれの自宅へ帰ることになります。施設を出るときには、言葉にし難い複雑な感情を抱くことになるかもしれません。実際に隔離期間を終えた人の中で、施設で出会った人々、特に軍や医療関係者などに対して、次のように感謝の気持ちを表明する人もいました。

「こうした困難時でも、ベトナムは両手を広げて私たちを迎えてくれる国。14日の隔離期間の中で、関係者たちは入居者に対してあらゆる手段を尽くしてくれた。私が入居した隔離施設はハノイにある軍の施設で、彼らは私を本当の家族のように接してくれた。」

疫病との闘い

“これは疫病との闘いである”という方針を政府は発表しました。それに対して軍や医療機関をはじめとした関係機関が一丸となって今もこの戦いに挑んでいます。こうした戦いの日々はベトナムに限らず世界各国で現在も続いています。まだまだ先の見えない状況ですが、日々自分たちにできることから実践していきたいですね。

著者紹介
ICONICベトナム
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