先週よりメコンデルタのティエンザン省チョガオ県周辺で豚の疫病が流行しているが、罹患した豚の一部がホーチミン市の市場に出回っているとの情報が流れている。現在、ティエンザン省チョガオ県では、家畜農家が、罹患豚の買取先を探すのに躍起になっており、異常な程の安値で買取り業者に売り飛ばされている。ある家畜農家は、「突然、豚の足が腫れ上がり、口には湿疹が出た。一箇所から動こうとせず、すぐ死んでしまった」と話している、同家畜農家は、この数日で、始めに4頭の罹患豚が売れ、その後、6頭の豚(一頭60キロ)が180万ドン(約1万3000円)という安値で売れたという。買取り業者は、ミトー市内で目撃されており、同市内の一箇所に病気の豚を集めた後、消費者市場に運んでいくのだそうだ。同省内の他地域でも、家畜農家の不安は広がるばかりで、病気にかかっていない豚の買取先探しにも躍起になっている。
このような状況のもと、豚肉の価格は下落し続け、チョガオ県では豚肉販売ブースがほとんど見当たらなくなり、売値は、90%も値下がりしている。検疫局員のレ・ヴァン・タイ氏によると、豚肉の価格は200万ドン(約1万4500円)/100キロまで下落したが、現在では、170万ドン(約1万2300円)/100キロでも売れなくなっているとはなす。家畜農家から病気の豚を買取った業者の中には、1頭/50キロ、たったの20万ドン(約1450円)で仕入れ、大もうけをしている者も後を絶たない。最近では、買取り業者は様々な方法で、検査の網をかいくぐり、ホーチミン市内の市場にまで販売先を拡大してきているという。
実際、5日前には、アン・ラック市場(ホーチミン市6区)に検査印の押されていない、病気の豚が持ち込まれたのが発見されたばかりだ。同市場では、豚肉の売値が通常より、7000ドン(約51円)~1万2000ドン(約907円)も値下がりして売られており、他のメコンデルタ地域から入荷された健康な豚もこの影響を受けて、安値で売られているそうだ。
ホーチミン市獣医支局(CCTY)副局長、ファン・スアン・タオ氏は、「この数日で、検査印のない病気の豚が、健康な豚に混ざって売られているのを発見した。見た目でわかるような症状が出ている豚の場合には、その部分を切り取って、巧みに市場に紛れ込ませて売られている。」という。CCTYは同局ロンアン省支局と連携を図り、徹底的な原因追及と、消費者の安全を確保したいとしており、南部各地域の行政機関が問題解決に動き出しているが、ティエンザン省(メコンデルタツアーの中心地:省都ミトー)では豚肉を避ける、ホーチミン市内でも格安豚肉を購入しない、スーパーマーケットなど品質管理のなされた店で購入する、など注意が必要だ。