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人生を賭けた「ゴミ拾い」、美しい村と人々の生活のため

2014/03/16 08:51 JST配信
(C) Phap luat & Xa Hoi, ファム・ミン・トゥアンさん
(C) Phap luat & Xa Hoi, ファム・ミン・トゥアンさん 写真の拡大

 2009年の夏、いつものように帰省した時のこと、彼は村の道端や橋、市場など、いたるところにゴミが落ちているのを見て暗澹たる気持ちになった。特に浜辺にはさまざまなゴミが捨てられ、景観を悪くしているだけでなく、環境汚染を引き起こしていた。ベトナムの多くの農村部がそうであるように、この村でもゴミ収集がいまだに行われておらず、放置され山となったゴミが悪臭を放っていた。ゴミをなくして美しい景色を取り戻せないものかと考えた彼は、ゴミ処理について調べていくうち、ついには教師をやめ、田舎でゴミ収集会社を立ち上げる決心をする。

 「この考えを両親に伝えた時、教師の仕事は安定しているのに全てを捨てて、田舎でうす汚い商売を始めるなんて、と猛反対されました。妻にも泣かれましたよ」とトゥアンさんは当時を振り返る。だが彼は、「熱中してやり遂げようと頑張れば、どこにいても、何をしようと、必ず成功する。これは、美しい故郷を取り戻すための尊い事業なんだ」と、1か月以上かけて周囲を説得し、やっと理解してもらえたという。

 2010年にトゥアンさんは教師をやめ、妻子を連れて村に戻り行動を開始する。彼はまず、ゴミ問題を解決するための計画書をクインフオン村の役所に提出した。村の人民委員会は彼の提案を好意的に受け入れ、多くの賛同を得て彼の会社は誕生した。この会社は5人のメンバーが資金や技術を出し合って運営している。

 起業したばかりの頃は、困難ばかりだった。「収益があまり大きくなかったことが一番の問題でした。住民の環境保護意識は低く、事業を拡張しようと新しい区域のゴミを収集しようとしても取り合ってくれない。収集料金は1区域当たり月2万ドン(約98円)でしたが、それでも高いと言われるんですよ」。集めたゴミは30キロも離れた県のゴミ処理場に運搬する。ゴミ収集人への給料と運搬費を支払えば、あとは何も残らない。事業を広げるために、銀行から約3億ドン(約147万円)も借金しなければならなかった。

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