ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

中部の漁村、海外送金頼りの生活から自立

2011/01/30 08:42 JST配信
(C) Lao dong, H.V.M
(C) Lao dong, H.V.M 写真の拡大

 ベトナムの普通の村の住民にとって、人に雇われて働いたり、バイクタクシーの運転手をしたり、海に漁に出たりすることはごく当たり前のこと。ところが北中部トゥアティエン・フエ省フォンディエン郡フォンハイ村では、これが珍しいことだったという。

 フォンハイ村は海に面した小さな漁村だ。ドイモイ(刷新)政策実施前の1980年代前半の時期、同省内の多くの漁村と同じようにこの村の人々も、海を越えて国外に脱出するか、国内に留まって飢餓に耐えるかの選択を迫られ、多くの人が死の危険を冒して国外脱出を選んだ。この村に"異変"が起きたのは、それからおよそ10年後、脱出組が送金を始めてからのことだ。

 国内に残った村人たちは、それまでの窮乏生活の埋め合わせをするかのように、一斉に仕事を放り出し遊びにほうけ出した。フォンハイ村の住人タンは「米国に渡った家族や親戚からの送金額は多かった。それからは誰も漁に出ようなんて思わなくなった。当時は1日中働いたって1米ドル(約82円)も稼げなかったからね。金の心配など一切せずに、料理をたらふく食い、酒をがぶ飲みし、舶来たばこを吹かす毎日だった」と話した。

 食欲が満たされた村人たちは自宅の建て替えに取り掛かった。誰の家が大きいか、立派かの競争状態になり、建て替えたばかりの家を壊してまた建て替えるなどということも少なくなかったという。建て替えブームが終わると、今度は墓や先祖の祭壇などの建築競争が同じように繰り返された。「皆、頭がどうかしていたかもしれない。でもこの建設ブームのおかげで周辺の村の人たち数千人の懐が潤った」とタン。

 しかし2008年の世界経済危機発生後、米国経済が衰退していることを反映して、米国在住の家族や親戚からの送金額はがたんと減ってしまった。フォンハイ村人民委員会のレ・バン・トゥ主席によると、以前は年間約100万米ドル(約8200万円)送金されていたが、今では10分の1の平均10万米ドル(約820万円)だという。「自分が苦労して稼いだ金を送金しても、この村で浪費されてしまうことにあきれてしまったのだろう」。トゥ主席はこう分析した。

 "援助"を打ち切られたフォンハイ村の村人たちは、再び仕事を始めた。かつてのように漁にも出るが、エビの養殖、ヌックマム(ベトナム魚しょう)の生産、漁船の造船などの事業がこの村で行われており、中でもエビの養殖は成功している。トゥ主席は「送金が減ったからといって、フォンハイ村が以前より貧しくなったと思うのは間違いだ。送金を受け取れない人もいたから、この村の以前の貧困世帯率は20%以上あった。今では4.46%まで減っている」と誇らしく語った。

[Lao dong online, 14.1.2011 | 08:45 (GMT + 7), O].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
YKKベトナム、ドンナイ省のニョンチャック工場第3期増築を決定 (2:33)

 YKK株式会社(東京都千代田区)は、世界有数の縫製産業拠点に成長したベトナムで、YKKベトナム(YKK VIET NAM)の東南部地方ドンナイ省第3ニョンチャック工業団地における工場の第3期増築を決定した。  YKKベト...

国会、企業法の一部を改正・補足する法律を可決 (18日)

 国会は17日、企業法の一部を改正・補足する法律を賛成多数で可決した。同法は7月1日に施行される。  これにより、一部条項を改正・補足する形で、企業法を具体化・明確化する。  同法律によると、企業...

PVテクニカル・サービス、洋上風力発電の基礎33基の輸出完了 (18日)

 ペトロベトナムグループ(Petrovietnam)傘下のペトロベトナム・テクニカル・サービス[PVS](PTSC)は、洋上風力発電の基礎構造物33基の海外への輸出を完了し、16日に東南部地方バリア

世界のベトナム人街を訪ねて【プラハ編・後編】 (15日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は

東南アジア大手500社、ベトナムの12社がトップ100入り (18日)

 米経済誌フォーチュン(Fortune)は、東南アジアの大手企業500社のランキング「フォーチュン・東南アジア500(Fortune Southeast Asia 500)」2025年版を発表した。この中で、ベトナムから76社がランクインした。 ...

ダナン:国内初の自由貿易区が誕生、総面積1881ha (18日)

 6月13日付け首相決定第1142号/QD-TTgにより、ベトナム初の自由貿易区(FTZ)が南中部沿岸地方ダナン市で正式に設立された。総面積1881haで、リエンチエウ区とホアバン郡の計7区画から成る。  FTZ内には、生産...

ホーチミン:メトロ1号線、運行開始6か月で1000万人利用 (18日)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社(HURC1)によると、国内初の地下鉄として2024年12月22日に運行を開始したメトロ1号線は、運行開始から約6か...

国会、VAT税率引き下げ措置延長の決議採択 26年末まで (18日)

 国会は17日、企業の生産活動および国民の消費需要を刺激すべく、付加価値税(VAT)税率が10.0%となっている商品・サービスに対するVAT税率を▲2.0%pt引き下げて8.0%とする決議を採択した。  新決議によるVA...

ベトナム航空、中東情勢緊迫化で飛行ルート調整 (18日)

 イスラエルとイランの対立で中東情勢が緊迫化していることを背景に、ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、ベトナム~欧州間の路線について飛行ルートを調整したと発表した。

ベトジェットエア、ロールス・ロイス製エンジン40基を追加発注 (18日)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は16日、英ロールス・ロイス(Rolls-Royce)との間で、ワイドボディ機のエアバスA330neo型機向けエンジン「トレント7000(

ホーチミン市環状4号線、ベカメックスのJVが一部区間の投資主に (18日)

 東南部地方ビンズオン省人民委員会は、ホーチミン市環状4号線の一部となるトゥービエン橋~サイゴン川区間建設案件(第1期)の投資主の選定結果を承認した。同案件は官民パートナーシップ(PPP)方式によるBOT(建設...

ベトジェットエア、運賃0VNDキャンペーン中 6月22日まで (18日)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、6月22日(日)23時00分まで、全てのベトナム国内線と国際線を対象に運賃が0VND(税など含まず)からとなるキャンペーン

越米の第3回相互関税交渉が終了、建設的な進展を確認 (17日)

 ベトナム商工省は、ベトナムと米国が米ワシントンD.C.で9日から12日まで実施していた相互関税の二国間協定に関する第3回交渉を終了したと発表した。  今回の交渉は、全体として建設的かつ前向きに進展し、...

広告法の一部改正・補足など法律3本可決、広告の取り締まり強化 (17日)

 国会は16日、◇広告法の一部を改正・補足する法律、◇改正雇用法、◇教師法の3本の法律を賛成多数で可決した。いずれも2026年1月1日に施行される。 <広告法の一部を改正・補足する法律>  広告法の一部を...

国防省、全国のドローン飛行禁止・制限エリアを公表 (17日)

 国防省は15日、全国の空域におけるドローンなどの無人航空機およびその他の無人機の飛行禁止エリアと飛行制限エリアを公表した。  飛行禁止・制限エリアの詳細は、専用ウェブサイト<https://ca

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved