![]() (C) The Hanoian / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 |
ベトナム国家銀行(中央銀行)は、銀行業界における人工知能(AI)の活用に関する安全管理やリスク管理、導入条件を規定した通達第53号/2026/TT-NHNNを発出した。同通達は、AIは人間の権限や責任を代替しないとする原則を明確にし、自動決済や自動与信における高リスク分類の基準やAIによる自動決済の上限額、人間による監視・介入の仕組みなどを詳細に定めている。
高リスクAIの分類基準と自動決済上限
新規定では、AIシステムを導入前に、高・中・低の3段階に分類することを義務付けている。
自動決済取引において、個人顧客で1回あたり1000万VND(約6万1000円)超または1日合計2000万VND(約12万円)超、法人顧客で1回あたり5000万VND(約30万3000円)超または1日合計1億VND(約61万円)超の取引を自動実行できるAIシステムは高リスクに分類される。また、5000万VND以上の与信を自動決定するAIシステムも高リスクに分類される。
AIによる顧客1人・1社あたりの1日の自動決済合計額は、事業者が定める内部上限額の範囲内で、個人顧客で1億VND、法人顧客で5億VND(約300万円)を超えてはならない。
顧客合意と人間の監視権限
AI自動決済の実施には、範囲や限度額、解約条件などを定めた事前合意が必要であり、電子合意の際は通達第50号/2024/TT-NHNN(通達第77号/2025/TT-NHNNにより改正)に基づき生体情報の照合と別の認証手段を組み合わせた本人確認が求められる。
また、事業者はAIの判断を修正・一時停止できる人間の監視権限と緊急遮断メカニズムを確保しなければならない。AIが人間に代わって顧客対応を行う場合は、対話開始時にAIによる対応であることを通知しなければならない。自動決定に対する苦情は人間が再審査し、その結果に基づいて対応する。
施行時期と既存システムへの経過措置
同通達は2026年11月15日から施行される。なお、施行前に運用を開始している既存のAIシステムについては、2027年3月1日から同通達の安全・リスク管理要件に適合する必要がある。また、リスク管理の枠組みに関する規定は2027年1月1日から適用される。一部のサイバーセキュリティ対策は2027年9月1日から、人材確保・育成に関する規定は高リスクAIシステムを有する事業者を除き同日から適用される。

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