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金融市場:外国為替レート
■2000年代前半~リーマン・ショック後:安定局面から構造的VND安へ
VNDの対USD為替レートは、2000年代前半には1USD=1万5000~1万6000VND前後で推移し、比較的安定的した動きを示していた。しかし、2008年のリーマン・ショックを契機に世界的なUSD高局面が進行すると、ベトナムにおいてもUSD高・VND安基調が鮮明となり、その後も管理下での段階的な切り下げが実施されてきた。
当時、ベトナム当局を特に苦慮していたのが、中央銀行や商業銀行が提示する公式為替レートと、市中の両替商やゴールドショップが提示する市中レート(いわゆる闇レート、実勢レート)との乖離である。外貨需給が逼迫する局面では、この乖離が大きく拡大し、実質的に深刻な二重為替レートが存在する状況が生じていた。
公式レートは実勢レートの動きを時間差で追認する形となるため、乖離が長期化する局面では外貨が市中へ流出しやすく、外貨準備や銀行セクターの外貨流動性を一時的に低下させる要因となっていた。この二重レート構造は、為替管理と金融安定の両面で大きな課題だった。
■2016年の為替制度改革:二重レート問題の是正
こうした問題を背景に、中央銀行は2016年1月、対USD銀行間為替レート(公定レート)の新たな算定制度を導入した。新制度では、国内の銀行間市場における加重平均レートに加え、国際市場におけるベトナムと主要貿易相手国、投資国・投資受入国、債権国・債務国との為替動向、マクロ経済指標、金融政策目標などを総合的に勘案して、公定レートを算定する仕組みとなっている。公定レートは必要に応じて頻繁に調整され、場合によっては日次で見直される運用が採られている。
この制度改革により、為替レートが実勢をより迅速に反映するようになり、公式レートと市中レートの乖離は大幅に縮小した。結果として、投機的なUSD保有のインセンティブが低下し、過度な外貨囲い込みの抑制につながるなど、為替市場の安定性向上に寄与している。
■2016~2021年の安定期と、2022年以降の再調整局面
2016~2021年は、貿易黒字の定着やFDI拡大、外貨準備高の積み上がりを背景に、VNDは歴史的にみても安定した推移を示した。
一方、2022年以降はFRBの急速な利上げに伴う世界的なUSD高の影響を受け、VNDは再び減価圧力にさらされた。とりわけ2022~2025年は、新興国全体からの資金流出や為替差損回避の動きが強まり、対USDでVND安が段階的に進んだ。
もっとも、こうした変動は無秩序な通貨不安には発展せず、急激かつ持続的な下落局面は回避された。中央銀行が為替介入や流動性調整を通じて過度な動揺を抑えつつ、外部環境やマクロ条件に応じた段階的な調整を容認する運営を行っているためとみられる。
■2025年の為替環境:圧力と下支え要因の拮抗
2025年の為替を巡っては、海外投資家による株式市場からの資金流出、誤差脱漏の拡大が示唆する非公式な外貨流出、外貨準備高の減少、さらに米国とのUSD金利差(ベトナムではUSD建て預金金利が事実上0%)など複合的な下押し要因が作用した。一方で、貿易黒字の継続、FDIの安定流入、在外ベトナム人からの本国送金といった外貨流入が下支えとして機能した。
総じて2025年の対USD為替レートは、VND安圧力を内包しつつも、管理された範囲で推移したと評価できる。急激な通貨調整が回避された点は、為替政策とマクロ運営への一定の信認を示し、外部環境の変化の中でも経済の安定性が維持されていることを示唆する。
VNDの対USD為替レートの推移

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