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- 電子インボイスに関する新政令で混乱
- 一部の飲食店などが銀行振り込みを拒否
- 支払いの現金払い限定は政府方針に逆行
6月1日以降、年間売上高が10億VND(約550万円)以上の個人事業主に対し、税務当局とデータ連携が可能なレジから発行される電子インボイスの使用が義務付けられた。新制度の導入を受けて、小規模店舗では、銀行振込を拒否して現金決済のみに対応する店が増えている。
この制度は、インボイスに関する政令第123号/2020/ND-CPの一部を改正・補足する政令第70号/2025/ND-CP(6月1日施行)に伴い導入されたもので、約3万7000の個人事業主が対象となっている。
特に飲食店などでは、「振込だと税金が大変だ」として、支払い方法を現金のみに切り替えるケースが増えつつある。
これまで個人事業主には定額課税(税額の概算徴収)が適用されていたが、6月1日以降は、実際の売上高に基づいた課税が適用されるようになった。この変更により、レジやシステムへの投資負担、納税額の増加、顧客離れの懸念などから、個人事業主の間で不安が広がっている。
一方、税務当局はこの制度について、課税の透明性と公平性を高めるものと強調している。これまでの定額課税では、一部の個人事業主が当局の推定を大きく上回る売上を計上していたにもかかわらず、売上の少ない他の個人事業主と変わらない税金しか納めていなかった。そのため、実売上に基づいた課税は不公平の是正に資するとみられている。
また、現金払いへの回帰は、政府が推進するキャッシュレス化にも逆行する。キャッシュレス決済に慣れた消費者が、現金しか使えない店舗を敬遠する可能性もある。
なお、制度導入の初期段階では、個人事業主が新制度に慣れる時間を確保し、税務当局が過度な処分を控えつつ技術支援を行うことが重要だとする声が多く上がっている。